衣料品業界で給料の上がる職種と下がる職種とは?

コラム

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給料が上がる職種、下がる職種!

最近、ビジネス雑誌で「給料が下がる職種」とか「給料が上がる職種」という特集が組まれることが増えています。AI(人工知能)の進化、レジの自動化、ロボティクスなどが人間の脅威となり始めたのが特集のきっかけになっています。オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が今後10から20年で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高いとレポートされたり、米労働統計局のデータに基づきCareerCastが行った調査で2022年までに、郵便局員や農家の数が激減すると指摘したことで、メディアは失業リスクや賃金低下に関する特集を次々行なっています。

少し前の週刊SPA!でも「アパレル業界の給料はもっと下がる」という特集が組まれていました。その中で南充浩氏は次のようにコメントしています。

洋服の価格低下や洋服販売の不振から一般的にアパレル業界の給料は下がると思われているようですが、実際のところ、今よりもアパレル業界の給料が下がることは考えにくいと言わねばなりません。なぜなら、この20年間、すでにアパレル業界の給料は下がり続けてきたからです。今後も大きく伸びる要素はありせんし、給料が劇的に増えることも考えにくいのですが、今以上に給料を下げてしまえば、もう人手が集まらなくなります。とくに店頭販売員は今でも時給を上げても集まりにくくなっています。

90年代後半ぐらいまでは、販売員のアルバイトを募集すれば、人気ブランド店であればたくさんのアルバイトを採用できましたが、時代は変わり、今では人気ブランド店でも採用に苦労しています。

アパレル業界の給与はどうなる?

人手不足のこの時代に、アパレル業界の給料は上がることも下がることも考えにくいのです。アパレル業界の給料は、経営破綻した企業や一部のブランドを除いては、現状維持が続くのではないかと見ています。

そんな中、私見ですが、ブランドのプレス担当者の評価が変わると考えています。プレス担当は長年人気職種で、給料水準も営業職よりも高かったようですが、求められるスキルが以前とは様変わりしました。アパレルやブランドのプレス担当者は長らく、ファッション雑誌への対応がメイン業務でした。しかし、2010年以降、ファッション雑誌は急速に影響力が衰え、部数を減らしています。つい先日、2017年10月~12月の女性ファッション雑誌の販売部数1位の雑誌が発表になりました。約17万7000部でリンネルが1位だったのですが、その少なさに驚きました。販売部数がたったの18万部弱にまで縮小していたのです。ちなみに2位のsweetはおよそ17万5000部です。

思い返すと2010年には宝島社のsweetの発行部数は100万部を越えていました。2010年から2017年末までの7年間でsweetの発行部数はおよそ3分の1にまで低下してしまったといえます。Sweetに限らずファッション雑誌の部数はみなダウントレンドです。

ファッション雑誌の影響力は以前より低下し、企業やブランドの広報担当者の優先順位も下がらざるを得ません。テレビニュースや大手新聞社、大手ネットメディアなどにもPR活動を行わないと、お客様に見つけてもらえなくなります。これまでファッション雑誌に強かったプレス担当者、別のメディアへのアプローチができなければ、評価を下げてしまいます。雑誌に強い広報担当者の給料は下がり、テレビや大手新聞社に強いプレス担当者は重要度が増し、給料が上がるのではと考えています。

一方、先日、別の週刊誌で「給料が上がる職種」の1位として縫製工が取り上げられました。これまでの経緯を考えてみると、国内工場の縫製工賃というのはこの20年間ほとんど上がっていないのです。法定の最低賃金以下という工場も珍しくありません。これ以上、給料が下がればもう工員は集まらなくなるのです。このため、給料が下がることは考えにくいと言わねばなりません。しかし、給料が上がるというのは意外だと思った人も多いのではないでしょうか。

現在、縫製に限らず繊維製品の各工程の工員は中国でも集まりにくくなっています。そのため、さらなる自動化・省力化・機械化が勧められていますが、縫製というのは、いくら優れたミシンが開発されようとも、そのミシンを動かすのは人間なのです。全自動ミシンというのは現在存在しません。工員が集まらなければ立ちいかないのが縫製という工程なのです。モノの値段は需要と供給のバランスで決まります。需要が多くて供給が少なければ価格は上がりますし、需要が少なくて供給が多ければ価格は下がります。

ミシンを動かすためには何かしらの労働力が必要になります。最近が人手不足が深刻で、従業員が集まらなくなっています。優秀な労働者が集まらないのであれば、賃金をアップしたり、労働環境を改善するなどの施策を打たないと大変なことになります。

ミシン操作に長けたロボットが開発されない限り、今後は縫製工場の従業員の給料は上がり続けるかもしれません。縫製工員の給料が上がってしまうと、小ロットで低価格という洋服は作れなくなります。そのため、将来的には「大ロットで低価格」か「小ロットで高価格」という洋服が幅をきかせるはずです。

セーターの製造ラインでも人手が足りなくなってきています。そこで開発されたのが、全自動で一体成型でセーターを編み上げる機械です。これが有名な島精機のホールガーメントです。島精機が開発したホールガーメントという特殊編み機は、コンピューターのプログラムを打ち込み、糸をセットすれば、一体成型のセーターを全自動で編み上げるのです。このため極度に省力化することが理論上は可能なのです。

一見すると、アナログだと思われがちな衣料品の生産工程も相当に機械化されてきています。個人的には、ミシンを操作するロボットが開発されることを期待しています。

最後にカスタマーサクセスの視点で、このブログを終わりたいと思います。AIやロボティクスに仕事を奪われると考えるのではなく、それによってカスタマーサクセスのための時間を使えるようになると捉えるとやるべきことが見えてきます。VOCを意識し、お客様とのタッチポイントで何ができるかを考えると売り上げが上がり、自分の給与もアップできるはずです。