アメリカNPS事情 MGMの従業員を巻き込んだVOC活用法がすごすぎる!

コラム

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リーマンショックでどん底を味わうMGM

「インサイドアウトのブランドイメージの構築」と題したMGMのセミナーがメダリア主催のイベントで実施されました。多くの企業が外部からのブランド戦略を立てる中、なぜMGMは「チェンジ・マネジメント」が必要となったのか、またどのようにNPSを導入して社内からそれを果たせたのか、以下レポートします。

MGMがビジネスを展開するラスベガスは、国策で作られたギャンブルフリーの都市であることは皆様もご存知だと思います。1930年にネバダ州がギャンブルを合法化し、フロンティアカジノ、フラミンゴホテルなどが開業しました。MGMも1930 年代に宿泊業で事業をスタートし、1980年代には絶頂期を迎えました。当時は施設を増やせば増やすほど儲かるという状況で、VOC(Voice Of Customer)を意識する必要はありませんでした。

しかし、2008年のリーマンショックで状況は一変します。株価が90ドルから2ドルまで下落し、MGMは9000人のスタッフをレイオフしました。この時、MGMは今までの成長型のビジネスモデルからの転換「チェンジ・マネジメント」を迫られたのです。ラスベガスもリカバリーの時代に突入しました。

雨風をしのげて安全に眠れればよいという選択が顧客からされるとMGMは生き残れません。景気が低迷する中、MGMの存在意義は何なのか、なぜ宿泊業をやらないといけないのか?などを経営陣は考え直しました。

徹底した従業員トレーニングに活路を見出す! 

MGMの経営陣はNPS調査によるVOCを整理し、MGMが目指す方向性を打ち出しました。人類にもっと『WOW!』を届ける。楽しめる場であることを約束する。エンターテイメントは人類になくてはならない必要なものだという、コアとなる信念を明確化したのです。さらにお客様への約束として、マニフェストを作り直し、できたのが「SHOW」というコンセプトでした。

S=Smile and greet
H=Hear their story
O=Own the experience
W=Wow! the guest

自分たちの目的「SHOW」を、お客さんにも理解してもらえるように「We are the SHOW」という動画を製作しました。これは、7万7000人の従業員トレーニングにも活用しています。全従業員は「ブランドを伝える」という役割を演じることを求められ、そのためにも従業員へのトレーニング徹底しました。全米から7000人の従業員を1カ所に集めて、リーダーへのトレーニングも行いました。通常では考えられない規模の従業員教育をMGMは生き残りをかけ、実践したのです。

 昔は、ホテルに来た人がお金持ちかそうでないかは、靴を見れば分かると言われていました。しかし、最近では洋服や靴では判断できないため、誰に対しても統一性をもったサービスが必要になっています。

そのため、社員は360度どこをからみられても統一性があることも求められるようになりました。これをサポートするため、MGMでは多様なツールを用意しています。例えば、サービスノウハウのチェックシート「Skillbuilder」、チームメンバーの最新情報やリーダーからのニュースを伝える「eBLAST」、エンゲージメントカレンダー等を活用して、ブランドを管理しているのです。

アメリカでは一昨年くらいまでは、NPSを実施するとどれだけ儲かるのかという視点で語られていました。いまでは儲かっても儲からなくても顧客に対してVOCを聞いていくというのが当たり前になっています。NPSはもはやブランドを語るストーリーの一部なのです。アメリカ企業は、顧客体験を最大限にして、ファンを作る方向に経営の舵を切ったのです。

We are the SHOWはこちらからご覧いただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=uwc3fDOrOVA