アメリカNPS事情 デルタ航空:コモディティからカスタマーエクスペリエンスへ 〜 オペレーションにフォーカスした顧客中心主義

コラム

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デルタ航空は「1日の終わりの会話に登場するブランドになる」を目指した!

デルタ空港は従業員満足度、顧客満足度において数々の受賞をしている優良企業です。しかし、かつてのデルタ航空は、他の米系の航空会社と同様、決してサービスが良いといえる会社はありませんでした。少し前のアメリカの航空会社はどこも似たような状態で、顧客をファンにするなど考えていませんでした。そもそも人を運ぶ輸送会社なのか?荷物を運ぶ物流会社なのか?という定義も明確ではなく、従業員もまた、そのような意識はありませんでした。

デルタ航空もまた、飛行機は、上に人を、下に荷物を入れて移動する機械でしかなく、人を運ぶのであればA地点からB地点まで移動できればよいし、荷物であれば壊さず予定どおりに届けられればよいと言う発想でビジネスを行っていたようです。顧客自体も、安ければ正直どこでもかまわないという「コモディティ」化されたサービスがアメリカの航空業界の実態でした。

しかし、この状況に危機感を抱いた元メルセデスUSの幹部ガレフ・ジョイス氏は顧客視点の改革を実行します。顧客体験を高めて、デルタ航空を選んでもらうことを目標に掲げたのです。ガレフ氏はメルセデスUS時代にレクサスの進出で大打撃を受け、瀕死の重傷をおった経験を持っています。顧客体験を重視する文化の会社への変革を経験し、劇的な復活を遂げた経験と実績をもって、デルタ航空でチェンジ・マネージメントにチャレンジしたのです。

まずは、(分かったようなことを言う)経験のある従業員よりも、顧客の声にフォーカスすることにしたのです。NPSを活用して、顧客の声をひろい、自分たちの思考と行動を変えることに集中しました。航空会社は、大小含めトラブルがあると調査機関や専門内部監査部隊が動きます。しかし、目の前には、いい体験をした顧客、悪い体験をした顧客がいます。そこにアプローチすれば、自社の問題点や強みを見つけられるし、その方が確実です。

映像として想像できるビジョンを描き、実行する

デルタ航空はビジョンを掲げ、そのための計画を立て、アクションしました。ただし、このビジョンは他社とは異なり、デルタ航空をよくするためのビジョンでした。意識したのは経営ビジョンなどではなく、人が喜ぶ「場面」でした。

私たちは朝起きてから夜寝るまで、さまざまなトップブランドと接点を持ちます。例えば、朝目覚めて、iPhoneをチェックし、Mercedes Benzで通勤し、会社近くのスタバでコーヒーを飲み、MacBook airで仕事をする。つまり顧客は一流企業の強いブランドともに時間を過ごしています。デルタ航空は、変革を通じて自分たちのブランドが「顧客の最高の体験」として記憶に残る道を選びました。具体的には、家での家族の夕食の場で、「今日のデルタ体験」を夫が奥さんに話すシーンをゴールにしたのです。

デルタ航空はこのためのトレーニングを重ねました。仮説をたて、ビジュアルボードをつくり、1年後にそれを実現することを目指したのです。プレゼンテーションで紹介された一例は、「ミネアポリスからアトランタへ、新しい家族として初めて受け入れられる犬を飛行機で運ぶ」というビジョンが実現しました。アトランタに住むずっと犬を飼いたかった父と、初めてのペットを迎える娘に、彼らは子犬を届け、『素敵な思い出をありがとう』というメッセージをもらえたのです。家族の感謝がデルタ航空のスタッフを幸せにして、従業員満足度も高まりました。

従業員には長期的なビジョンを描かせる一方で、短期的な売上目標は現場に近いスタッフには見せない工夫を施しました。12カ月後の動向、中長期的な目標を共有し、そこを目指して一緒にやっていこうと伝えることで従業員のモチベーションが変わったのです。現場は顧客体験にフォーカスすることで、サービスの質を改善していったのです。他では出会えないカスタマーエクスペリエンスを提供することにより、ファンをどんどん増やしていったのです。

今回、デルタ航空のケーススタディから、カレフ氏がTIPSを8つ紹介しました。
ビジョンを作成し、説得力を持たせるという手法
コア目標指標を構築すること
スコアではなく行動を管理すること
変化をもたらす真のリーダーシップの重要性
チームを構築し、純粋な従業員の情熱を探すこと
模範を見せて人々に力を与えること
実験と失敗は早く経験すること
ジャングルの法則(生き残るのは、強者のみ)
VOCを活用することがデルタ航空を強いブランドに変えたのです。筆者もクライアントの方とNPSの定着や企業文化づくりを実行する際に、8つのポイントを意識したいと思いました。みなさんもぜひ参考にしてみてください。