ブランドの3つの「価値」とは? どのブランド「価値」を実現しているのか分析をしてみよう!

コラム

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安売りから脱却するために

世の中には数多くのブランドが存在しています。衣料品に限っても、本当に数えきれないほどの「ブランド」がありますが、アパレル業界の売り上げは、ここ5年ほどは9兆2000億円前後を行ったり来たりしています。販売価格も目に見える回復はなくダウントレンドが続いています。2016年末までは「バーゲン開始時期の後倒し」が議論されていましたが、推進派だった一部デパートやショッピングセンターの動きも鈍くなっています。最近ではネット通販のタイムセールやクーポン販売が当たり前になり、顧客には洋服は安く買うものという常識が広がっています。

今年の夏のバーゲンセールもフライング気味で、例年よりも早くスタートしています。正式には各商業施設が6月29日ごろから「夏のバーゲンセール」を始めますが、すでに5月の下旬ごろから始まっているのではないでしょうか?実店舗でもタイムセールは乱発されていますし、ショッピングセンター内のブランドや路面店ではすでに5月から「店内一部セール」や「最大〇〇%オフ」と赤字で書かれた大きな看板が立てられています。そういう「ほぼセール」が開催されていないのは、百貨店くらいだと思います。

こういう状況下にあって、個々の店舗やブランドが安売りをしないためにはどうすればよいのでしょうか?一つには、商品の供給量を見定めることが重要になります。これはいわゆるマーチャンダイジング(MD)と呼ばれる作業で、国内ブランドでは欠品による機会ロスを極端に恐れるために「少し多め」に作るところがほとんどです。少し前までのユニクロも欠品による機会ロスを極端に嫌っていました。大量に作って余った商品は投げ売りします。投げ売りしてでも売り切るあたりはさすがにユニクロといえますが、例えば、明らかに人気のなさそうな色や柄をそこまで作りおく必要はありません。またXSだとかLLとかのイレギュラーサイズ商品もそこまでたくさん作っておく必要はありません。それらがいつも投げ売りされていたのですから。しかし、今春からは少し作り方が変わってきたかもしれません。なぜなら早々に完売して欠品している商品も珍しくないからです。特にユニクロUやJWアンダーソンなどのデザイナーズコラボ商品はその傾向が顕著です。

一方、「ブランド」側は売れ残り在庫を抱えることを極端に恐れて、少ないロットでの仕入れを徹底しています。「ブランド」の製造発注はサンプル品程度の数量がないため、縫製工場は受けることを嫌がっています。また個人専門店は、メーカーから仕入れる商品量を極端に減らし、昔ならSMLのサイズをそれぞれ1枚ずつとかMとLを2枚ずつというような発注でしたが、これが今ではM1枚だけというような発注に変わっており、それがまたメーカーの製造数量を減らすことにもつながるという悪循環に陥っています。

結局のところ、売り上げで苦戦するブランドは、需要予測があいまいな状態で売り上げ目標を設定し、自社都合の仕入れをしているなど、顧客視点に立っていません。

メーカーも店も販売データや社員の日報などをもっと活用すべきです。それを比較して正確に分析すればよいのです。また少し大きい店なら過去のPOSデータもあるでしょう。筆者がこれまで見てきた多くのブランドや店がそういうデータをあまり活用せずに「感性だ」「トレンドだ」という数値に基づかない部分ばかりをクローズアップしてきたのです。
一方成功しているブランドはデータ分析に加え、NPS調査を実施し、顧客の声(VOC)をしっかり拾い、改善施策を実施しています。

ブランドの3つの価値とは何か?

前置きが少し長くなりましたが、河合拓さんというコンサルタントの著書に「ブランドで競争する技術」(ダイヤモンド社)がありますが、その中に、こんな一節があります。 

差別化の切り口は、機能価値、サービス価値、イメージ価値の三択でしかないのです。 

皆さんが運営されているブランドやショップはこの3つのうちのどれを実現されていますか?できれば2つを兼ねているのが望ましいと思いますが、それが無理なら最低でもどれか1つは実現しておく必要があると思います。ブランドの価値を明確にし、それを強化することで売り上げをアップできるようになります。

多くの人が憧れる欧米のラグジュアリーブランドは明らかに「イメージ価値」を極限まで高めています。国内でナンバーワン売上高を誇るユニクロは「低価格・高品質品の提供」という「サービス価値」がメインでしょうか。アウトドアブランドやスポーツブランドなどは「機能価値」といえるでしょう。とはいっても、3つの価値はそれぞれ独立したものではなく、複合的に絡み合っており、どの価値をどれだけのバランスで消費者に見せるかということが重要になるといえます。ラグジュアリーブランドなら「イメージ価値」が目につきますが、一方でメンテナンスやアフターケア、売り場での接客など「サービス価値」も相当に高いといえます。ユニクロなら防水透湿の「ブロックテック」素材や保温肌着「ヒートテック」は「機能価値」を実現しているといえます。価格競争に悩んでおられるメーカーや店は数多くあると思いますが、この3つの価値に自社・自ブランドはどう向き合っているのかを考えてみてはどうでしょうか。

顧客を喜ばす価値を明確になったら、それを顧客にしっかり伝え、VOCを取ることで売り上げアップのための改善策が明確になります。NPS調査を実施することで売り上げアップのヒントが見つかります。