新しいセールのあり方を考えてみよう!

コラム

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新しいセールのあり方を考えてみよう!

夏のバーゲンもそろそろ終盤ですが、正直なところ、夏と冬の年2回バーゲンの使命はそろそろ終わったと筆者は考えています。ユーザーからの値下げ圧力が強まり、バーゲン以外での定価販売ということが困難な状況になっているのがその理由です。 

10~20年前とは衣料品の流通が大きく変化し、今更過去には戻れなくなっています。環境の変化をいくつか列挙します。
1、 低価格SPAブランドの定着 店内に常に「セール品コーナー」がある
2、 毎日「タイムセール」を行うブランドの増加
3、 ネット通販による常時値下げ販売(割引クーポン券の乱発も含む)
4、 ポイント制による割引 

この4つの要因が消費者の生活シーンの中に浸透し、消費者は常にセール品を買えるようなりました、もはや、夏と冬のバーゲンを待つ必要がなくなってしまっているのです。

値下げの少ない有名ブランドでもポイント割引と、ネット通販サイトによる恒常的値引きが行われています。その気になればいつでも値引き品を手に入れることが可能になりました。  

またこの4つの要因以外にも、メルカリやYahoo!オークションで中古品を安く買うことも可能になりました。特に有名ブランドや人気ブランドはそういう買い方をされることが増えているようです。

このような理由で、百貨店や一部のファッションビルが模索するような夏冬以外の期間の定価販売が、受け入れられなくなってきました。例えば、あるブランドは百貨店内やファッションビル内のテナントショップでは定価販売していますが、自社の通販サイトでは同じ商品を「オンライン限定価格」とか「オンライン先行セール」とか銘打って値引き販売していることも珍しくありません。そうなると、仕組みを熟知しているユーザーは確実に安いネット通販で買います。 こういう消費行動をさせないでおこうとすると、ネット通販とポイント制を根絶してしまわないと無理です。かといって、今更、インターネットとポイント制を禁止することなんてできませんから、これらの値引き販売を押しとどめることは実質不可能なのです。

これからのセールとは?

では、今後のアパレルブランドはどのような売り方を模索するべきなのでしょうか?筆者は以下の2つの方法を考えています。
1、 ZARA方式の「売り切れ御免」にする
2、 SPAブランド方式の段階的・自動的に値下げする
という2つの手法を組み合わせるべきです。なるべく値引きせずに売りたいということであれば、商品の生産数量または仕入れ数量を抑えれば効果が出ると考えられます。何せ値下がりするまで待っていれば売り切れる可能性があるわけですから、定価で買おうとする人が増えるでしょう。

ただし、これを実施するためには、極めて正確な需要予測が必要となります。バイヤーの主観を廃して、数値に基づいた需要予測をどこまで客観的にできるかがカギとなります。こういうときにこそ、今流行りの人工知能を用いるべきではないでしょうか。 それでも売れ残り品は出ますから、そのときに、段階的・自動的値下げが有効となります。店頭入荷後何週間か経過して一定枚数以上残っている商品は自動的に値引きすれば良いのではないでしょうか。それも段階的に値引きをするのが良いと考えます。  

最初は20%オフ、続いて40%オフ、それでも残れば最後は70%オフで売り切ってしまうというような売り方です。 どうしてこれが有効なのかというと、「定価ではちょっと高いかな」と思っている人でも20%安くなれば買えるということは珍しくありません。これは定価設定が高ければ高いほどそうなります。

ユニクロ、GAP、アダストリアホールディングスの傘下ブランドなどはすべてこの方式で値下げしています。2万円オーバーは「ちょっと手が出しにくい」と思っているお客でも18,000円くらいに値下げすれば「買う」というお客の数は増えます。この18,000円の段階に納得できるお客様には早めに買ってもらうのです。それでも在庫になりそうなら、もう一段階の値下げを行います。12,000円くらいに値下げすればどうでしょうか。買いたい!買えるという人はもっと増えるでしょう。

この方式に対しては「値下げブランドのイメージが定着する」と懸念を示す声もあります。たしかにその危険性はぬぐい切れません。しかし、百貨店やファッションビル内にショップ展開する某ブランドのように、平時、頑なに値下げしないため売れ残りを増やし、夏冬のバーゲンを長期化し、最後に破格値で投げ売るというやり方は果たして正しいのでしょうか?逆に、ブランドイメージを悪化させていないのでしょうか?  筆者はそちらの方が「安売りブランド」のイメージが定着しやすく、逆効果ではと考えています。

ちなみに筆者はこのブランド(ボナジョルナータ)のセール商品を数点購入しています。定価5000円くらいのシャツがなんと700円とか900円にまで値下がりするのです。しかもセール期間は長期にわたっているばかりでなく、セール期間以外にも百貨店やファッションビルで「全品1000円」とか「全品90%オフ」のような安売り催事を開催しているのです。こちらの方がはるかにブランドイメージを毀損していると思いますが、いかがでしょうか?

また、利益面から見てもこちらの方が収益を低下させていることが多いという指摘もあります。段階的に値下げした方が、値下げ総額は低く抑えられることが多いといわれます。 インターネットもポイント制も今更、消滅・絶滅させることは不可能なのですから、百貨店向け・ファッションビル向けブランドも環境に適応した売り方を実行すべきではないでしょうか。ぜひ、セールのあり方を再考し、お客様を喜ばすセールを実施ください。ファンを作るセールの形があると筆者は考えます。