「デパ地下やスーパーなどでは商品を売らない」洋菓子店シャトレーゼのブレない経営軸

エンゲージメント

子供たちにとって長く楽しい夏休みがはじまりましたね。色々な思い出ができるであろう夏休み、大人の皆さんはどんな思い出が印象に残っていますか? 私が懐かしく思い出すのは、夏の暑い日にひんやりおいしい、母親の作る長崎スタイルのミルクセーキとシャトレーゼのアイス。特にシャトレーゼは子供の私にとっては週に一度の贅沢。色とりどりのアイスやお菓子が並ぶシャトレーゼのお店に入った時のワクワク感は今でも覚えていて、まるでお菓子の城のようだと思ったものです。(ちなみに「シャトレーゼ」はフランス語の「シャトー」(城)と「レザン」(ぶどう)を合わせた造語で、創業の地である山梨県勝沼の名産品ぶどうを冠して名づけられたそうなので、お城のようだと思ったのは社名のイメージそのままだったのかも?!)

そんなシャトレーゼは60円台からのアイス、100円台からの生ケーキ、108円のシュークリームなど、驚きの安さだけでなく、そのおいしさでファンを虜にしていますが、全国の大手ショッピングモールからの出店を断り、デパ地下やスーパーでは商品を売らないという戦略で、自社工場直営を徹底しています。絶対にブレることのないその経営軸の裏に、どんなストーリーがあるのでしょうか。


反骨精神が生んだ独自戦略

シャトレーゼと言えば店舗直販ですが、小売に卸していた時代もありました。でもその当時、値下げ要請を受ける、コンペ参加や協賛金を求められるなどの利益優先のやり方に、自社の「いい商品を作りたい」という思いを貫くことはできないと感じていた、創業者兼社長の齊藤寛氏。

そんな時、取引先デパートの外商担当に500万円もする時計の購入を求められ、それがきっかけで自分達が満足できる商品を展開するためには、自分達の売り場を持たなくてはいけないと決心。(齊藤社長は今でも自分への戒めのためにその時計をしているそうです)

売りに行くのではなく 買いに来てもらえる商品作りを目指すシャトレーゼは、商品作りに必要な原材料を工場近くの農家から新鮮なまま仕入れ、一次加工も全て自分達で行っています。牛乳は搾りたての風味を生かす低温殺菌、卵は生みたてのものを自社割卵、小豆は白州名水を使って自家炊きするなどのこだわりも。素材の質が高く、手間ひまかけているだけあって、原価率が70%以上の商品も多いそうですが、それでもあれだけ安く提供できる理由はどこにあるのでしょうか?それが

・路面店のみで展開(自社工場で大量生産し、直接FC店舗へ送るシステム)
・製造工程の徹底したオートメーション化(効率化とコスト削減に貢献)
・宣伝広告なし(宣伝しなくても安くておいしいから口コミが拡散する)

の3つです。「良いものを安くお客様に提供をするにはどうしたらよいか」をとことん追及したのがこの形だったということですね。

いい素材がないといい菓子はできない、地元に育ててもらったから今があると感謝する齊藤社長。明確なビジョンやミッションを持ち、信念を曲げることなく、会社を支えてくれる人やコミュニティへの感謝の気持ちを忘れないからこそ、顧客はもちろん、従業員や取引先の共感や愛着を獲得し、ロイヤリティを高め、今の成長へとつなげることができたのではないでしょうか。


シャトレーゼの 『三喜経営』

シャトレーゼは顧客・取引先・社員に喜ばれる「三喜経営」を企業理念として掲げています。自然でおいしいものを安くお届けし、お菓子を通して心も体も健康になってほしい、幸せになってほしい。そして、すべてのお客様に愛されるお菓子屋さんでありたいというのが、シャトレーゼの想いだそうです。

ここでシャトレーゼの理念を見てみましょう。

一、お客様に喜ばれる経営
わが社は、常に技術革新に挑戦し、より良い商品をより安く提供して、お客様に喜ばれ社会に奉仕する。 

一、お取引先様に喜ばれる経営
わが社は、お取引先様の繁栄のお手伝いと奉仕に徹し、運命共同体として共に栄える事を念願とする。 

一、社員に喜ばれる経営
わが社は、事業は人なりと信じ、事業の発展を通じて、社員の人間形成を高揚し、会社の繁栄を通じて、社員の豊かな生活を実現し、併せて社会に貢献し、永遠の繁栄と幸福を目指して限りなき前進を続ける。

CS(顧客満足)、ES(従業員満足)、SS(地域・仕入先との共栄共存)を理念として掲げ、体現してきたように見えるシャトレーゼ、2014年度の売上は430億円(単体)、販売店舗数は全国に約450店舗と、「洋菓子大手」の地位を確かなものとしましたが、齊藤社長は「大手企業になったわけではない」と話し、世界での成功を目指してさらなる努力と成長を続けているようです。

参考:
http://www.chateraise.co.jp/company/
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20141106.html