“名は体を表す” ユナイテッドアローズの社名から見える、従業員が力を合わせることができる企業文化

従業員エンゲージメント

月刊ファッション販売』の2015年3月号の特集、「学生981人が選んだ働きたい企業ベスト50」で見事5位にランクインしたユナイテッドアローズ(以下文中「UA」)。(ちなみに1位はワールド、2位はビームス、3位はコム デ ギャルソン、4位はオンワード樫山)

UAと言えば、セレクトショップ運営会社としては唯一の株式公開企業。学生から高い人気を誇るのも、「安定していそう」「知名度」「商品・事業内容の魅力」などの理由があるようですが、エンゲージメントの観点から注目したいのが、同社の社名に込められた従業員が力を合わせる企業文化です。


ユナイテッドアローズの社名とロゴの由来

UAの社名は、束ねた(UNITED)矢(ARROWS)、ひとつの目標に向かって直進する矢を束ねたものという意味。戦国時代を代表する名将、毛利元就の「三本の矢」の考えをもとにしているのだそう。

★ここでおさらい★ 
「三本の矢」とは毛利元就が子供たちに、「矢一本なら簡単に折ることができるが、三本束ねるとなかなか折れない。このように三人が協力して強く生きるべき」と結束の重要性を教えたという話

そしておなじみのUAのロゴと言えばこちら↓

ユナイテッドアローズ

「束ねた矢」を正面から見たイメージをモチーフとし、unitedの「U」と、arrowsの「a」の頭文字をそれぞれ組み合わせてデザインされているのだとか。


ユナイテッドアローズの従業員がいきいきと働ける職場である理由

人材に対する考え方を「それぞれ個性をもった人間である従業員が共通の理念(志)を目指す。そうした従業員の集合体がユナイテッドアローズである」と表明しているUA。

  1. いきいきと働ける職場
  2. 公正・公平な職場環境
  3. 従業員の健康と安全
  4. 人材育成の環境づくり

という行動指針をもとに、数々の取り組みを行っています。そこから一部、UAが社名を体現していることが分かる取り組みをここでご紹介です。


●束矢大學(たばやだいがく)

全社教育を行う研修期間を社名に基づいて「束矢大學」と名付け、新人からベテランまでがスキルアップできる場を提供。

2013年度は、年間でのべ240日程度開催し、のべ3,127人が受講したということで、その頻度と人数の多さに驚きです。このように日々研修を行うことで、従業員が顧客満足度に基づいた目線で考え、決断し、行動に移すことができるようになり、自発的に動くことで、更なる改善や新しいサービス・商品等の提案増加にもつながるのではないでしょうか。


●セールスマスター制度と束矢グランプリ
「セールスマスター制度」は、優れた販売のスペシャリストに授与する称号。任期は2年で、2014年8月現在30人がセールスマスターとして活躍中。また、ロールプレイング形式の接客コンテスト「束矢グランプリ」を年に1度開催。

これらは人間としての魅力と、営業力の両方が備わってはじめて与えられる栄誉だと思いますが、優秀なスタッフを評価し、彼らの技を社内で共有することで、「私もああなりたい!」という気持ちを醸成し、切磋琢磨する場を提供することでモチベーションアップを図ることができるのではないでしょうか。


●自己啓発の環境を整備
ファッションや語学の資格取得を支援。2013年度の資格取得者は、販売士検定:66人、ファッション販売能力検定:36人、色彩検定:28人、TOEIC500点以上:52人、手話技能検定:82人に。

さまざまな資格を持つ従業員が増えることで、お客様との会話やサービス提供に幅が出て、他店との差別化につながり、結果顧客ロイヤリティの向上が期待できるのではないでしょうか。


●従業員は原則として正社員
2007年8月、UAは全従業員の社員化制度を導入し、1200人ものアルバイトを正社員として一挙に登用。以降、原則正社員で雇用、アルバイトで入社した販売員も、一定の条件をクリアすれば3カ月後には全員正社員登用される。

これを実現させた背景には、創業以来掲げてきた「販売員の社会的地位向上」を前進させることや、従業員満足と顧客満足向上への作用を図りたいという意図があったそう。もちろん正規雇用には大きな人件費がかかりますが、コストではなく投資と考えるべきではないでしょうか。なぜなら仕事に対するモチベーションアップや離職率の低下につながり、従業員満足度が高くなり、結果顧客満足度に貢献するからです。


●ワークライフバランスの推進
UAの従業員の約6割を占める女性を中心に、産前産後休暇、育児休業、子の看護休暇や短時間勤務制度など、子供を持つ従業員の仕事と家庭の両立を推進。

これは多くの企業が取り入れていることだと思いますが、結婚、出産、家族の介護など、人生のさまざまなライフステージにおいて働きやすい環境が整っている企業は、従業員からの共感や愛着を得やすくなります。結果、従業員エンゲージメントが高まり、離職率が低くなり、雇用・教育コストの削減にもつながるはずです。


●従業員の満足度調査
アルバイトを含む全従業員を対象に従業員意識調査を年に1度実施。結果は取締役と共有し、人事制度や施策に反映している。

毎回約9割に上る高い回答率を誇っているというUAの従業員満足度調査。2011年に理念への共感についての調査をした時には、「理念に共感する」と回答した人が全体の96%にも上ったのだとか。これは驚異的ですね。でもUAは従業員が自社の理念やミッション、ビジョンに共感し、また会社や自社ブランドに愛着を感じられるような仕組み、制度、文化を形成することで、従業員の意欲を高めることに成功しているのではないでしょうか。従業員満足度を調べるのであれば、eNPS(employee net promoter score)のようなシンプルで分かりやすい指標を用いると、UAのような回答率が得られるかもしれません。(★あわせてこちらもどうぞ→「従業員が幸せな会社は成長する! 従業員の幸福度を調べるために、NPS(ネットプロモータースコア)を使ってみませんか?」)

参考:
https://www.united-arrows.co.jp/csr/about/value_02.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/ユナイテッドアローズ
http://weban.jp/contents/an_report/repo_cont/shijou/200905.html