売り上げトップのビール売り子に見る、お客様をリピーターやファンにする方法

顧客ロイヤルティ

プロ野球シーズンも中盤に入り、梅雨明けも近づき、球場で冷たいビールを飲みながら熱く試合観戦を楽しめる季節本番になりました。球場で飲むビールはまた格別ですが、応援しているチームのホームランが一番の酒の肴、という方も多いはず。

試合中、そのおいしいビールを私たちに届けてくれるのが、球場にいる売り子さん。見るからに重そうなタンクを背負い、急勾配の球場の階段を上り下りするのはとても大変そうですが、例えば売り子からタレントになったおのののかさん、売り子だった当時は1日400杯、年間1万杯を売り上げ、サントリーホールディングスから表彰されるほどだったそう。このようなトップ売り子さんの”販売戦略”には、接客業に携わる皆さんが参考にすべき点が多くありました。


ビール売り子の販売戦略とその効果

①個性的な髪飾りをつける、名札に手書きのイラストなどを加える、首にかけるチームタオルの巻き方を工夫する、などして自分に印をつける
→個性を前面に出すことでお客さんに覚えてもらいやすくなる

②接客しているお客様に注意を払いつつも、遠くにいるお客様の様子にも気を配り(マルチタスキング)、それぞれの飲むペースを把握する
→なくなりそうなタイミングで声かけすることで販売につながり、お客様が待ったり探したりする必要がなくなるので満足度もアップする

③お客様(常連さん)の名前を覚え、見つけたら駆け寄って「◯◯さん、こんばんは!」と声がけする
→「大勢の中の一人」ではなく「大切な一人」と思ってもらえる

④タンクが重くて他の売り子が敬遠する上段の座席へ積極的にアプローチする
→他の人がやらないことをやることでより多くの販売につながる

⑤試合が盛り上がった時は販売の手を止めお客様と一緒に応援
→お客様との絆が深まる


ビール売り子の顧客ロイヤリティは高く、“推奨者”もダントツ多いはず!

マーケティングの世界が「マスから個へ」の志向を強め、個への働きかけがより盛んになっている現代、個人のお客さんを相手にしているトップの売り子さんの販売術は、ファンやリピーターを醸成し、顧客ロイヤリティを高めるためのヒントが多くありますよね。

お客様というのは「大勢の客の一人」になるのは嫌なもの。だから球場で自分に興味を持ってくれ、名前を覚えてくれて、欲しいと思ったタイミングでビールを提供してくれる売り子さんの対応に「大勢の一人」(マス)ではなく、「特別な存在」(個)であることを実感し、時には自分がひいきにしているチームを仕事そっちのけで応援してくれる売り子さんに共感して心を開き、「この人から買いたい」「この人にまた会いたい」という気持ちが生まれるのではないでしょうか。この気持ちが生まれた瞬間が、顧客ロイヤリティが高まった瞬間です。顧客ロイヤリティ向上にはOne to oneマーケティングや特別な体験、顧客の声に耳を傾けることが欠かせないと言われていますが、トップの売り子さんはこういったことを丁寧に行い、顧客ロイヤリティを高めているのではないでしょうか。

顧客ロイヤリティを測る指標に、NPS©というものがあります。これは、自社の商品やサービスを周りにすすめる可能性はどれくらいあるかという質問に対し、0~10の間で答えてもらい、その数値によって0〜10のスコアで「推奨者」「中立者」「批判者」の3つのグループにわけて把握するものです。(下記図参照)

NPS

トップの売り子さんは推奨者の数が圧倒的に多いのでは、と想像しますが、接客業に携わる皆さんもより多くの“推奨者”を増やすことができるよう、お客様一人ひとりの話に耳を傾け、興味を持ち、好みや買い物の目的を知り、自分の販売員としての知識を活かして、お客様が求めているものを提案するスキルを身に付けてみませんか? 一朝一夕に習得できるものではありませんが、試行錯誤しながら成功体験を積むことで自然とできるようになっていくはずです。

ちなみに「野球場NAVI」という「いますぐ近くの売り子さんを呼び出せるアプリ」もあるようですが、トップの売り子さんはきっとアプリいらずなんでしょうね。

参考:
http://toyokeizai.net/articles/-/73952
https://blog.udemy.com/customer-retention-strategies/