<セミナー開催レポート2>NPS®認定コース講師によるNPS入門講座(2014/03/25)

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シンクーでは、NPS(Net Promoter Score:ネットプロモータースコア)の開発元である米Satmetrix社から認定コース講師、Lenna Russ氏を日本に招へい。日本初の本格的なNPSセミナーとなる「NPS入門講座」を3月25日に開催しました。

前回の記事に続いて、今回も講義内容のポイントをお伝えします。

ネットプロモーター®が世界の企業で数多く採用されている理由

・ネットプロモーター、すなわち友人・知人などへの推奨意向を聞く設問(究極の質問)の回答結果から補足できる顧客の行動としては大きくは「ブランドロイヤルティ」「ブランドアドボカシー」の2つに分けることができる。

「ブランドロイヤルティ」は、現在の顧客の価値、つまり、企業の収益に対してどのような貢献や影響をしているかを測定するものである。具体的には、顧客として取引を継続してくれる期間の長さや購入金額、クロスセル、アップセルによる支出額増加の可能性、一方、顧客に対するサービス(問い合わせ対応、メンテナンスなど)に要する企業側の「コスト」などをネットプロモーターと結びつけることで定量的に把握し、予測することができる。

「ブランドアドボカシー」とは、既存顧客が好意的な口コミを実際に行ってくれることによって、新たな顧客の獲得につながり、その結果として新たな価値を生み出してくれる効果のことである。もちろん、推奨者が生み出す好意的な口コミだけでなく、批判者が生み出す否定的な口コミもあり、否定的な口コミは、新規客獲得にマイナスの効果を与えてしまう。

・ネットプロモーターを測定し、その向上のための企業革新、業務改善に取り組むことによって、企業の成長が確実なものとなる。たとえば、英国ヴァージンメディアでは、NPSの数値の改善と業績向上がリンクしている。

・また、NPSが競合他社より高い企業は、業績においても明らかに競合他社を打ち負かしている。

ネットプロモーターの有効性検証(各種調査・分析結果から)

・某保険会社のケースでは、推奨意向が高まると、継続取引率(契約更新率)も高まる。

・欧州の銀行のケースでは、推奨者である顧客は、より多く預金し、預金残高が増加する傾向があり、かつ手数料もたくさん払っているという検証結果が得られた。(すなわち、推奨者はより多くの収益を銀行にもたらしている)

・同じく、欧州の銀行のケースで、推奨者は、非推奨者の2倍以上の好意的な口コミを行っていることがわかった。

・某通信会社のケースでは、推奨者である顧客は、より長く利用し、支出額もより多く、また推奨行動も多いことが検証されている。

ベストプラクティス~どうやって変化を起こすか

・NPSは、測定すること自体が目的ではなく、NPSを活用して企業に変化を起こすことが目的である。

・「豚の体重を測定したからといって、それだけで豚が太るわけではない」(サトメトリック社カンファレンスでの、AVIVA社長のコメント)

・NPSの導入に企業が失敗する理由はいくつかある。NPSを通じて顧客の評価を定量的に測定すれば、それは管理(コントロール)しやすくはなるが実際に管理し、業務改善や組織改革などに結び付けられるかどうかは別の話である。

・NPSを通じて判明した問題や課題が、実際に現場レベルで解決されなければNPS導入は成果につながらない。また、NPSに基づく全社的な取り組みが現実に遂行されるためには、様々な社内関係者の同意を得る必要がある。

・ネットプロモーターに基づく企業革新は、ある程度の期間が必要な旅であり、それは最高の顧客体験につながる道筋である。

・NPSの導入に当たって、まず基本線として取り組むべきは、NPSを核とする満足度調査を行い、それを各部門にフィードバックし、たとえ限定的であっても、なんらかの解決のためのアクションを起こすようにすることである。(この段階では、まだ対症療法的なもの)

・次の段階も基本線として取り組むべきことだが、組織自体の変革に着手し、顧客ロイヤルティ向上を事業戦略の中心に置き、全社レベルでのアクションに結びつけるようにすること。各部門別にNPS向上のために取るべきアクションは当然異なってくる。

・次の段階では、全社的な視点で、かつ戦略的にNPSに基づくプログラムを展開。最高の顧客体験提供を目指して大胆なイノベーションを行う。

・最終的には、顧客中心志向が企業に完全に組み込まれ、市場のリーダーとしてさらにすぐれた顧客体験提供のためのイノベーションを顧客の声に耳を傾けながら行う。

・変化を実際に起こすために必要なことは、NPSに基づく企業革新のためのプログラムの遂行チームが有能な人材で構成された強いチームであり、かつ十分な権限を与えられていること、すなわち統治構造が強固であること。

・そして、役員レベルの強い関与、中間管理レベルでの略整合性実現(全体最適化を目指す)、さらに現場(フロントライン)が積極的に参画することである。

 

次回、第3回でも引き続き、講演内容のポイントをお伝えいたします!

 (執筆者)

松尾順

松尾 順

株式会社シンクー

エンゲージメントフォーラム CEO(Cheif Engagement Officer)