会社の理念に対する共感獲得、そしてお客様の心に寄り添う顧客対応で顧客満足度、そして愛着を高めることに成功 - 「あきゅらいず美養品」

従業員エンゲージメント

あきゅらいず美養品(以下、あきゅらいず)は、主にスキンケア製品の企画・開発、販売を行っている会社です。販売方法は基本的に電話、郵便、Webサイトなどを通じたダイレクト販売のみ。

同社は、化粧品販売員として長年にわたって女性の肌を見てきた南沢典子氏(代表取締役)が平成15年に設立。今年(平成25年)、10周年を迎えます。

●体の中から美を養う

あきゅらいずの商品コンセプトは『体の中から美を養う』というもの。美を作り出すのではなく、美を養うための商品を開発するところから、「美養品」という社名が来ています。

あきゅらいず看板

南沢氏は化粧品販売員時代、一生懸命スキンケアをしても、シミ・毛穴・くすみなどお肌のトラブルがなかなか解消しないことに疑問を抱いたそうです。そして最終的に南沢氏は、肌自身が持っている「潤い」と「代謝」に着目し、ファンデーションなどの「塗りスギ」、クレンジングなどでの過度な「洗いスギ」、保湿剤等の「つけスギの三スギの悪循環に陥らないことが大事だと理解するに至ったのだそうです。

また、体と心は一心同体であり、心の不調は体に、体の不調は肌に出てきます。したがって、本当に肌を養うためには、心と体を整えることが重要であるという考えを「心・肌・体(しん・ぎ・たい)」という言葉で表現。ものごとを全体として捉え、自然に従う生き方、すなわち「自然体」のライフスタイルを提唱しています。

●あきゅらいずの基幹商品

あきゅらいずの基幹商品は以下の3商品です。

1 泡石(ほうせき)・・・潤いを残しつつ、余分な汚れや皮脂を落とす洗顔石けん

2 優(ゆう)すくらぶ・・・肌のキメを整えるパック

3 秀(しゅう)くりーむ・・・化粧水・乳液・美容液が一本になったオールインワンクリーム

そして、素肌本来の力(=すっぴん力)をサポートするために、

泡石→優すくらぶ→秀くりーむ

のシンプルな3ステップで毎日のスキンケアを完了できることが特徴となっています。

あきゅらいずシンプル3ステップ

これらの商品には、南沢氏が中国の研究機関の協力を得て開発した「草根木皮(そうこんもくひ)たまり」が配合されています。草根木皮たまりとは、中国の保湿効果があると言われる10種類の東洋ハーブを日本人の肌質を考慮して調合したものです。

●企業理念や役に立つ、楽しい情報を主体とする顧客コミュニケーション

さて、あきゅらいずは製品自体もとてもユニークですが、お客様とのコミュニケーションも実にユニークです。これまでお客様にお送りしてきた「あきゅ便り」は、製品情報はほとんど掲載されておらず、顧客とそのお子さんが一緒に楽しく読めるようなほっこりした内容。「切り絵」ができるようにしたあきゅ便りも作成したことがあるそうです。

現在は、「幕の内」というタブロイド判の新聞風の印刷物が顧客に送付されています。これは、「会社もお肌も隠さず見せます」というキャッチフレーズが示すように、紙面に多くの同社スタッフが登場します。

2013年5月5日発行号では「よもぎ」が特集されており、よもぎがたくさん自生していると言われる屋久島への取材記事はじめ、読み応えのあるものとなっています。また最新号の2013年6月15日号では、「太陽と上手につきあおう!」というテーマで、軽いタッチの記事から真面目な解説記事まで楽しく読める工夫が隅々まで工夫されています。

<あきゅの素>

あきゅらいずでは商品情報を伝える以前に、まず同社の理念や考え方、そしてお客様に役に立つ情報を提供することを心掛けているのです。同社の基本理念は傍楽(はたらく)」です。傍(はた)を楽にする、すなわちまわりの人を幸せにする働き方が本来の仕事の在り方だとあきゅらいずでは考えています。そして、この傍楽を実現するために同社スタッフが常に携行し、毎朝の朝礼でも唱和しているのが「あきゅらいずの12箇条」です。

あきゅらいずの12箇条

1.ありがとうございます
2.全てお客様のつもりで丁寧に
3.時泥棒をしない
4.もったいない
5.お心肥(おしんこやし)
6.新人を歓迎する
7.いい笑顔はすべてに優る
8.先入観を持たない
9.自然が主役で人が従う
10.異なる意見を尊重する
11.ご免なさいとすみません
12.明るくお早う

あきゅの12箇条<スタッフが携行している「あきゅの12箇条」のカード>

スタッフの行動指針となっているこの12箇条は、江戸時代の知恵が詰まっている「江戸しぐさ」を参考にして定められたものだそうです。スタッフたちは、名刺大カード(上記写真)の12箇条を常に携行し、お客様とのコミュニケーションにおいて常にこの12箇条を意識しています。南沢氏がスタッフに繰り返し言うことは、スタッフであれば「電話の向こうのお客様になったつもりで」対応しなさいということだそうです。

●マニュアルなし。各スタッフが自立的・自律的な判断で最高のサービスを提供

同社にはマニュアルはありません。各自が自立的・自律的に考え、最高のサービスを提供するためにはどうすればいいかを考え、行動しています。例えば顧客都合の返品ですら、顧客が商品をくるんで送ってきたタオルを、洗うだけでなく、ウサギの形に立体的に折ったうえに折り紙で可愛らしく飾り付けてからお返ししたスタッフがいました。

大事なことは、相手の状況を的確に察し、相手の期待を超えるような対応をして嬉しいサプライズを与え、喜んでもらうこと。お客様はそんな「感動体験」を通じて、あきゅらいずの熱狂的なファンになっていくのです。

基本的に、あきゅらいずに入社した新スタッフは、顧客対応の窓口となる「サービス研究所」に配属され、あきゅらいずの12箇条に基づき、お客様の心に寄り添いながら、最高のサービスが提供できるように徹底的な教育が行われています。そして、最低でも3人のお客様から、お礼の手紙かご注文指名をいただくなど、具体的な成果が得られるまで、本来の配属部署に移ることはできないとのこと。

あきゅらいずはまた「三方よし」という考え方も実践しています。これは近江商人の心得であった「売り手よし、買い手よし、世間よし」に基づくもの。まず「スタッフがイキイキ楽しくなるように」と会社がスタッフのことを想い、そのスタッフがお客様やご近所の方を想う。その結果として周囲の方々にあきゅらいずのことを想ってもらうという仕組みです。

●地域にも積極的に貢献

実際、スタッフが楽しく、また自律的に働けるような職場環境の整備に積極的であると同時に、地域の人々のお役に立つ活動を続けてきています。例えば、地元の野菜や、自社が運営する農園でとれたお米が使われている社員食堂「森の食堂」が同社オフィスそばに開設されていて、スタッフ以外の地域の人々も利用できます。また、同社のコミュニケーションスペース「森の楽校」は、地域の人々の様々な活動のために開放されています。

また、社内の様々な活動は「委員会」形式によって行われており、各部門からの有志が集まって自立的に議論、行動することを通じて、部門を超えたスタッフ間の結びつきも強くなっているのだそうです。

●NPSを核とする調査をお客様、そして従業員対象に実施

さて、あきゅらいずでは、1年半前からお客様の評価を定量的に測定するため、NPS(Net Promoter Score:ネットプロモータースコア)を核としたアンケート調査を行っています。

調査対象者は、既存顧客のうち、eメールアドレスをご登録いただいている2万人ほどの方々。オンラインアンケートフォームを通じて設問に回答する方式です。この調査は半年に1回行われているため、すでに3回実施。回を重ねるごとにNPSの数値は着実に向上しているとのこと。ちなみに、スタッフに対してもNPSを核とした、いわゆる「従業員満足度調査」を実施しているそうです。

●お客さまの声をしっかり拾って改善行動に結びつける

NPSの調査において大事なことは、「自社、あるいは自社製品についての友人・知人への推奨意向」を測定することだけでなく、なぜ推奨するのか、逆に推奨したくないのか、という「原因」を聞いて、現場の改善行動、あるいは、その原因が組織上の仕組みなどに由来するものであれば、マネジメントレベルでの会社全体の改革に結び付けることです。

あきゅらいずの場合、アンケート調査実施以前に、注文受付時などのお客様の声を積極的に拾って社内掲示板に公開、関連部署、担当者がすぐに必要な改善行動を起こすことができるような体制、文化が醸成されています。

こうしたお客様の声(要望や意見、クレームなど)と、それに対する対応、改善内容は同社Webサイトや印刷物において「改善DO!!」という名称で公開されています。同社顧客は、自分の声がしっかりと受け止められ、なんらかの対応が行われたことを知ることで、同社に対する信頼や愛着を高めていくのです。

「顧客エンゲージメント」、すなわち、お客様との結びつきを強化し、その結果としての、リピート購入や他者紹介、お客様からのポジティブなフィードバックを得るためには、「共感」と「愛着」を高める努力が必要です。

あきゅらいずの場合、まずしっかりと自社の理念や考え方をお客様に伝えることで「共感」してもらい、かつマニュアルに頼らない、心のこもった「個」客対応を通じて愛着を強化することに成功しています。

そしてまた、優れた顧客サービスを提供する前提として、従業員が楽しくイキイキと働けることが極めて重要です。すなわち「従業員エンゲージメント」を強化することが不可欠なのですが、あきゅらいずでは、従業員対象のNPS調査を実施しながら、スタッフにとって最高の職場を提供しようと努力を続けているのです。

 あきゅらいずすっぴん美人

〔会社概要〕

有限会社あきゅらいず美養品
所在地:東京都三鷹市野崎3-9-27
役員:代表取締役 南沢 典子
    取締役 松本 毅史
従業員数:70名(2013年5月現在)
Webサイト:http://www.akyrise.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/akyrise