企業に対する顧客の信頼度、顧客満足度の高さを端的に示すNPS( Net Promoter Score)導入成功事例 - アメックスの取り組み

顧客エンゲージメント


アメリカン・エキスプレス・インターナショナルの企業ビジョンは、「世界で最も信頼されるサービス・ブランドになる」です。

同社では、このビジョンを実現し、またその結果として業績を維持・向上させるための究極のKPI (Key Performance Indicator)としてNPS(Net Promoter Score)を導入、確実な成果に結び付けています。

NPS(Net Promoter Score)は、 

「自社や自社商品を友人や知人に(どの程度)勧めたいと思いますか?」

という、いわゆる「他者推奨意向」の設問について、0(非常に低い)から10(非常に高い)までの11段階で聞いた結果に基づいて算出するものです。NPSは既に全世界で数千社が導入しており、米国上場企業について言えば、約3分の1が導入しているKPIです。

 NPSがこれほど注目され、実際に企業が採用している最大の理由は、業績との相関が高いという点にあります。すなわち、NPSが高いほど、つまり推奨意向が高い顧客が多い企業ほど収益性が高いということが長年の研究によって実証されています。

アメックスもまた、NPSの業績との相関、言い換えると連動性の高さに着目して採用しているわけですが、もう一つ、同社が掲げる企業ビジョン「世界で最も信頼されるサービス・ブランドになる」の実現度合いを図るKPIとしても有効であるという理由もあります。というのも、「企業、あるいは商品を友人・知人に紹介する」という行為は、当該企業、商品に対する強い信頼や愛着があるからこそできるからです。

アメックスでは、従来から顧客満足度調査に力を入れてきていましたが、満足度や継続利用意向が必ずしも業績と連動しないことに気づいていました。同社日本支社の個人事業部門マーケティング部で調査を担当する三木若葉氏は、日経情報ストラテジー(April 2013)の記事の中で次のように答えています。

“顧客満足度が高くても末永く顧客でいてくれるとは限らないし、継続意向が高くても実際にカードを使う頻度はなかなか増えないケースもあった。”

しかし、NPSについてはその向上につれて、アメックスの場合、顧客の解約率が4分の1に、また一人当たりの平均利用金額が10%増加するなど業績に明確につながっています。

さて、NPSの設問で11段階の上位、9、10に印をつける人のことを「プロモーター(推奨者)」と呼びますが、これだけの高い評価を得るためにはありきたりのサービスを提供するだけでは足りません。期待を超えた感動を与えるサービスを設計し、提供する必要があるのです。

そこでアメックスでも、お客様を驚かせるような「感動体験」をいかに与えられるかに腐心しています。

実践例のひとつが、コンタクトセンターで行われている「スピーチコンテスト」。

これは、電話などで顧客に対応するオペレーター(同社ではCCP:カスタマーケアプロフェッショナル)が、アメックスのカードを“友人と話す気持ちで”顧客に勧めるスピーチを競うものです。

このコンテストでは、各CCPが、「何を伝えたいか」を自分なりに考え、4分間のプレゼンテーションにまとめます。このコンテストを通じて、マニュアルを読み上げるのではない、CCP一人ひとりの個性が反映された顧客との対話ができるようになるのです。

カード会員向けのサービスを企画するマーケティング部門でも、顧客に感動を与えられるかどうかを意識してアイディアを考えています。2012年に企画した、京都の建仁寺を貸切り、会員に紅葉を楽しんでもらうイベントもそのひとつでした。

同社日本支社社長、ローバト・サイデル氏は、お客さまとの間に特別なつながりを築くこと、つまり「カスタマーエンゲージメント」を強化することが重要だと述べています。

そのためには、顧客とのすべての接点で優れた顧客体験を提供できることが必要であり、全従業員が

「顧客サービスは重要である」

という意識を身につけること、そして、

「どうすればプロモーターを増やすことができるか」

を常に考えて行動するようになること、また究極的にはこのような思考や行動を企業文化として根付かせるために、NPSが社内の「共通言語」として有効だと評価しています。

 ★参考資料・情報

・日経情報ストラテジー April 2013

・アメリカン・エキスプレス・インターナショナル 日本支社社長 ロバート・サイデル氏講演(日経情報ストラテジー主催セミナー:「米国の称賛される会社」の優れた手法/風土に学ぶ)