顧客エンゲージメント、顧客満足度向上のためには、個々のタッチポイントではなく、カスタマージャーニー全体の最適化を目指そう!

顧客エンゲージメント


「カスタマージャーニー」とは、例えば「購入」、「会員登録」、「問い合わせ」など、顧客がなんらかの目的達成のために行う一連のプロセスを指します。

カスタマージャーニーの中で顧客は、企業のWebサイト、フェイスブックページ、ツイッターなどのソーシャルメディア、コンタクトセンター、店頭など、様々な「タッチポイント」において、当該企業の購入システム・手続きやオペレーターや店員さんなどの人々と関わり、やりとりをすることになります。このような、それぞれのタッチポイントで顧客が体験する企業とのやりとりを「顧客体験」と呼びます。

したがって、カスタマージャーニーとは、なんらかの目的達成の過程において顧客が受けることになる、複数の「顧客体験」全体と言えるでしょう。

近年、とりわけインターネット登場以降、顧客が企業とコンタクトできるチャネルやツールが増え、顧客と企業が出会う場である「タッチポイント」も多様化したことにより、企業としてはできるだけ多くのタッチポイントを設け、そこで最適な顧客体験を提供することに腐心するようになってきています。

カスタマージャーニーにおける複数の顧客体験全体を最適化することが求められている!

しかし、現在、またこれからは、それぞれのタッチポイントを独立した存在として扱い、タッチポイント個々での顧客体験最適化を図るのではなく、カスタマージャーニー全体、言い換えると、一連のタッチポイントを有機的に結合し、全体としての顧客体験をよりよいものとしていくことが求められています。

ここで、「有機的に統合する」というのは、カスタマージャーニーにおいて、顧客があるタッチポイントから別のタッチポイントへと次々と移動していく流れ(例えば、Webサイトからチャット、さらには電話へと移動するなど)において、あらゆるタッチポイントで顧客の基本情報が共有できていることに加えて、直前のタッチポイントで顧客がどんなことをしていたか、どんなことに引っかかったり、困ったりしていたか、といった状況に関わる情報=コンテクストが共有されている状態を言います。

これには大きくは2つのメリットがあります。

顧客エンゲージメントを向上できる

Customer例えば、会員登録フォームの入力中に顧客が不明箇所に遭遇した場合、チャットでオペレーターに質問できれば便利ですね。その時、対応するオペレーターが顧客の入力画面を共有できれば、どこでひっかかっているかが一目瞭然。顧客にいちいち説明してもらわなくても、適切な対応を取ることができます。

このように顧客の状況=コンテクストを企業側がリアルタイムで共有できれば、顧客に余計な手間をかけさせることなく、スムースに対応できるので顧客の好意度が上がります。つまり、「顧客エンゲージメント」向上に効果があるというわけです。

顧客サービスコストが削減できる

operater顧客がWebサイトからチャットへ、eメールから電話へなどとコンタクトチャネルを切り替える際に、直前の顧客の状況=コンテクストが共有できていないと、顧客からの状況説明の時間が必要ですし、企業側担当も状況を把握するために手間取ったりして、問題解決までの時間が長引くことになります。

しかし、顧客のコンテクストを共有できていれば、顧客からの説明が省けますし、オペレーターもすばやく状況を把握して、問題解決に最短で到達できるような対応が可能になりますので顧客対応時間が短縮可能。結果的に顧客対応の効率が上昇し、コスト削減につながります。

カスタマージャーニー全体での最適化を目指す企業が手にする成果

以上ご説明したように、カスタマージャーニーにおける一連のタッチポイントを有機的に結合し、全体としての顧客体験の最適化は、顧客エンゲージメント向上と、同時に顧客サービスコストの削減にもつながる一石二鳥の効果があるのです。

実際、マッキンゼーの調査研究によれば、個々のタッチポイントに対応しているだけの会社と比較して、カスタマージャーニー全体での顧客体験向上を目指している企業のほうが以下のようなより優れた成果を上げています。

・顧客として定着する割合が19%高い

・企業(製品・ブランド)の他者への推奨意向が28%高い

・顧客の離脱率が33%低い

・顧客満足度が36%高い

財務的にも、カスタマージャーニー全体に配慮している企業のほうが、個々のタッチポイントに個別に対応している企業よりも、

・収益成長率が10-15%高い

・顧客対応コストが15-20%低い

ということがわかっています。

カスタマージャーニーにおける様々なタッチポイントを有機的に結合するためには、GENESYS社が提供するカスタマーセンターソリューションのようなソフトウエアの導入も必要になってきますが、今後の企業の競争力の源泉が「顧客サービス」に移行しつつある今、カスタマージャ-二-全体の最適化を目指すための投資が不可欠になりつつあると言えるでしょう。

 (執筆者)

松尾順

松尾 順

株式会社シンクー

エンゲージメントフォーラム CEO(Cheif Engagement Officer)