顧客ロイヤルティを下げる要因となった、阪急阪神ホテルズの「食材偽装表示事件」から学ぶ・・・「リカバリー」の重要性

顧客エンゲージメント

このところメディアを賑わしている阪急阪神ホテルズの「食材偽装表示」。

大阪新阪急ホテルの宴会場で供された「芝海老」が実は安価な「バナメイエビ」を使用したものであったり、また別のレストランでは、「九条ネギ」と称して普通の「白ネギ」を利用していたなど、従業員の認識不足、あるいは知識不足が原因といった説明では、とうてい消費者の理解・納得は得られないでしょう。

この偽装表示発覚がさらに大きな社会問題となってしまったのは、記者会見でのこうした苦しい言い訳が原因です。偽装表示によって当該ホテルは利益を得ています。したがって、「だます意図はなかった」というのは消費者から見れば明らかな「ウソ」としか感じられないのではないでしょうか?

同ホテルグループ傘下のホテルのブランドイメージは、今回の偽装表示によって傷つきました。そして、偽装表示発覚後の対応のまずさ、すなわち「リカバリー」の失敗によってさらに傷口を広げる結果となってしまいました。

目先の「顧客満足度」にはあまり変化がないかとは思いますが、長期的には、「顧客エンゲージメント」の低下につながってきそうです。

さて、当ブログ記事は、当ホテルを批判することが目的ではありません。むしろ、この事件から学べることをお伝えしたいと思います。

消費者がホテルを始めとするサービス業で受ける「サービスの品質」をどのような視点で「良い」あるいは「良くない」と評価しているか、おわかりでしょうか?

「サービス品質」を構成する要素には諸説ありますが、ある研究においては、以下の4つの側面があることが示されています。

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(1)ケアと気使い

組織や従業員、また業務システムが顧客の問題を献身的に解決しようとしている、と顧客が感じる(かどうか)。

(2)自発的な行動

 接客にあたる従業員は、積極的に顧客にアプローチし、彼らの問題解決のために意欲を示し、準備する。従業員は、ただマニュアルに沿って動いているのではなく、自ら考えることができるということを示す。

(3)問題解決

接客する従業員は、自らの業務遂行に熟練し、規準に従って行動する。他の従業員たちも、良いサービスを提供できるようにトレーニングされ、しっかりと計画されている。

4)リカバリー

もし何かしらの失敗や予期せぬ事態が起こると、その状況を処理するための特別な行動をとる準備を整えている人物が存在する。

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上記4つの側面のうち、最初の3つについては、例えば「スターバックス」などを思い浮かべてみれば納得できると思いますが、優れたサービスを提供している企業・店舗はこれらがしっかりと根付いています。

問題は4番目の「リカバリー」です。これはトラブル、不祥事が起きた時に初めてその実力のほどが明らかになるサービス品質ですね。

多くの場合、リカバリーを担当するのは、現場スタッフではなく、現場スタッフをまとめる管理者やさらに上層のマネージャーであり、最終的には社長に行き着きます。

 これまでも、多くのサービス企業の不祥事が明るみに出ましたが、ブランドが失墜したまま、廃業に追い込まれるか、あるいは、一から出直してブランドを再構築できるかの境目は多くは「リカバリー」次第だと言えるでしょう。

残念ながら、阪急阪神ホテルは本社のリカバリーの失敗によって、さらなるダメージを受けてしまいました。ただ、まだリカバリーのリカバリーができるチャンスは残っているのではないでしょうか。今後の展開に注目したいと思います。