高い顧客満足度を目指す、ピーチアヴィエーションの関西流顧客エンゲージメント&従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメント

LCC(Low Cost Carrier)、すなわち格安航空会社として人気を集めているピーチアビエーション。 

格安航空会社というと、 「安かろう、悪かろう」 というイメージがありますが、実のところ、従来の大手航空会社と同水準、あるいは凌駕する信頼性を誇っています。つまり、ほぼ時間通りに運行され、めったに欠航することはないのです。手荷物紛失率も大手よりも低いくらいです。 

とはいえ、安い料金を提供するために一人でも多くの客を詰め込む必要があり、座席の間隔は狭くなっていて機内はそれほど快適ではありません。また機内サービスもほとんどが有料となっていて、大手の無料サービスに慣れている人たちにとっては物足りないものがあるのも確か。

それでもLCCが高い人気を誇るのは、コストの安さ、信頼性に加えて、客室乗務員らスタッフの「フレンドリーなサービス」があると考えられています。LCCは、よけいなサービスはいらない、安い方がいいという庶民派向けの航空会社と言えるのですが、顧客エンゲージメントが高く、リピート客が多いのは、こうしたフレンドリーなサービスがあると考えられます。

LCCの先駆けは1971年6月に就航を開始した「サウスウェスト航空」ですが、同社は機長のユーモアあふれる機内アナウンスや、客室乗務員のちょっとしたパフォーマンスで乗客を楽しませることで有名です。従業員の採用において、ユーモア感覚の有無が重要な選定基準のひとつになっていることもよく知られています。

(ラップで乗客に案内するサウスウエスト航空の客室乗務員)

ピーチアヴィエーションもまた、機長や客室乗務員、また地上スタッフのサービスの品質に配慮しています。同社スタッフが共有する価値観は「元気あふれる日本らしい品のあるサービス」です。機内清掃をしっかりやって「クレンリネス(清潔さ)」を保つのはもちろん、関西生まれの客室乗務員には、関西弁でのアナウンスをやってもらうなど、庶民派のLCCだからこそできる目線の低い、愛着のわくサービスを提供しているのです。

ピーチアヴィエーションの井上慎一社長は、日本においてLCCを立ち上げるに当たって、世界のLCCを見て回ったそうです。そして彼が気づいたことがありました。それは、成功しているLCCはどこも、「スタッフが楽しそうに働いていること」でした。

安い価格を維持するためにコスト削減に努めなければならず、お金をかけたサービスは提供できない分、スタッフたちが知恵を絞って、お客様を楽しませる、喜ばせる工夫をあれこれとする。結果として、乗客が笑顔になり、スタッフに「楽しかったよ」などとうれしい言葉をかけてもらってスタッフもうれしくなり、ますますやる気がでる。つまり、「従業員エンゲージメント」が強化されていることがLCCの成功の要因のひとつなのです。

LCCは、「顧客エンゲージメント」「従業員エンゲージメント」の両輪がうまく回ってこそ成功するビジネスモデルと言えるでしょう。