人気Facebookページ担当者にきく!JTB【前編】顧客ロイヤルティ向上を目指す活用とは

エンゲージメント

ソーシャルメディアポータルサイト、REX(レッキス)様のご協力により、主としてフェイスブックを活用した「エンゲージメント事例」、すなわち、フェイスブックを通じた「お客様とのきずなづくり」の事例記事、取材記事をエンゲージメントフォーラムでご紹介しています。

今回は、株式会社ジェイティービー(以下JTB)にお邪魔しました。現在8万人ちかい数のファンを抱えているJTBのFacebookページには、毎回の投稿に500~700、多いときで3,000~4,000以上の「いいね!」がついています。加えて、コメントやシェアも絶えない人気ページ。

インタビュー前編ではFacebook活用の目的やその背景、1年半運用を続けてきて得られた効果や今後の展望をご紹介します。

JTB 坪井様 漆畑様

▲今回取材にご協力いただいたFacebook運用事務局メンバーの漆畑様(左)と坪井様(右)。

「JTB」Facebookページ⇒https://www.facebook.com/jtb.jp

お客様との絆を強めるため、Facebookページを開設

 Q. Facebook活用の目的と経緯をおきかせください。

漆畑様:目的はお客様との絆を強めることです。ブランディングですね。Facebook活用はJTBがお客様にお約束している『感動のそばに、いつも。』というブランドスローガンに通じています。

経緯なのですが、2010年後半から、企業も社会や生活者と一体になって価値をつくりあげるような時代への変化が話題になっていました。同時に国内でのFacebookの存在感が大きくなってきたこともあり、JTBとお客様のコミュニケーションのなかでFacebookを活用するということを検討するようになりました。

実はJTBにおいて本格的なSNSの活用はFacebookが初でした。それまでTwitterやmixiを含めSNSの公式アカウントを使ってお客様とコミュニケーションするということはあまりなかったので、約半年間の検証・調査を経て、ファンの方との交流を通じ「価値ある出会いと交流の場」を作ることをコンセプトにしたJTBのFacebookページを2011年7月に開設しました。

開設に至っては、Facebookが実名登録であることも大きな決め手になりました。お客様とリアルに近い信頼性のあるコミュニケーションが取れるのではないかと考えたからです。

Q.『お客様との絆を強めること』が目的となると、数値での目標設定が難しそうですね。開設当初はどういったことを目標にしていたのでしょうか?

漆畑様:お客様とコミュニケーションをとっていくうえで、まずはファンの総数が一定数必要です。そのため中長期的ロードマップをひいたうえで、ファン数を2011年度末で1万人、2012年度末で10万人という数値を目標値として据えました。

ただしやみくもにファン数を増やすと、盛り上がらないページになってしまい目的に沿いません。ブランディングの機会としての軸をぶらさずに、ファンの集客施策もバランスを重視して行っています。

集客の本当の成功要因は、日々の投稿にあり

Q.ファンの集客について、数種類のアプリや広告なども利用されていますよね。成功したもの、そして成功のポイントをお教えいただけますか。

漆畑様:アプリでは『あなたの感動予報』(簡単な3つの質問に答えると、絶景画像がユーザーのウォールに投稿される)が最もファンが増えました。理由は、簡単な操作で気持ちの良い写真が出てくる、そして内容がJTBにマッチングするといった仕組みが功を奏したからだと考えています。

Facebook広告はアプリでの集客に多少加速をつけるためのものとして、限定的に利用しています。

感動予報

▲『あなたの感動予報』アプリの質問(左)と、回答後の投稿(右)

Q.一気にファンが増えた後、ファンの取り消しやリーチ減少、ページの盛り上がり状況(話題にしている人の率)の低下など、マイナスの反動はありましたか?

漆畑様:ファンの数の伸びやリーチ率は一時的に鈍化しましたが、現在は回復しています。

アプリに興味がある方とその友達にファンになっていただいたので、新たにファン数もリーチも増えていました。しかし一方で離れていく方もいたため、ファン数もリーチも減っていたのではないでしょうか。これまでとは違う方々にも見ていただけるように層が広がったと認識しています。

話題にしていた人の率(ページの盛り上がり状況)もほぼ同じでした。

実は集客の本当の成功要因は、アプリというよりも日々の投稿にあります。アプリはJTBのFacebookを通じてJTBとコミュニケーションする方々を増やすための手段でしかありません。

毎回地道に投稿している内容がファンの方々に好感をもっていただいているからこそ、今に至っている(ファンが定着し、支持され続けている)と捉えています。

投稿の結果を共有することが、次の投稿案につながる

Q.投稿の内容をおろそかにしないことが重要ですね。御社では47都道府県の感動、国当てクイズ、旅で一句、絶景など様々なコンテンツを投稿されていますが、日々の投稿の効果検証は、どのように行っているのですか。

漆畑様:事務局メンバーで毎月一回編集会議を行っています。そこでは自社のFacebookページの動向を注視しながら、他のFacebookページの動向も参考にするようにしています。ほか、毎日メーリングリストやFacebookのグループなどでもやり取りをしながら、改善していっていますね。

一番注目している指標は投稿のエンゲージメント、つまりファンの反応がどうだったのかというところです。どのような投稿をしたらファンに反応してもらえるのかという施策を常に考えています。

坪井様:会議のレポートについては毎回定型で数値を出しているものもあるのですが、効果の高かった投稿ランキングを作成することもあります。

ランキング形式にすると傾向が見えやすいのです。例えば社員が笑顔で載っているものは「いいね!」が多いことや、ハワイの写真が「いいね!」が多いのは日本人はハワイ好きな人が多いからではないか、などという数値だけではわからないことに気づかされます。

JTB 坪井様

▲Facebookページの投稿や効果検証を担当している坪井様

また、なぜ「いいね!」が多くついたのかを皆で議論し仮説を立てることで、次の投稿案にもつながるのですよ。事務局員から「この時期にはこういうネタがありますよ」という情報をもらえたりするので、好事例はなるべく共有して次につなげるようにしています。

投稿を通して、お客様とともに感動を共有する

Q.約1年半Facebookページの運用を続けてきて、目的である『お客様と絆を強める』効果は出ていると感じていますか?

漆畑様:何かを販売しているわけではないので「効果」というと難しいですね。エンゲージメントや「話題にしている人」の数が一定数いることを考えると、信頼の絆づくりには寄与できているのかなと思っています。

一方で、私たちは色々なところでお客様と接しています。Facebookに限定した効果としては、極めてあいまいですね。数値的に語れるものではないと考えています。ただ私個人としては、投稿に「いいね!」がたくさん集まった時は『お客様と絆を強める』ことができたと感じています。

ファンの方は、日々友達や企業からの投稿を目にしています。そんななかJTBの投稿に「いいね!」してくださっているということは、ファンの方にとって癒しになったり、役に立ったからこそではないかと想像しているのです。

坪井様:Facebookページの投稿を担当している私が最も『お客様と絆を強める』ことができたと感じたのは、ロンドン五輪で日本女子バレーが銅メダルを決めたときの写真投稿です。

JTBコーポレートセールスではロンドン五輪にお客様をお連れするという商品を扱っております。そのため、お客様とともに観戦していた現地スタッフから「この感動をぜひ伝えてほしい」と写真が送られてきたのです。連絡を受けてすぐにアップロードした投稿に集まった「いいね!」は6,000を超え、今でも最高記録となっています。

ロンドン便り Vol.5

▲ロンドン五輪、日本女子バレーの投稿写真

ロンドン五輪での感動をファンの方とともに一緒に共有できた瞬間でしたね。まさにJTBのブランドスローガン『感動のそばに、いつも。』を体現した出来事でした。

Facebook活用の影響は内部にも

Q.お客様に対してだけではなく、Facebook活用を始めたことによる変化は内部にもありましたか?

漆畑様:はい、大きく2つあります。

一つ目は、グループ内でのシナジーの強化です。現在JTBではFacebookのアカウントを一本化してページを運用しています。多くの関連会社や各地域各事業会社と関わってこのFacebookページを運用していますので、お互いのリレーション強化につながったという実感があります。

二つ目は、社員にブランドがより浸透したということです。ブランディングとはその会社の価値を明確にし、強くしていくものです。対外的に自社の情報を発信したり、生活者とコミュニケーションをとるなかで、自分(社員)はどういった行動をしなければいけないのかを必然的に考えるようになります。その一連の流れのなかで、気づきや学びを得て、模範的な行動が身についてくるのではないでしょうか。

また、社員にとってはFacebook活用は"地域の知られざる魅力を発信していく"ということを意識する良い機会にもなっていると認識しています。これはJTBの事業ドメイン「交流文化事業」に通じる部分でもあります。

まとめ -Facebookで企業の新しい価値を提供-

2012年に100周年を迎えたJTB。長い歴史を通して、お客様や関連している企業や団体、そして地域との間で培ってきた「関係性」「つながり」こそがJTBの強みだと語る漆畑様。今後はその「関係性」「つながり」という強みを、さらにFacebookページに活用していきたいと考えているそうです。

JTB 漆畑様

▲今後の展望について語る漆畑様

具体的な例でいうと各地域の方々と一緒になって、魅力や交流をつくりだし発信していくこと。関連会社であるJTBコーポレートセールスで行なっている、法人活動を支援するような旅のチカラや価値の発信していくこと、などを語ってくださいました。

お客様と絆を強めることを目的に、初めてのSNS活用として始めたJTBのFacebook活用。お話を通してJTBのFacebookページでは、店頭でのお客様と接点とは少し異なる角度から、お客様の日常に近い感動など、新たな価値を提供しているということが伝わってきました。今後、Facebookページのパワーが増すほどに企業として目指す方向にJTBを推し進めていく活力になる可能性を秘めているのではという感覚を覚えるインタビューでした。

『人気Facebookページ担当者にきく!JTB』の後編ではJTBのお客様との絆を強めるFacebookページ投稿のポイントをご紹介しています。後編はこちらからどうぞ!>

<初出>2013年1月22日

取材・執筆者:

柴佳織

柴 佳織

分析を中心としたWebのコンサルタント。
Facebookプロモーション国内事例集の運営者であり、Facebookページの解析・運用支援なども行っている。

REX(レッキス)→ http://socialmedia-rex.com/