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    2018.04.09 エンゲージメント
    高額で知識のないものを人は買いにくい。洋服は業界人が思っているよりも「高額品」である

    photo credit: homethods Entrepreneur Business Affiliate Marketing Blogger – Credit to https://homethods.com/ via photopin (license)

    意外に洋服にお金を使わない消費者

    洋服が売れない時代と言われていますが、世間的な平均ではどれくらいファッションにお金を使っているかをご存知でしょうか?総務省の家計調査報告書によると2016年度は月額平均で被服代への支出は10,878円でした。1年間に置き換えるために12倍すると13万536円となります。これが我が国の平均的な被服への支出です。多くの人は月額1万円分くらいしか洋服を買いません。一般的な人に1万円を越える洋服や靴などを売るというのは非常に難しいことだといえます。もちろんこれは平均値ですのでもっと買っているという人もいれば、これ以下だという人もいます。

    ちなみに私はいつもセール品を主に買っていますが、一般的な消費者よりは洋服を買っていて、年間で25万円分くらい支出しています。このブログを読んでいただいているアパレル関係の方がいらっしゃると思いますが、皆さんはもっと多く洋服代を使っているはずです。ついつい自店でお買い物をしてしまってカードの支払いに追われているという販売員や店長は珍しくありません。当方の知り合いで昔、洋服代で100万円の借金を背負っていたという人がいますが、この程度の人はアパレル、ファッション業界ではそれほど珍しくありません。むしろ、もっと多額の借金を背負っている人もいそうです。

    それほどアパレル業界にいる人は洋服が好きなのです。仕事のために買わざるを得ないという部分もありますが、それを除いたとしてもやっぱり洋服が好きなのです。洋服をビジネスにしている人はほぼ間違いなく洋服好きだといえます。ですからついつい、一般消費者の洋服への消費がイメージできません。また、自身が洋服にはそこそこお金を使っているので、一般消費者もそれに近い支出をしていると考えてしまいます。最近では消費者も高齢化し、洋服よりも化粧品の方にお金をかけているというデータも見受けられます。

    しかし、冒頭にも述べたように洋服への月額支出は1万1000円弱しかないのです。1万円を越える洋服・靴・バッグというのは一般消費者からすると「かなりの高額品」ということになってしまうのです。ここを見落としてはいけません。 「日本製なのに1万2000円」とか「このクオリティで1万9800円」とか、そういう売り文句がありますが、一般消費者からすると「単なる高額品にすぎない」のです。日本製だとか、クオリティが良くても、それは「単に高い物」というふうに認識されます。ですから店側、メーカー側の期待に反してこれらの商品がそれほど売れないという事態になってしまうことがあるのです。

    接客時の説明の仕方を変えてみよう!

    普段から洋服に接していて、洋服が大好きな販売員やメーカーの社員からすると、「見ただけでその良さがわかる」という商品でも、一般消費者からすると「見ただけではさっぱりわからない」ですし、商品説明を聞いてもまったく心が動かないのです。洋服が「好き」という気持ちと知識量が圧倒的に違うのですから、そういったアプローチだけでは、購入につながりません。

    例えば、不動産や株の取引について、懇切丁寧に説明を聞いたとします。すぐさま「よくわかった!すぐにやってみよう」と思う人がどれだけいるでしょうか。ほとんどいないでしょう。それはなぜかというと、不動産や株は価格が高いからという理由と、それに対する知識が圧倒的に少ないという理由があるからです。不動産や株の値段はそれこそ何十万円、何百万円もしますし、不動産や株の知識を持っているという人はそれほど多くありません。高額で自分の知識がまったくない物はいくら懇切丁寧に説明されたとしても、人はすぐさま納得して買うようなことはないのです。説得されると、たいていの人は「もしかして言いくるめられて騙されるかもしれない」と身構えています。その説明が嘘か本当かを見抜くことができないからです。

    翻って洋服販売について考えてみましょう。平均支出額からすると2万円とか3万円の洋服というのは「高額品」なのです。おまけに一般消費者は洋服についての知識はあまり持ち合わせていません。それこそ、自分が着ている服が何サイズなのかわからないとか、S、M、Lサイズの違いが理解できないとか、綿とポリエステルの違いがわからないとか、そんな人は決して珍しくないのです。珍しくないどころか多数派だと言っても言い過ぎではありません。

    ですから、我々が不動産や株の売買を持ちかけられたときと同じになってしまうのです。「もしかしたら販売員に騙されるのではないか」「もしかしたら、似合わない色を高い値段で売りつけられるのではないか」、そんな風に身構えてしまうと考えられます。

    販売員やアパレルの社員は仕事でもあり、洋服が好きですから、洋服に対する知識をある程度は持ち合わせています。ですから、ついつい、一般の消費者も自分たちくらいは知識を持っているだろうと考えてしまいがちです。これは洋服に限らずどの業界でも同じではないでしょうか。不動産しかり株式しかりパソコンしかりです。一方、食品や飲料については、毎日何回も口にするため、それだけ経験値が高くなります。ですから、大した説明を聞かなくてもさっさと購入できるのです。また価格も一部の例外を除いては衣料品よりもはるかに安いから失敗したとしてもそれほど痛く感じません。

    ですから、洋服販売員はどうすればよいかというと、それを認識した上で初心者に対して説明するようにしてみてはいかがでしょうか。ファッション業界の人はともすればカタカナを多用しすぎて、ルー大柴さんのようになっています。「コンシャスなエクスペリエンスをインクルードする」なんて説明を聞いても誰もわかりません。これをもう少しわかりやすい普通の日本語に変えてみてはいかがでしょうか。使う言葉を変えるだけで、お客様からの信頼度が随分と上がるのではないかと思いますがどうでしょうか?

    SHAR

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