アメリカNPS事情・全店舗800店で導入し、売り上げを伸ばしたメイシーズ!彼らのNPS検証・分析をレポート。

コラム

photo credit: Phillip Pessar Macy’s Former Burdines Westland Mall Hialeah via photopin (license)

NPS導入後、 店頭でVOCをもとにした検証を行なっていますか?

「Impact Analytics」と題したメイシーズ(Macy's)のセミナーがメダリア主催のイベントで実施されました。メイシーズがNPSプログラムを導入後、どう検証し、どう売り上げを伸ばしたか?のケーススタディが紹介されていたので、以下簡単にレポートします。 

小売業・流通業では、施策を打った後にその施策がどうだったのかを検証することが、ほとんどありません。つまりPDCAという概念は存在しますが、実はほとんどのケースはPDCAは回っていないのです。それはアメリカだけでなく日本でも同様です。

意外と思われかもしれませんが、本当にそうなのです。その証拠にわざわざ、「Impact Analsis」という題材のでの講演でありましたし、この会場に来ている方の多くは、この施策の検証がない事について、大きくうなずきながら話を聞いていたのです。実際、TEGのクライアントでもPDCAが回せるアパレル企業は非常に稀です。

メイシーズはAmazonに代表されるECに対抗するためには、顧客とのエンゲージメントを高めるしかないと考え、アクションを起こしています。彼らは顧客満足度をスピーディーに上げることに、生き残りをかけているのです。何もしなければ、トイザらスのように沈没してしまうことを恐れています。メイシーズは、最初に自社の数店舗でお客様の声であるVOCを聞く実証を行いました。

VOCをスピーディに集めることが成功の鍵

この取り組みを成功させるためには、二つのポイントがあります。

一つは、サイロ化からの脱却です。日本の百貨店でも、私たちには見えない売り場には、担当者の壁があります。たとえば婦人靴担当とウォッチ担当では、店が隣同士でも連携し合うことはありません。NPSプログラムを運用しているチームが、現場の利害関係者といかにパートナーシップを結んで同じKPIに向かって、実行していくかを意識しできました。

もう一つは、リソースが限られているなかで、スピード感をもって施策を行動できるかです。時間をかけて難しい分析をやるのではなく、VOCを素早く集め、現場のスタッフがそれをもとに行動できるようにしたのです。 

このような状況を意識してテストした後、2010年、NPSプログラムを800店舗全店で本格的に展開を開始しました。最初の3年間は毎年全体のNPSが10ポイント上昇して、全社売り上げが10億ドル伸び、株価が3年で140%になった。

さらに2015年、メイシーズはNPSの専門家であるメダリアとともに、カスタマーエンゲージメントプログラムの運用をスタートし、特定の売り場で実行と検証を行うようになりました。NPSがさらに1.8%上昇して、トップラインセールスが10%アップする結果を得られました。

前段にも書きましたが、リテール業界においてPDCAを回すことは、非常に難しいのが現状です。もともと、PDCAは製造業における生産性を上げるための概念であるし、変数が固定化されるため、やりやすいのです。小売業は、顧客の期待値も変われば、要望も異なりますし、販売もまた、人であるためサービスの質に変数があります。

このMacy'sでは、検証といっても、難しいP☞D☞C☞Aということではなく、Test&Learningと言っています。つまり、テストしたことから VOCを基に、気づきを得て、さらに進化させてテストをするのです。VOCをクイックに集めて、実行していくことが肝心です。

(トータル・エンゲージメント・グループ コンサルタント 藤谷拓)