NORDSTROM(ノードストローム)はどうCX(顧客体験)を高めているか?

コラム

アメリカの百貨店のシアーズが破綻しました。かつての強者のシアーズはデジタル化に乗り遅れ、アマゾンの餌食になったのです。アマゾンの脅威が強まる中、アメリカの小売各社は対策を常に練っています。アマゾンができないことをすることで、顧客の気持ちをつかもうとしています。
先日ユルゲン・メフェルトのデジタルの未来 事業の存続をかけた変革戦略ディズニーの事例を紹介しましたが、今日は本書からNORDSTROM(ノードストローム)の取り組みを紹介します。 
老舗アパレルのノードストロームの変革は現状認識から始まりました。2003年にCEOブレイク・ノードストロームは「将来は私たちの業界でも大半の成長は電子商取引の分野で起きるだろう」と指摘し、「戦いの勝敗を分けるのは、まさにこの分野だ」と述べています。ノードストロームはデジタル投資を比較的早くスタートし、旧来のビジネスモデルに大規模な変革を起こしたのです。
店舗でのオペレーションにおいても、顧客体験の最適化を開発の大原則としました。在庫管理システムで商品をチェックするのではなく、顧客が注文したアイテムを、iPadを使って魅力的にレイアウトされたサイトで見せるようにしたのです。
ノードストロームは、オンライン専業の小売業者にはない、実店舗でのショッピング体験という強みを意識し、Amazonに対抗しています。顧客は店舗では手厚くもてなされ、お目当てのアイテムを実際に目で確かめ、触れ、試してみることができるのです。チェーン展開するノードストロームは細心の注意を払って顧客のニーズを掴もうとしています。
また、どんなファッションにしようかと迷っている顧客向けには5年前にトランクルームを買収し、CXを高めました。このトランクルームでは専属のパーソナルスタイリストが顧客を担当します。顧客の好みのスタイルにあった服や靴などをセレクトし「トランク」と呼ばれるボックスで発送してくれます。10日間の試着期間の間は気に入らない商品は返品可能です。オンラインとオフラインの双方の動向を活用し、好みに合ったアイテムを継続的に提案するプログラムで、ノードストロームは顧客を囲い込んだのです。また、バーゲンはオンラインとオフラインの両方で行なうといったことも含め、顧客を喜ばせる努力を彼らは続けています。
ノードストロームのタッチポイントは全て同じテクノロジーで処理されていますが、顧客に提供される中身はそれぞれ異なります。ノードストロームが戦略の核に据えているのは、マルチチャネルで買い物をする魅力的な顧客です。市場調査によるとマルチチャネルで買い物をする顧客は実店舗のみ、あるいはオンラインのみで買い物をする顧客よりも3~4倍多くお金を使うことがわかりました。
オンラインとオフラインをシームレスに行き来できるサービスを提供するためにノードストロームは多大な投資を重ねています。なんと2020年までテクノロジー・プラットフォームに15億ドルを投資することが決まっているとのことです。
ノードストロームは低価格で顧客に商品を提供できるEC事業者に対抗するために、顧客とのタッチポイントを重視します。リアルの接点と、自社のIT(WEB、アプリ)をどう連携させて、情緒的な価値を顧客に伝えるか?を徹底的に考えたのです。宿敵Amazonに勝つためには、顧客との全てのタッチポイントを連携させ、顧客をファンにするしかないのです。
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今回、ノードストロームのサイトを見て驚きましたが、日本への配送も可能で、価格表示も円を選択できました。ノードストロームは世界中の200の国の顧客を意識し、オンラインでビジネスを行なっています。この姿勢を日本企業も真似した方がよさそうです。
 
 
photo credit: jjbers Westfarms Mall via photopin (license)