お客様の共感を呼び、ロイヤリティの高いファンを醸成する、人気の給食パンメーカー

顧客ロイヤルティ

神奈川県相模原市にある「オギノパン」。工場では、毎日平均25000個のパンが作られ、200校以上の学校や保育園に出荷されています。山奥にあるにも関わらず、一日4000人以上が集まることもあるという工場直売店では、昔懐かしい「あげぱん」が人気。揚げたてを求めて県外から訪れる人も多く、子供たちも「自分の学校のあげぱんよりおいしい!」と大喜び。

オギノパンを経営しているのは、荻野時夫氏(兄)と荻野隆司氏(弟)の兄弟コンビ。昭和35年に創業したオギノパン、田舎での商売だったため軌道に乗らず、荻野家はずっと苦労を強いられていたのだとか。でも荻野兄弟の父親が、数字が苦手な兄にパン作りを、パン作りが好きではないという弟に営業・経理・総務などを任せたところ、お互いの弱点を補うことで、年商8億円になるまで会社は成長。

なぜオギノパンがここまで成長したのか、まずお客様のニーズを読み取り、声を商品に反映させているという点があります。例えばオギノパンの一番の売れ筋である「丹沢あんぱん」、通常のあんぱんの約半分のサイズでとっても小ぶり。荻野隆司氏が高齢者施設を訪れた時、「普通のあんぱんは大きすぎて食べきれない」「もっと餡子の味を楽しめるあんぱんが食べたい」という高齢者の声を聞き、それを兄の荻野時夫氏に伝えることで、この小ぶりのアンパンが実現したそう。それに加え、唾液が少ない日本人の好みに合わせて、しっとりした食感が出るよう、外国産ではなく国産の小麦を使用。国産小麦を使った皮は機械では破れてしまうということで、一つ一つ職人が手包み。お客様の声を商品に反映させたことはもちろん、このようにお客様に喜んでもらおうという心から生まれる心遣いが共感を呼び、小さなあんぱんにぎっしり餡子が詰まっているという期待以上の商品を提供したことが、ファンを作るきっかけとなったようです。

また注目したいのが、直売所の内装。荻野隆司氏のこだわりを反映させ、パンの陳列台は昔ながらの学校の机、机の横にはランドセル、パンを載せるトレイには給食トレイ、レジの後ろには黒板など、全体が小学校風にまとめられています。とてもアナログな雰囲気が漂う店内ですが、そのことについて彼は「いただきます、ごちそうさま、といった言葉のように、昔からいいものは必ず残ってきた。だからアナログを大切にしたい」と話します。今では欧米風のオシャレで洗練されたパン屋も大分増えました。それでもあげぱんやあんぱんを求めて多くの人がオギノパンに集まるのは、心をほっと癒してくれるそのアナログな雰囲気や商品のファンが多いという証拠。大人から子供へ、その子供が大人になってまた子供へ、ずっと伝えていきたいと思わせてくれる商品作りをつづけるオギノパンのような企業こそ、持続的な成長を続けるのではないでしょうか。