デジタルマーケティングだけでは顧客ロイヤルティは築けない

顧客体験

若いころは痩せの大食いと言われていたのが、今や小食の小太りになってしまった、わたちゃんです。まあ、思い当たることはいっぱいありますけど。(Photo by Flickr)

2つのジム 貴方はどっちを選ぶ?

貴方が商品やサービスを売る立場を離れて、一人の生活者だと思ってください。貴方は日頃の不摂生からメタボ気味になりお腹回りの肉が気になり、最近流行りの個人指導型ダイエットジムに通ってみようかとネットで情報を入手しています。そんな中、以下の2つのジムがありました。

<ジムA>

フェースブックやLINEを日頃から利用している貴方のタイムラインには、最近テレビでも盛んに宣伝をしているジムA社のネイティブ広告が出てくるようになりました。今の自分には興味をそそるような内容で、時々読んだりA社のシミュレーションソフトを使いダイエットシミュレーションをしたりしています。またLINEではA社からキャンペーンで入手した頑張るメタボオヤジのスタンプがお気に入りでよく利用しています。

ある休日、ジムAがある駅に降りたところ、LINEにより「今なら無料体験受付中!!一度寄ってみてください」という案内がきました。ちょうど時間もあるし寄ってみようかな、と思いジムAに立ち寄ってみました。カウンターに座り少し話を聞いてみると、あたかも自分の悩みをすべて理解したようなトレーナーが的確なアドバイスをくれました。簡単なトレーニングを受けて、帰りには「今ならLINE会員特別キャンペーンで15%引きで入会できます」とオファーを受けました。「さすが大手は違うな」と思った日でした。

<ジムB>

貴方はマンションの管理組合の会合で、同世代の住人の間でメタボ話で盛り上がり、ジムAに入会しようかと思っていることを話しました。そうすると住人の中に、同じ個人指導型のジムBに行っている人がいました。ジムBあまり宣伝もしてないようであまり知られていないジムです。住人の話によるとジムBの経営方針としては、宣伝にはお金を極力かけないで、その分会員の要望を常に聞いてトレーニングプログラムや施設、トレーナー他のサービス品質の向上させることに金をかけるという方針のようです。実際に、ジムではいつでもトレーニングの相談やサービスへの苦情、申し出ができる窓口や、トレーナーとは別のカウンセラーが存在して、トレーナーに言いづらいちょっとした嫌なことやトレーニングプログラムに関する意見を常に吸い上げてくれるので、気軽に自分の感じたことや希望がいいやすくなっているようで、会員のほとんどが、トレーニング終了後に苦情に限らず簡単な相談を盛んにしているようです。また会員専用のスマホアプリにより、自分のプログラムの進捗やダイエット記録、次回の予約、トレーナーやカウンセラーからのアドバイスもしっかりとしてくれ、スマホアプリからでも感じたことや嫌なことを吸い上げてくれる工夫が施されています。近隣住人も「最初はジムAにしようかと思っていたがジムBにして良かった。トレーニングの回数を重ねごとにサービス品質が向上するのが分かります。絶対お薦めです。」と言っています。

 さて、貴方はどちらのジムを選択するでしょうか?

私は迷わずジムBを選択します。マーケティングマネージャの立場であればジムAのようなマーケティング施策を実施したいと思いますが、生活者の立場に立つと、新規顧客獲得のためより、会員のサービス向上のための投資を優先する企業を選びたいですし、友人に推薦したいのはB社ですね。

デジタルマーケティングは強力な施策。だが、それだけではダメ

デジタルマーケティングは、「購入する可能性の高い潜在顧客を見つけ出し、その潜在顧客のニーズに合ったパーソナライズされた役にたつ情報を提供し、コミュニケーションにより企業や商品の支持を得て購買につなげる」というターゲティングとコミュニケーションを効率よくかつ効果的に実施できる強力な手法です。過去のマーケッターにとっては夢のような仕組みなのです。

しかしながら、デジタルマーケティングだけに頼った施策では長期的なお客様の信頼やリピート、口コミといった顧客ロイヤルティ強化にはつながりません。それはデジタルマーケティングのゴールの多くが「購買」という終点を目指しているからです。

既存顧客に対するロイヤルティ強化施策があってこそ、デジタルマーケティングが長期的な収益貢献の位置づけにもなります。またロイヤルティ強化策は離反防止や口コミ効果を考慮すればデジタルマーケティングより収益貢献になる場合もあります。靴のオンラインショッピングのザッポスはその先駆者です。

デジタルマーケティングと既存顧客を基軸としたロイヤルティ施策をバランスよく実施できれば企業の永続的な競争優位の獲得が可能となります。

そして、ロイヤルティ施策で重要なことはジムBが実施しているようなポジティブな顧客体験したり、ネガティブな顧客体験を解消するといった派手ではないが既存顧客の満足度向上を目指すことなのです。

ということで、僕も早速入会し、小食なナイスバディを目指そうかな、と思ったりしてますが、後は覚悟ですかね。