Facebookページが「お客様が自然と商品を宣伝してくれる」場に!顧客ロイヤルティ向上に成功している寺坂農園にきくページ運営の秘訣

facebookページ

ソーシャルメディアポータルサイト、REX(レッキス)様のご協力により、主としてフェイスブックを活用した「エンゲージメント事例」、すなわち、フェイスブックを通じた「お客様とのきずなづくり」の事例記事、取材記事をエンゲージメントフォーラムでご紹介しています。

Facebookページの運用がうまくいっている会社は何を考え、どんな工夫をしているのか知りたくありませんか?

今回は北海道の富良野にある感動野菜産直農家 寺坂農園にお邪魔し、寺坂様ご本人からFacebookページ運営のエッセンスを伺ってきました!

現在、約4万6千人ほどのファンを抱えている寺坂農園のFacebookページには、毎回の投稿に600~1,300ほどの「いいね!」がコンスタントについています。加えて、ファンからのコメントが絶えずに賑わっているページです。

本記事ではFacebook活用の目的や得られた効果、ファンが自ら商品を宣伝してくれるようなFacebookページに育った理由などをお伝えしてきます。

不利な条件を逆転し『有利』にしてしまうFacebook

柴:Facebook活用の目的をおきかせください。

寺坂様:お客様を増やして商品を売ることと、お客様とのリレーションを補完するためです。それまでは直売所、自社サイト、ブログ、そして紹介などで集客して商品を売っていました。そこにもう一つ、集客システムを増やそうと2012年1月末にFacebookページを始めました。

現在はFacebookページと無料のFacebook専用カートfbcartを組み合わせて使っています。

寺坂農園Facebookページ

▲寺坂農園のFacebookページ。右下にfbcartが設置されている

そして、Facebookはお客様と簡単にリレーションがとれるというのが魅力ですね。富良野という立地は、商売するには不利なのです。送料はかかるし、人とも会えないし、情報がなかなか入ってこない。でもFacebookはその距離をほぼゼロにしてくれました。

私が投稿をしたら、1,000人が「いいね!」やコメントを返してくれる。これには感動しましたね。富良野にいながら、お客様に現地の様子を伝えながら直接関係を築いていくことができます。この状況は、地方にいればいるほど有利なのではないでしょうか。

柴:そうですね、都心など離れた場所にいるからこそ富良野という立地に魅力や価値を感じる部分はあります。そういった意味で、確かに有利ですね。

投稿記事のFacebook広告は、効率よく本当の『ファン』を連れてきてくれる

柴: 現在約4万6千人ほどのファンがいらっしゃいますが、どうやってファンを集めたのですか。

寺坂様:個々人で友達にFacebookページを紹介するということも行なっていましたが、多くのファンを集めたのはFacebook広告です。2012年の2月から6月の間に約1万人ファンを集めました。その時は、商品を売るための広告がメインでした。

しかし投稿記事の広告にしたところ、ファンの獲得単価は3分の1以下になったのです。その後もFacebook広告を継続的に使い、現在のファン数に至ります。記事広告は、見た人が「こういう農家があるんだ。」と寺坂農園のことを知ったうえで「いいね!」を押してくれているという感覚がありますね。

柴:寺坂農園に共感してくれる本当の『ファン』が集まったのですね。宣伝ではないからこそ、ファンになってもらいやすく獲得効率も良かったというのも嬉しいですね。

そうやって広告にも使っている投稿記事ですが、ページを拝見していると種まきから収穫まで、寺坂農園の様子が伝わるものが多い印象があります。投稿について、重要視していることはありますか。

寺坂様:人くささをだすのは大事です。あと、投稿内容のバランスには気を付けているんですよ。売り込みが続かないようにとか、真面目な投稿ばかりで飽きられないよう面白い投稿も入れています。

自然とお客様が商品を宣伝してくれるように

柴:「バランス」ですか。実際に寺坂農園のFacebookページは、商品紹介だけでなく、農作業の様子、四季の風景、お客様の声からかぶりものの面白投稿までバラエティに富んでいますよね。しかも、どのジャンルの投稿にも偏りなく「いいね!」が集まっているのも特徴的だと感じていました。何か秘訣はあるのですか。

寺坂様:秘訣はスタンスが『売り』じゃないというところでしょうか。「DMが出来上がりました」という投稿だけでも、有難いことに800ちかくの「いいね!」がついています。これだけ反応が集まるのは、投稿が売り込もうとする内容ではなく、「待っててねー。」だけの話だからだと思います。お客様と対話することが大切ですね。

寺坂農園

▲DMが出来上がったことをお知らせする投稿に多くの「いいね!」が集まる。

また、日々の投稿のコメント欄には、お客様が自然に「商品届きました」「美味しかった」「感動した」と書き込んでくれます。そのコメントが宣伝になり、新たに買ってくれる人が出てくるという良い流れができていますね。

柴:理想的な状況ですね。それだけファンの心に響く投稿をしているということなのでしょう。投稿を考える際、特別に意識されていることはあるのですか。

寺坂様:自分の仕事を楽しむことが一番ですね。それをただ伝えていくだけです。Facebookでウケるために面白い投稿を作っている、という感覚はないですね。

仕事や職場のなかでの出来事が先にあって、面白いから投稿しようかという流れになるケースが多いです。例えば、私が畑でクマのかぶりものをしている写真があるのですが、もともとは社員を楽しませようとしてやっていたことです。面白いから、このまま写真撮って、投稿しようという流れになったのです。

寺坂農園

▲左は寺坂様ご本人の面白投稿。右は日常の作業風景を写した真面目な投稿。

あと、日常の作業風景を投稿したりもしています。先ほど紹介した面白投稿も、真面目な作業風景を普段から発信しているからこそ、活きてくるのではないでしょうか。自然な姿を投稿しているぶん、寺坂農園の楽しい雰囲気や、一生懸命な様子なんかが伝わるのかもしれないですね。

ネガティブなコメントは、書き込んだ本人が消してくれることも

寺坂様:ただし、農業はクレーム産業です。メロンなんて割ってみなければわからないこともあります。ですから商品についてのネガティブなコメントがつくこともあるんですよ。その場合は、真摯な対応をさせてもらっています。残念な思いをさせてしまい申し訳ございませんでしたという気持ちを伝え、商品を再発送させていただきますというご連絡をしています。

その後、気づいたらコメントをくださった方がコメントを削除してくれていた、ということが何度かありましたね。また、私たち自らネガティブな情報をお伝えすることもあります。

柴:過去にネガティブな情報が含まれるお客様からの葉書を投稿されていましたね。お客様ご本人との関係構築だけでなく、その対応を見ている他のファンにも信頼感を与えていると感じました。こういう情報も自分たちから発信できるというところが素晴らしいなと感じたことが、私自身も印象に残っています。

寺坂農園

▲お客様からの葉書についての投稿。届いた商品のなかに「1本だけ、腐っていた」ものがあったと書かれている。

寺坂様:Facebookは本当に素で勝負する場だと感じています。光も影もポジもネガもなく、すべて受け止められるかが試されているというか。生き方、在り方がありきですね。私たちの理念は「育てたメロンや野菜を全国の人に届け、おいしいと喜んでいただく」ことです。シンプルだからこそFacebookで伝えやすいし、やり取りしやすいのかもしれません。

Facebook活用の効果は目的の達成はもちろん、意外な出会いも

柴:Facebook活用の目的の「お客様とのリレーションの補完」については充分に力を発揮されているのですね。では、もうひとつの目的「お客様を増やして商品を売る」ことについては、どのような結果が出ていますか。

寺坂様:Facebookを始めた昨年と本年(取材時9月末時点)で、こちらで把握している範囲だけでも新規購入されたお客様は680人にのぼります。ただ、アンケートで「Facebook経由」と回答されなかった方もいらっしゃるので、実際はこの1.3~1.5倍の効果が出ているのではと考えています。

柴:目的は果たされているのですね。では、Facebookの投稿において商品を売るために計画したり意識していることはありますか。

寺坂様:メロンやとうもろこしなどの収穫期がきて、新たに商品の売り出しが始まるというときは、一週間のなかでどういった商品記事を出していくかという計画を立てています。あと、投稿で商品を紹介するときに記載するリンク位置には気を付けています。

スマホで見ても、きちんとリンクが表示されるように投稿文の上のほうに記載しています。最後にリンクをつけている場合は、記事を読んで「欲しい」と思った瞬間にページに飛べるようにということです。

寺坂農園

▲商品ページへのリンクを上と下に記載している投稿例

実はこれも、お客様が直接アドバイスしてくれたんですけどね。ある時お客様が「リンクが見えないと売ってるってわかりにくいから、リンクは上のほうにあったほうが親切ですよ。」と教えてくれました。

柴:まさにお客様とのリレーションがとれている証拠ですね。他にFacebookページを運営していて、良かったと実感することはありますか。

寺坂様:人との出会いですね。お客様だけでなく、色々な方からご連絡をいただきます。アーティストの方に、寺坂農園の歌を作ってもらったこともあるんですよ。あとはやはり、多くの方に知ってもらえるようになったことでしょうか。道内で名刺交換をした時も「あっ」と言われることが増えましたね。Facebookで私たちのことをお知りになったようです。

柴:お客様との出会い含め、Facebookを通して本当に多くのご縁をつないでこられたのですね。

まとめ Facebookは在り方が問われる場

今回のインタビューで、一番心に残ったのは「Facebookでウケるために面白い投稿を作っている、という感覚はない。」という一言でした。

Facebookページの運営は、良くも悪くもこちら側の空気までが伝わってしまうという側面があります。そう考えると、表面だけ取り繕ったような投稿やその時だけ演じるような投稿をしても、なにか違和感が残るのかもしれません。

「いかに伝えるか、ということは考えている。」としたうえで、Facebookページの運営は「仕事を楽しむことが一番。」と語る寺坂様。理念に沿って、良いこともそうでないことも伝えている運営には、寺坂農園の在り方がにじみ出ています。だからこそ、ファンからも支持されているのだと実感するインタビューでした。 

 <初出>2013年10月5日

取材・執筆者:

柴佳織

柴 佳織

分析を中心としたWebのコンサルタント。
Facebookプロモーション国内事例集の運営者であり、Facebookページの解析・運用支援なども行っている。

REX(レッキス)→ http://socialmedia-rex.com/