ハイボール人気の次はウイスキー人気? 顧客ロイヤリティ向上ための巧みな仕掛けとは?!

顧客ロイヤルティ

ハイボール人気でウイスキーは以前よりずっと身近になりましたよね。最近では、日本のウイスキー誕生を支えたニッカウヰスキー創始者の竹鶴政孝が主人公のNHKの連続テレビ小説、『マッサン』のヒットをきっかけに、ウイスキーの原酒が注目を集めているのだそう。注目度を高めたきっかけは、ハイボール人気や『マッサン』だけではなく、2014年、日本のウイスキーが世界を席巻したところにもあるようです。

英国のウイスキー専門誌「ウイスキーマガジン」が2007年から開催している国際的ウイスキーコンテスト「ワールド・ウイスキー・アワード」では、ニッカウヰスキー(アサヒ)の「竹鶴17年ピュアモルト」が2度目の世界最高賞を受賞し、英ウイスキーガイドブック「ワールド・ウイスキー・バイブル2015」では、サントリーの「山崎シングルモルト・シェリーカスク2013」が世界最高のウイスキーに選ばれたことで、国内外から熱い注目を浴びています。日本のウイスキーが世界一として認められるのは、私たちも誇り高いことですよね。世界に認められたウイスキーが飲みたい! と注目度が高まるのもうなずけます。


ハイボール人気を作り出したサントリーの仕掛け

10年前には「ハイボール」なんて飲み物を知らなかった人が大半だったのではないでしょうか。そもそもウイスキー自体に「おいしくない高い酒」「飲み方が分からない」「お父さんが食後にたしなむお酒」といったイメージがあり、若者や女性にとっては縁遠い飲み物でした。ではなぜそのウイスキーを使ったハイボールは、なぜここまで人気が定着したのでしょうか?

1つ目の理由に、2008年、サントリーが「角ハイボール」のCMに小雪を起用したことがあります。それまでウイスキーのCMと言えば男性の俳優さんの起用が多かったのですが、美しくて透明感のある彼女を起用したことで、アルコール離れが進んでいると言われている若者や、ウイスキーに苦手意識のあった女性の共感を生み出し、いつしかハイボールは「おじさんのお酒」というイメージから「さわやかで飲みやすい、若者や女性でも楽しめるお酒」というイメージへ変化を遂げていました。

2つ目の理由として、サントリーがブロガー向けに開いた「すごいハイボール」という講習会があります。ここで紹介されたおいしいウイスキーの飲み方がブロガー達の心をつかみ、バイラル効果を生みました。サントリーとブロガー共催による「ハイボールナイト」というイベントが各地で開催されるようになり、「ハイボールの作り方」の動画や書き込みでアクセスを増やし、その人気と知名度は不動のものに

3つ目の理由として、飲食店との協力関係を築いたことがあります。サントリーは飲食店に対して角瓶やグラスの冷やし方などを指導したり、ハイボールサーバーを開発したりして、お店で飲む角ハイボールの品質向上に注力しました。さらにはサントリーのホームページにおいしい角ハイボールが飲めるお店の情報を掲載したサイトも開設。また、CMのイメージそのままの角ハイボールの黄色いポスターを配布し、お店に貼られたそのポスターを見たお客様の心をくすぐり、注文につなげるという流れを作ることにも成功。ビールと比べてずっと原価が安く利益率の高いハイボール、飲食店も販売に力を入れるようになっていきました。

4つ目の理由として、家庭でも気軽に楽しめるようにと、350ミリ缶のハイボールを開発したことがあります。炭酸水も氷もいらない手軽さはもちろん、さっぱりとしながらも甘くないので食事と一緒に楽しめるところがウケて、家飲み人気が高まりました。角ハイボールのCMで「ハイカラ(ハイボールと唐揚げ)」とハイボールと食事のコラボの提案を行い、スーパーなどの唐揚げを扱う惣菜売場でハイボール缶を陳列し、クロスマーチャンダイジング(MD)の手法を取り入れたことも家飲みを促進しました。

最後の理由としては、サントリーの仕掛けとは関係ありませんが、ハイボールはビールよりもカロリー控えめで、プリン体含有量もほぼゼロ、アルコール度数も810度で飲みやすいという部分があります。お酒を楽しみたいけれど、カロリーが気になるという女性、メタボ体系が気になってきた男性などにとっては、ハイボールは強い味方なのではないでしょうか。

国税庁の「酒のしおり(平成263月)」にある「酒類販売(消費)数量の推移」のデータを見ると、ビールや発泡酒の消費量は減少の一途ですが、ウイスキーは落ち込んでいた消費量が2008年頃から持ち直してきています。ハイボールは確かにウイスキー人気を後押ししているようです。


ウイスキーの今後はいかに?

CMであらゆる世代の共感を得て、楽しみ方を提案することで愛着を深め、それまでウイスキーを敬遠していた層をファンに変え、顧客ロイヤリティを向上させたハイボール。『マッサン』人気や海外での注目度の高まりからその原酒にも注目が集まっていると冒頭でお伝えしましたが、ハイボールとウイスキーは性質も大きく異なりますが、どのような仕掛けがお客様の心をつかむのでしょうか。

一つ注目したいのが、昔ウイスキーを飲んでいた層に戻ってきてもらおうという各社の戦略。ニッカウヰスキー(アサヒ)は2015127日に、「初号ブラックニッカ復刻版」、224日に「初号ハイニッカ復刻版」を発売予定。サントリーも217日から「サントリーウイスキー角瓶43度 復刻版」を数量限定で発売予定だとか。当時のラベルや味わいを再現するのはもちろん、売り場ではニッカウヰスキーが竹鶴政孝、サントリーは山崎蒸溜所を建設したサントリー創業者・鳥井信治郎のストーリーを様々な形でシェアすることで、コアなファンのさらなるロイヤリティ向上を狙うようです。

ハイボールの展開においては、PR戦略、SNSユーザーへのアプローチ、飲食店などへの営業活動が功を奏しましたが、ウイスキーの展開はこれらの要素がスパイラルアップするのでしょうか、今後に注目したいところです。