O2Oとリアル店舗の強みを活かし、忙しいビジネスパーソンと読書ファンの心をつかんだ、丸善&ジュンク堂ネットストア

顧客ロイヤルティ

O2Oとリアル店舗の強みを活かし、忙しいビジネスパーソンと読書ファンの心をつかんだ、丸善&ジュンク堂ネットストアの事例 


以前映画制作会社で働く友人から、マーケティング目的でアンケートをとったところ、「会社の帰りに思わずふらりと立ち寄ってしまう場所は」という質問に「本屋」と答えた人が大半だったという話を聞いたことがあります。電子書籍の登場で書籍のデジタル化が急速に進みましたが、それでも人はやはり本屋に惹きつけられてしまうようです。わざわざ本屋に行かずとも今やネットで多くのことが調べられる時代です。それでも本屋にずらりと並ぶ本に知的好奇心が刺激され、自分が想像もしていなかった運命の一冊との出会いに心踊る体験をした人は私だけではないはず。最近ではカフェやギャラリースペースを併設する本屋も多いですし、ネットショッピング全盛のこの時代だからこそ、あえて本屋に足を運んでみるのもよいのではないでしょうか。

皆さんの中には普段から、仕事に必要な力を磨こうとビジネス書などを読んでいる方も多いと思います。でも例えば、突然翌日の会議参加を依頼され、参考文献に目を通す必要が出てきた時などはどうしますか? アマゾンだと早くても翌日配達だし、本屋に行って在庫があるのかも分からない……。そんな時に活用してみたいサービスが「丸善&ジュンク堂ネットストア」にありました。


実店舗を持っているからこそできる最短1時間の「かんたん取り置き」サービス

実店舗を持っているからこそできる最短1時間の「かんたん取り置き」サービス書籍や雑誌などは、再販売価格維持制度(再販制度)の下にあり、どの小売店でも同じ定価で売るという取り決めがあります(ただし価格保持期限あり)。だからアマゾンで買っても、本屋に足を運んでも、価格は同じ。そのためアマゾンのようなネット書店であれば実店舗を持たない分、実店舗の店よりもずっと多くの在庫とラインアップを抱えることができます。するとその品揃えや、店に行かずとも簡単に買い物ができることに魅力を感じた消費者はアマゾンへ流れ、結果書店の衰退は深刻になる一方です。

でも店舗を持たないアマゾンでは提供することができないサービスを考案し、売上を伸ばしているのが丸善&ジュンク堂ネットストアです。同店では、会員登録をして、ログインをして本を検索すると、店舗の在庫が見られるようになるのが特徴(画像参照)。在庫がある場合は店舗名の横に店舗在庫取り置きボタンが表示されるので、これをクリックすれば、最短1時間で店頭での本の受け取りが可能になるのだとか。いますぐ読みたい! という時に、ネットで注文をして店頭で受け取ることができる同店のサービスはとても助かりますよね。


O2O(オンライン・ツー・オフライン)がもたらす効果

オンラインで注文を受け、オフライン(店頭)で商品をお渡しする丸善&ジュンク堂ネットストアのサービスは、「今日中に欲しいと思った本を外回り中や昼休み、帰宅途中などに気軽に受け取りたい」「仕事が忙しく自宅で宅配便を受け取ることが難しい」といったビジネスパーソンのニーズや行動を把握したものだと言えます。

さらに丸善&ジュンク堂ネットストアのO2Oは「本を受け取りに来たついでにもう1冊」というついで買いも誘発するものだと思います。実際、同店では取り置きサービスを利用して来店した顧客の客単価が、通常顧客に比べて平均2倍になったのだとか。


顧客満足度向上とファン作りに貢献する丸善&ジュンク堂ネットストアのサービス

丸善&ジュンク堂ネットストアではO2O以外にも、出版社品切れの書籍を全国の対象店舗で探してネットストアから発送する「トコトンお探しサービス」も提供しています。同店の店舗や全国約100店舗。地域などによって取り扱う本も違えばリアル書店が100店舗も集まれば相当の在庫数(その数約3000万冊!)にもなります。しかも嬉しいのが、アマゾンなどで希少本を手にいれようと思った場合はプレミア価格がついてしまうことがありますが、同店では定価で販売してくれるというところ。手数料も無料です。「手を尽くして探したけれどどうしても見つからない」というお客様に喜びをお届けするサービスですね。

さらにもう一つ嬉しいサービスが、丸善&ジュンク堂書店のブックカバーを無料で掛けてくれるというサービス。電車の中などで本を読むことが多いビジネスパーソンにとって、送られてきた本にブックカバーがかけられている、というのは結構重要なのではないでしょうか。決して効率的ではないかもしれませんが、こうしてひと手間をかける「かゆいところに手が届く」サービスというのは、リアル店舗を持つからこその発想ですし、顧客満足度を高め、ファン作りに大きく貢献するものだと思います。


ネットの顧客を実店舗へ誘導し、集客力をアップし、様々なサービスを融合させることでファンを醸成し、売上に結び付ける同店の事例は、オンライン通販に押されがちな小売店にヒントを与えてくれるものだと思います。ネット小売を驚異に感じているリアル店舗の皆さんは、どのようにネットとリアルの融合につなげらるのか、考えてみるところからはじめてみてはいかがでしょうか。