NYの人気チョコレートブランド「マストブラザーズ」の美しいプロモーションビデオに見た、顧客エンゲージメントを高める「ストーリー・テリング」の力

エンゲージメント

バレンタインデーの季節になりました。ここ数年で日本のバレンタインデーのスタイルも大きく変わり、女性から男性へチョコレートを贈るだけでなく、友達間や自分のご褒美としても贈るスタイルが定着しましたよね。

最近ではチョコレートブランドの数も大幅に増え、国内外問わず、クオリティの高いチョコレートを気軽に楽しめるようになりましたが、今日は、日本でも人気のあるニューヨーク・ブルックリン発の「マストブラザーズ」に焦点を当て、その魅力と彼らのファンが多い理由を探ってみたいと思います。


マストブラザーズの魅力とは?

マストブラザーズは名前の通り兄弟経営。NYでクラシックミュージシャンとして活動していた兄リックとロサンゼルスで映像作家をしていた弟マイケルが自分たちで上質なアルティザナル・フード(Artisanal food=職人が作る食材)を作ろうと、チョコレートに注目。今アメリカではbean to bar(カカオ豆からチョコレートを一貫生産)という動きが活発で、小規模ながらも本格的なチョコレートを作るショコラティエが増えていますが、その先駆けとなったのが彼らです。

アルティザナル・フードにも色々あるものの、なぜ彼らがチョコレートを選んだかといえば、チョコレートは老若男女問わず皆をハッピーにしてくれる食べ物だから。そして当時、アルティザナル・フードでチョコレートを作っている人たちがほとんどいなかったから。お店を構える前は、自宅でリックが作ったチョコレートをマイケルがブルックリンのファーマーズマーケットなどで販売していたようですが、自宅で豆からチョコレートを作ってしまうのもすごいですね!

そんな彼らのチョコレート作りには、こだわりと男のロマンがたっぷり! カカオ豆の輸入時のCO2排出量をどうやったら減らせるだろうか?と考えた結果、風力で走る帆船でマダガスカルやベネズエラなどの農家へ自ら赴き豆を調達。さらに保存料、バター、油などは一切使わず、基本的にはカカオと甘蔗糖(さとうきびから作ったお砂糖)のみというオーガニック製法を徹底し、風味豊かな大人向けのチョコレートづくりに成功。フレーバーに合わせて選んでいるというとてもオシャレなパッケージは、イタリアのデコラティブペーパー(柄入り包装紙)メーカーのRossi社のものを採用し、中の金色のホイルを含め、彼らが一つずつ自分たちで包んでいるのだとか。だからマストブラザーズのチョコレートはラッピングは必要なし、それだけでギフトになり得てしまうから。

NYの人気チョコレートブランド「マストブラザーズ」の美しいプロモーションビデオに見た、顧客エンゲージメントを高める「ストーリー・テリング」の力

環境に配慮し、目先の利便性やコスト効率を追いかけず、自分たちのポリシーを大事にするマストブラザーズ流のチョコレート。手にする人たちが魅了される理由が分かりますよね。


「ストーリー・テリング」に長けているマストブラザーズ

マストブラザーズのチャーミングな一面、なぜチョコレートを作ろうと思ったのか、どのようなところにこだわっているのかなどを知ることができるのが、彼らのプロモーションビデオ。

 

 

仕上がりも美しく、彼らの職人技やストーリーに引き込まれ、彼らの情熱を肌で感じるよう。

彼らがこのビデオで用いているのが、ここ数年、マーケティング手法として注目を集めている「ストーリー・テリング」。ストーリー・テリングとは読んで字の如し「物語を伝える」ということですが、伝えたい想いやコンセプトを、印象的な体験談やエピソードなどに乗せて、言葉や音声、動画などを使って伝えるので、強く記憶に残るだけでなく、共感を得やすいという特徴があります。

テレビ東京の「ガイアの夜明け」やNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見ていても、ストーリーを追う内に感情移入してしまうこと、ありますよね。特に商品開発までの苦労のストーリーなどを見て、翌日店頭でその商品を手にとってしまった、なんて経験がある方も多いのではないでしょうか。共感できるストーリーというのは、私たちの思考や感情に働きかけるもの、そしてエンゲージメント行動を引き起こすものです。

エンゲージメント行動には、

製品・サービスを喜んで購入する(店員に勧められたからだけではなくて)
製品・サービスが競合よりも価格が高くても、優先的に選択してくれる製品
③製品・
サービスを繰り返し購入し、友人・知人などに積極的に勧める製品
サービスについての感想や意見をブログやフェイスブック、ツイッターなどに投稿する製品
サービスについての感想や意見を当該企業に手紙、電話など通じて能動的に伝える

などがありますが、マストブラザーズに関しては特に②や④が顕著に表れています。決して安くはない彼らのチョコレートですが、商品に対する理解と信頼、共感があるからこそ他のチョコレートブランドより価格が高くても優先的に選択するファンが多いのは確か。そしてブログやSNSなどには彼らを高く評価する投稿も多く、これは愛着があるからこその行動です。

顧客エンゲージメントを高めるには、

・企業の経営理念やビジョン、製品・サービスの基本方針に対する共感
・企業や、製品・サービスに対する愛着

が不可欠ですが、マストブラザーズのように共感・愛着を引き起こすストーリー・テリングは非常に効果的だと言えそうです。

ちなみにマストブラザーズのチョコレート、日本ではDEAN & DELUCAで購入できます。バレンタインシーズンに限らず、自分へのちょっとしたご褒美や、ギフトなどにもぴったりですね。