『アナと雪の女王』の優れたカスタマー・エクスペリエンス提供と高い顧客ロイヤリティ獲得術

エンゲージメント

2014 ユーキャン新語・流行語大賞”の発表を12月1日(月)に控え、ここ数週間で、テレビなどで候補50語を見ながら今年を振り返る様子を目にする機会が増えました。「STAP細胞はあります」「ゴーストライター」「号泣会見」など、世間を騒がせた事件から生まれた流行語が今年も多くありましたが、「カープ女子」「こじらせ女子」「マウンティング」など女性を表す流行語が目立ったのが印象的でした。さらに現代を象徴する流行語として、ディズニー映画『アナと雪の女王』(以下アナ雪)から、主題歌『レット・イット・ゴー ~ありのままで~』の歌詞にある「ありのままで」と「レリゴー」の2つが挙げられるのではないでしょうか。

アナ雪が子供だけでなく、多くの大人を魅了した理由には、

・ディズニーアニメでは初めてアナとエルサという 2人のヒロインが登場した
・女性の自立が描かれている
・ディズニーのプリンセス・ストーリーの定石である「恋愛→結婚」ではなく、恋愛より家族愛を重視したハッピーエンディングとなった

 

という部分が挙げられます。特に本作でエルサが主題歌を歌うシーンは、「大切な家族(アナ)」を傷つけたくないと、自分の秘密を守るため自分の世界に閉じこもってしまったエルサがその苦悩から解放され、自分自身を受け入れてまさに「ありのままで」生きようとする彼女の人生のターニングポイントを象徴していました。そんなエルサの苦悩を自分の苦悩のように感じ、感情移入しながら見ていた人たち(特に多くの女性)は、『レット・イット・ゴー』に強く心を揺さぶられ、「完璧ではないけれど、私はこれでいい!」というメッセージに深い共感と感動を抱いたはず。『レット・イット・ゴー』の歌詞やメロディに愛着を抱き、口ずさむ人が続出するという現象が世界中で巻き起こるほどでした。

ディズニーはアナ雪以外にも、『眠れる森の美女』をヒロインのオーロラ姫に焦点を当てるのではなく、魔女のマレフィセントの視点から描き直した映画『マレフィセント』で、「女性が幸せになるためには恋愛が全てではない」というメッセージをストレートに打ち出すことで、共感と感動を呼び(これも特に女性の)、成功しています。ディズニーは近年、このように映画作品を通してカスタマー・エクスペリエンスの強化を実現させ、顧客ロイヤリティを向上させてきたように思います。

カスタマー・エクスペリエンスとは、顧客が商品/サービスを購入する前や購入した後、また利用時に体験する感情的、感覚的な付加価値を指しています。例えばアナ雪であれば、「今までのプリンセス・ストーリーとは違う」「時代の流れを汲んでいる」という点で期待を越え、「感動」「共感」という感情をアナ雪(企業やブランド)に対して抱いてもらうことで、映画を見た人達がファンとなり、リピーターとなり、知人・友人に口コミなどで推奨するという高い顧客ロイヤリティを獲得しました。最近の消費者は、商品/サービスを得るだけでは満足せず、体験(エクスペリエンス)に価値を見出す傾向があるため、アナ雪を通した体験が大きくプラスに働いたと言えそうです。

街を歩いていても、インターネットを見ていても、目にするのは様々なアナ雪グッズ。全国各地ではイベントや展示も多く開催され、アナ雪旋風はしばらく続きそうですね。

米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーの2014年9月期決算が、売上高、純利益いずれも過去最高を記録した。アニメ映画「アナと雪の女王」が世界中で大ヒットし、関連グッズを手掛ける商品事業が伸びたことなどが貢献。 - 毎日新聞のニュースサイト(2014年11月8日)引用

 

というニュースにもあるように、優れたカスタマー・エクスペリエンスから生まれた高い顧客ロイヤリティの効果は絶大のようです。