ファンの多いローカルスーパーが教えてくれた、顧客エンゲージメントを高めるのに実践したいこと

顧客エンゲージメント

(一期家一笑のホームページより)

小売店やサービス業などであればほとんどに当てはまることだと思いますが、大型チェーンのお店に比べ、小中規模や個人経営のお店はブランド力や価格競争の面などで厳しい戦いを強いられますよね。でもそのお店に対する顧客エンゲージメントが高ければ、競合よりも価格が高くても優先的に選択してくれたり、店員に勧められなくても積極的に購入してくれたり、リピート購入をしてくれたり、友人・知人などに積極的に勧めてくれたりと、お店の存続・成長を応援してくれる行動をとってくれるはずです。

お客様がこのような行動を起こす元となるものは何でしょうか? それは感情です。人間は一見合理的に見えて、実は感情で動くことがよくあります。「人間は感情の動物」という言葉がありますが、感情が人間の行動の最大の動機となるからです。


共感と愛着を生むためにローカルスーパーが行っていること

以前、テレビ東京の「ガイアの夜明け」で「進化する超ローカルスーパー」と紹介されていたのが、愛知県豊橋市の住宅街にある「一期家一笑(いちごやいちえ)」という家族経営のスーパー。この店の驚くべきところは、1店舗しかないにも関わらずプライベートブランドを展開しているところ。オーナー兼店長・杉浦國男さんの

私たち一期家一笑は、お客様との出会い、生産者さん、問屋さんとの出会いを大切にしております。せっかく頂いた貴重なご縁です。このご縁をきっかけに、笑顔が溢れる楽しいお付き合いをしていければと願っております。 私どものお店は“地産地消”をモットーに、地元で取れた美味しい旬の味覚をお客様にお届けできるように精進しております。

という言葉に応えるかのように、長男の杉浦大西洋(すぎうら・ひろし)さんが発起人となって、生産者の人たちと一緒に「ニッポンローカルフード」を展開しています。

もう一つ注目すべきはバラエティに富んだお惣菜コーナー。主婦歴数十年のベテラン主婦が作るだけあってそのおふくろの味は老若男女に親しまれているそうですが、それもやはり店長杉浦さんの

当店の手作りお惣菜やお寿司、青果部門や精肉・鮮魚コーナーに至るまで、地元で取れた食材をメインに使用しています。お惣菜は、天然だしや地元の醸造元さんのお醤油やお味噌を使い、日本一の美味しいお惣菜を目指しています。

という考えを反映してのこと。このような杉浦店長の考えに共感し、そこから生まれた地元愛あふれる商品・サービスに愛着を持つお客さんはきっと多いのではないでしょうか。

でもエンゲージメントの点から最も注目すべきは、一期家一笑のスタッフがお客様の顔や名前をほとんど把握しているというところ。来店客は1日平均約600人とのことなので決して大きくはないですが、それでも自分が毎日600人の人を相手に「○○さん、こんにちは!」と言えるかといったら、正直自信はありません。

名前を呼ぶことはエンゲージメント強化にはとても効果的です。「騒がしいパーティーでも、自分の名前は自然と聞き取れてしまう」現象を行動心理学で「カクテルパーティー効果」と呼びますが、接客に有効活用すべきもの。なぜなら「お客様」と呼ばれると「他の客と同じ」「大勢いる客の一人」という印象を与えかねませんが、「○○様」と名前を呼ぶことで「大切な一人の客」「特別な客」であることをお客様が実感でき、そのお店にぐっと愛着が湧くからです。


自分の名前も覚えてもらおう

お客様のお名前を呼ぶのももちろん大事ですが、コミュニケーションは双方向。お客様に自分の名前を知ってもらうのも大事ではないでしょうか。

私は同じ歯医者に長期間、定期的に通っていますが、先生の名前は知っていても、衛生士さんや受付の名前をずっと知りませんでした。先生の名前は医院の名前になっているのですぐわかりますが、スタッフの方は名札さえないので仕方がないのかもしれません。でもある日、「長く通っているのに名前さえ知らないなんて……」ともどかしくなり、自分から名前を聞いてみました。不思議なことに、名前で呼ぶようになってからスタッフの皆さんとの楽しく世間話ができるようになって距離感が縮まり、クリーニングやホワイトニングに通う回数が増えたり、周りに勧めたりすることが多くなりました。私のエンゲージメントが高まった証拠です。

名前で呼ぶことは、エンゲージメントを高めるためにとても大切なこと。皆さんも普段から意識をしてお客様のお名前を呼ぶだけでなく、自己紹介をする、名札を付ける、などを心がけてみてはいかがでしょうか。

参考:
http://ichigoyaichie.jp/ 
http://www.tv-tokyo.co.jp/program/detail/17105_201205152200.html
http://www.shoninsha.co.jp/blog/2014/07/25/29996/