リピーターやファンを生み成長するファミリーレストラン「ばんどう太郎」が大切にする“無駄”の追求

顧客エンゲージメント

生産性を向上するために、業務の効率化や経営の合理化を図ろうと努力している企業も多いのではないでしょうか。ただ、効率化やとか合理化ばかり突き詰めてしまうと、お客様の中にその企業・ブランドに対する愛着が芽生えにくくなってしまうことがあるように思います。


消費者は無駄を求めている?

先日とある小売店を訪れました。低価格なのに高品質なことで人気のこちらのお店、お気に入りのアイテムが見つかってその点は満足でした。でも商品のポイントを簡単に早口で伝えるだけの無駄のない接客が味気なく、急ぎ足な雰囲気に「ここでは買いたくないな」と思ってしまったのでした。

気になってその会社のことを調べてみたところ、全店舗のオペレーションを把握し、徹底的な効率化を図る担当者を設け、業務のスピードを上げる取り組みをしていました。無駄を省くことで利益率が向上し、そのおかげで私たち消費者は低価格・高品質の商品を手にすることができるのだと思います。

でも結局のところ、お店の人に自分の買い物の目的や好みなどを聞いてもらったり、製品の背景にあるストーリーや店員さんの意見なども聞いてみたりする、一見非効率な“無駄話”が買い物の楽しさを増幅してくれて、その商品、ブランド、店員さんに対する愛着を増すものではないでしょうか。


経営に“無駄”を取り入れることで顧客を魅了する「ばんどう太郎」

北関東で60店舗以上を展開しているばんどう太郎という和食レストランチェーンがあります。外食不況と呼ばれ、低価格のファミレスが増える中、客単価1,400円という高価格で成長を遂げているこちらのチェーン、成長を支えているのがリピーターや熱烈なファンだといいます。

「幸せ日本一」のファミリーレストラン目指すばんどう太郎は「お客様が喜べば非効率でも構わない」という青谷洋治社長の考えを反映し、回転率を気にしない店舗経営をしています。だから何時間いても嫌な顔をされることはなく、温かいもてなしを受けることができるのだとか。
そしてメニューの数が驚きの100種類以上。それらを全て店内で機械を使わず手作業で調理し、オープンキッチンで調理を見える化。店内で精米も行い、そのぬかを使って漬物を作るなど、効率重視のファミレスとは全く様子が異なります。

さらに、積極的に家族イベントを引き受けているばんどう太郎では、誕生日会、還暦のお祝い、父の日・母の日などはもちろん、子供の生後100日目に行われる「お食い初め」、子供の1歳の誕生日を祝う「一升餅」など、それぞれの家族行事にあわせた祝い膳を用意。店内の“ばんどうたろうらぼ”と呼ばれるオープンキッチンではケーキ作り体験もできるので、おじいちゃんの誕生日に孫がケーキを手作り……なんてことも可能だそう。法事でも使える大きなホールもあり、こうした家族に寄り添う経営が、3世代が満足できる居心地のいい店づくりにつながっています。

ばんどう太郎は

人と人のかかわり合いが大好き、ばんどう太郎を通じて、共に働く従業員もお客様も関連業者さんも、地域の人たちも、みんな幸福になっていただきたい。 飲食を通じて、よろこんでいただき、幸福のお手伝いができれば幸いです。(ばんどう太郎HPより引用)

という考えの元、次にもう一度来店してもらうことを最優先とし、従業員にも効率化や合理化で売上を上げることは求めていません。前述の青谷社長の「お客様が喜べば非効率でも構わない」という言葉が表すように、効率や利益よりもお客様の幸せを最優先で追求する経営が、お客様の喜びを生み、絆を作るのではないでしょうか。

お客様のことを思い惜しみなく時間を使い、非効率で無駄なことを付加価値に変えるばんどう太郎のような経営が、これからの企業・ブランドに求められるのかもしれません。

参考:
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20140213.htmlhttp://www.bandotaro.co.jp/