顧客ロイヤリティが高くなるのは、非マニュアル主義より、マニュアル主義を徹底する企業?

顧客ロイヤルティ

OJT、On the Job Training という言葉をよく耳にするようになってしばらく経つでしょうか。これまでであれば接客の場面においてマニュアル徹底の傾向が強かったように感じますが、より一人ひとりのお客様に合った接客を行い、期待を超えるサービスを提供できるようにと、脱マニュアル化の傾向が強まっているように思います。これは明らかに時代が変わり、マーケティングの世界が「マスから個へ」の志向を強めていることが影響しています。でも脱マニュアル化の流れはそのまま受け入れるべきものなのでしょうか。


マニュアルは顧客満足度のため、マニュアル以上の接客は顧客ロイヤリティのため?

機械的な対応をする接客スタッフを“マニュアル的”と表現しますが、マニュアル一辺倒ではお客様の気持ちは離れるばかりと、マニュアルに縛られてはいけないと思ってしまったのが最近の傾向です。確かにマニュアルに基づいた画一的で事務的な対応だけでは不十分かもしれません。なぜならお客様との会話や言葉にならないニーズを引き出すことができなければ、期待を超えるサービスを提供することはできないからです。お客様の好みや価値観は人それぞれ、これはどうやってもマニュアル化できません。

でもマニュアルというのは、企業・ブランドのビジョンやミッションを出発点とし、それぞれの価値観や目標に基づき、基本的な動作やマナー、クレームやトラブル対応に関する行動基準を定めるために必要ではないでしょうか。そうすることで接客スタッフ全員が、会社が考える適切な判断と対応をすることができ、お客様もその対応に安心感と満足感を覚えるからです。

マニュアルを整備し、マニュアルに沿った教育が行き届くことで高めることができるのが顧客満足度。その満足感に、マニュアルを超えた感動体験などの顧客の思考や感情に働きかけるものがプラスされてはじめて、顧客ロイヤリティが高まります。

「顧客ロイヤリティ」とは企業・ブランドそのものや、商品・サービスに対する強い思い入れを指す言葉。思い入れがあるからこそ、商品やサービスをリピートしたり、友人・知人に薦めたり(口コミ)……という行動が生まれます。これは満足していることが大前提ですが、満足しているだけではこのような行動を起こすに至りません。だから期待以上の感動サービスを提供する大前提として、マニュアルは必要だと思います。


バイトが9割でも最高のスタッフが育つ、ディズニーのマニュアルに対する考え方

ウォルト・ディズニーは、仕事というものをDUTY(作業)と「MISSION(役割)」の二つに分けて考え、以下のように定義したのだとか。

①  「DUTY(作業)」:マニュアルで細かく決められて、誰がいつやっても同じ結果を生む仕事
②  「MISSION(役割)」:全てのゲストに幸せを提供すること

これは、やって当たり前の「作業」だけをこなして「仕事をした」と思ってはいけない、幸せを届けるという「役割」を果たすために考えて行動してはじめて「仕事をした」と言える、というウォルト・ディズニーの考え方です。作業なしに役割を達成することはできず、役割がなければ基本作業を完璧にこなすことはできない……ディズニーの魔法は作業と役割が両輪として円滑に機能することで生まれている、ということですね。

組織の信条、サービス哲学、価値観を記したものがマニュアル。それを確認した上で、お客様が言葉にされない願望やニーズを先読みして、それぞれの考えやアイディアをプラスすることで“当たり前”以上の価値を創り、満足を超える感動のサービスを提供することができるようになるのではないでしょうか。

参考文献:
『ディズニーの最強マニュアル』、大住 力 (著)、かんき出版 (2014/8/6)