接客スタッフが実践すべきは、「ながら作業」ではなく「ついで作業」?!

顧客満足度

同時に複数のタスクを行う「ながら作業」を「マルチタスク」と呼びます。1つの行動に対して2つ以上の仕事をする「ついで作業」を「1way2job」と呼びます。この2つは似ているようで異なるもの。接客業の方に大切にしていただきたいのは、1way2jobです。


「マルチタスク」は実は非効率的?!

接客業に携わる方であれば、レジ対応をしながらお客様の質問にお答えする……などの「マルチタスク」をよく行っているのではないでしょうか。マルチタスクをすることで時間の短縮につながり効率アップにつながると考える人は多いかもしれませんが、複数のことを同時に行うことで生産性が40%も下がるということがある研究で分かっています。

でも、私たち人間は同時に2つ以上のことをできないようになっているので、”マルチタスク”という呼び方自体が間違っていて、実際には別々の作業を素早く切り替える“スイッチタスク”を行っているのだとか。スイッチタスクを1回行うのにかかる時間は0.1秒と瞬時ではあるものの、そればかりを行っていると「塵も積もれば山となる」で、結局生産性を大きく下げてしまうことになってしまいます。

レジ対応をしながらお客様の質問にお答えしている時など、タスクを一つしか認識できていないことになるので、レジの打ち間違いやおつりの金額を間違えて渡してしまうなどの確率は自然と高まります。スイッチタスクはストレスも高めるという研究結果もあるので、複数のことを同時に行おうとするのではなく、一つのことに集中し、それが終わったら次の作業に移る”シングルタスク”の癖をつけると良いと思います。これは忙しい現場、特に繁忙期などは「言うは易し行うは難し」かもしれません。でも、例えば何人ものお客様対応をしなければいけない時などは、慌てず落ち着いて「次にお伺いしますので少々お待ちいただけますか?」とお断りをし、その後「お待ちいただきありがとうございました」「お待たせしてしまい申し訳ございませんでした」と感謝や謝罪の気持ちをお伝えして、一人ひとり丁寧に対応することで、お客様に与える印象も大きくアップするはずです。

お客様からのクレームが多い、ミスが多いと感じている方は、もしかしたらマルチタスクが関係しているかもしれません。集中力と効率を高め、同時に心のこもったおもてなしをするために、一度シングルタスクを試してみてはいかがでしょうか。


「1way2job」は気づきを得るということ

前述の通り1つの行動(1way)に対して2つの仕事をするのが「1way2job」。例えばアパレル販売員の方であれば、商品をたたみ直すついでに、①在庫確認をする、②素材や洗濯表示まで確認してコーディネートだけでなくケアについてもアドバイスできるようにしておく。レストランスタッフの方であれば、お客様の席に料理を運んだついでに、①お水を注ぐ、②別のテーブルの空いたお皿を下げる……といった具合でしょうか。さらにお酒のグラスが空になっているお客様がいたら次の注文を伺ったり、退店されたお客様のテーブルをキレイにしたりすることで、1way2jobどころか、3job、4jobにもなりますよね。

「〜するついでに〜しよう」ということを意識することで、観察力や洞察力が鍛えられるはずです。なぜなら、常に周りを意識して、何が足りていないのか、何が求められているのかに注意を払い、気づきを得やすくなるからです。その気づきの積み重ねが、作業の効率化、時間あたりの仕事量の増加、顧客満足度の向上につながることをきっと実感できるはずです。

言われたことだけをやるのではなく、「他にもついでにできることはないか?」を考え実行する1way2job、ぜひこの機会に習慣付けてみませんか?

参考:
The True Cost Of Multi-Tasking(『Psychology Today』)
マルチタスクをやめる方法と、やめるべき理由(『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』)