NPS®( Net Promoter Score)の意義(2):NPSは社内の共通言語になる

NPS

ネットプロモータースコア®(Net Promoter Score、以下NPS)は、自社、あるいは自社商品、ブランドについて、友人知人への推奨意向を10点満点で聞いた結果から算出する指標です。

実は、既存の顧客満足度調査(以下CS調査)でも、「他者への推奨意向」は、いわゆる「満足度」「再利用意向」と共に、設問として組み込むことがしばしばあります。つまり、「他者への推奨意向」は評価スケール(NPSのような10点満点ではなく、多くは5段階スケール)は異なるものの、既存のCS調査においても測定されてきていたのです。

しかし、NPSは従来のCS調査とは異なり、具体的な顧客エンゲージメント施策の立案や、複数部門にわたる組織変革にもつなげやすく、極めて有効な指標、端的に言えば「使える指標」として評価されています。

NPSはなぜ「使える指標」なのか?

NPSが使える指標として評価されている最大の理由は、NPSの数値や、プロモーター(推奨者)といった関連用語が平易ため、経営トップから、現場の販売担当者、コールセンターのオペレーターなどに至るまで、企業組織のあらゆる階層の人々にとって理解しやすいことがあります。

既存の顧客満足度調査で、仮に推奨意向が4.1ポイントであり、前年度の3.9ポイントから0.2ポイント数値が改善したとしても、0.2ポイントといった、わずかとしか感じられない変化だと、現場社員は心躍るものがありません。すなわち、既存のCS調査では、改善にしろ悪化にしろ、数値としての大きな変化につながりにくいため、スタッフの関心を惹きつけることが難しく、具体的な改善行動の動機づけになりにくいのです。

一方、NPSの場合、10から15へと5ポイントアップ、あるいは10から20へと10ポイントアップなど、比較的大きな変動が起きやすいため、改善の実感があり、顧客エンゲージメントを向上につながる施策を立案、継続する動機づけになりやすいということが言えます。また逆に、NPSが大きく下がるようなことがあると、それは顧客エンゲージメントにおいて重大な問題が発生しているということになり、やはり迅速な問題解決行動を促すモチベーションとしても強い力を持つことができます。

NPSは具体的なアイディア出しに結び付けやすい

また、NPSでは、推奨意向の10点満点の回答から以下のように回答者を3つにカテゴリー分けしますね。

●推奨者(プロモーター)・・・10点、または9点と回答した方

●中立者(パッシブ) ・・・8点、または7点と回答した方

●批判者(デトラクター)・・・6点以下の回答者

このように、3つの名称で自社顧客を呼ぶことにより、単にNPSの数値を追いかけるだけではなく、

・自社の大ファンであるプロモーターをもっと増やすためにはどんな顧客体験を設計すればいいのだろうか?

あるいは、

・自社に対する評価の低い批判者を減らすためにはどうしたらいいのか?

・そもそも批判者が批判的である原因(問題)は、自社のどこにあるのだろうか?

などと、優れた顧客体験設計や批判者を生み出す問題の解決のためのアイディアを考えるネタとして、NPSによる顧客の3分類は大変使いやすいツールとなっています。

NPSは社内の共通言語となる

お客様の満足度を高め、お客様とのきずなを太くする、すなわち顧客エンゲージメントを強化することは、優秀な現場の社員さえ育成すればできるというものではありません。

顧客が自社との取引を行い、また自社製品をご利用いただくプロセスのすべて=カスタマージャーニーにおけるあらゆる顧客接点において、最高の顧客体験を提供できるよう全従業員が一丸となって取り組む必要があります。顧客エンゲージメント強化はチームプレイであり、チームワークが重要なのです。

ここで、チームワークを高め、優れたチームプレイを行うための共通言語となるのがNPSです。NPSは数値のわかりやすさ、また改善行動の動機づけともなり、改善行動、問題解決のアイディア出しがしやすいことなどのメリットを持つことから、NPSがスタッフ全員が共有できる「拠りどころ」、あるいは「目標」、また「議論のためのツール」として使えるのです。

NPSを導入し、またNPSを的確に活用している企業は短期間で業績向上に結びつけることができるのですが、その秘密はNPSのわかりやすさ、そして全従業員の共通言語となりえるからなのです。

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Lenna Mariana Russ

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 (執筆者)

松尾順

松尾 順

株式会社シンクー

エンゲージメントフォーラム CEO(Cheif Engagement Officer)