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    2018.01.18 NPS事例
    顧客エンゲージメント向上と銀行の未来 ~NPS銀行業界2017年トップに聞く

    従業員エンゲージメントと顧客エンゲージメントの向上を支援する株式会社トータル・エンゲージメント・グループは、2015年、2016年に続き日本国内の主要16業界に自主調査を行い、顧客ロイヤルティを測る指標であるNet Promoter Score®(NPS)を業界平均と個別企業ごとに算出しました。

    この主要16業界Net Promoter Score ®(NPS)ベンチマーク調査2017版、銀行業界部門において、住信SBI ネット銀行株式会社が首位となりました。代表取締役社長の円山法昭様と、株式会社トータル・エンゲージメント・グループ代表の池田順一が対談を行い、顧客エンゲージメントに積極的に取り組む理由や、従業員エンゲージメントと顧客エンゲージメントを向上させる施策、これからの銀行のあり方などについて伺いました。

    「お客さま中心主義」を掲げ、お客さま本位で革新的な商品・サービスを提供

    【池田】銀行業界部門において御社がNPS1位に輝きました。おめでとうございます。「手数料」をはじめ、「EメールやSNS等での情報提供力」「パソコン用Webサイトやアプリの使いやすさ」「インターネット上の評判や口コミ」等で特に高いスコアが出ており、ネット銀行としてのミッションを果たしていらっしゃいます。お客さまから熱く支持されるような顧客エンゲージメントに取り組むようになった経緯を教えてください。

    【円山様(以下敬称略)】住信SBIネット銀行は、好条件の金利や手数料の利便性の高いフルバンキングサービスを24 時間365日提供する「お客さま中心主義」を掲げて創業し、2007年9月より営業を続けてまいりました。ネット銀行は顧客に直接セールスすることができず、お客さまに選んでもらって初めてビジネスが成り立ちます。よって、お客さまの支持が何よりも重要で、そのため条件や機能の面で有利な商品サービスを他社よりいち早く提供してきました。

    【池田】お客さまの支持を確実に得るために、具体的にはどのような施策にどう取り組んでいるのでしょうか。

    【円山】?開業以来常に顧客満足度を重視してきました。更に発展させるために、2017年7月にフィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)推進室、カスタマーセンターVOCグループを新設し、継続的にVOC 分析とNPS・顧客満足度調査を実施して、お客さまの声や意見に向き合っています。その結果をスマートプログラム(顧客ロイヤルティプログラム)や商品サービスの改良、キャンペーンに活用してきました。また、「住宅ローンは対面で相談したい」という多くのお客さまのニーズに応えるため、銀行代理店による住宅ローンプラザ(店舗)の展開を開始しました。このように、愚直に真に顧客本位の姿勢を続けること以外に当社が発展する方法はないと考えています。

    【池田】ネット銀行でありながらお客さまの立場で店舗展開を始める点がユニークで、素晴らしいですね。2016年にNPSのスコアが高いことで有名なアメリカのシューズEC 事業者の「ザッポス」を訪れた際、当時はNPSの表示を一時ストップしていたのですが、最近ではタイムリーに表示し、顧客との接点を常に意識する施策をとっている点が大変印象的でした。顧客志向の強い企業にとってNPSは非常にパワフルなツールですね。そこで御社では具体的にどのような施策をとっているのか、お聞かせください。

    【円山】ザッポスがそこまで行っているのは驚きですね。我が社では、カスタマーセンターの役割や体制を見直したことがひとつ挙げられます。これまでは、最大コール数に対応できる人員を配置していましたが、対策を講じ、見直しの結果、人員そのものは減りました。しかしながら、受電率は上がり、顧客の満足度も上がったと思われます。行った対策は、お客さまのコール時間、事務処理の目標設定くらいで、特別なことはしておりません。今まで時間制限を設けることなくお客さまへの対応を行っていたのですが、根本に立ち返って考えると、お客さまは自分の課題を解決するために電話をかけてくるのであって、長時間話をしたいわけではない、いち早くお客さまの課題を解決し、早く電話を切ることの方が大事と意識を変えました。カスタマーセンターにおいても、ウェブでもアプリでも、いかにお客さまの貴重な時間を無駄にせず、スピードを極限まで上げることがすべてのカスタマーサービスの究極だと思いました。お客さまが問合せをする必要がない状態が完璧だと思います。お客さまは何も意識せず、我々の銀行サービスを快適に利用できている環境が最もよい。アクションを起こすこと自体がストレスなんです。銀行はディズニーランドではない。何かを買いたいなど、自分の欲求を満たすために仕方なく銀行機能を利用しているので、ストレスゼロが最高のカスターサービスだと思っています。

    “正しい倫理的価値観”に基づき、NPSを経営戦略の最重要指標に

    【池田】「お客さま中心主義」を掲げてさまざまな商品やサービスを提供していることがよく理解できました。まさに従来の「顧客満足」ではなく、「顧客成功」の具現化をおこなっていらっしゃいますね。そこで、NPSをKPIとして導入されたのはなぜだったのでしょうか。その理由や経緯を教えてください。

    【円山】NPSは収益と相関する点において我々にとって正しい指標と判断し、2016年に導入、経営戦略の最重要指標としています。以前から顧客満足を重視していましたが顧客満足度だけが上がっても業績が必ず伸びるわけではない。お客さまを満足させるだけで企業の業績が伸びなければ、お客さまに継続的な高品質の商品・サービスを提供することができない。お客さまと当社がともに発展することが、正しい倫理的価値観に基づくビジネスであると判断しました。多くのビジネスにおいては安くすることが正義で、顧客が増え、取引が増え、そして利益が増えると正循環が生まれますが、銀行の場合、お客さまから預かった資金を運用しないと利益は出ず、マイナス金利の時代においては集めれば集めるほど負担が増えるだけで、利益が一向に上がりません。つまり、今の銀行において商品やサービスを安く提供・利用するだけでは、ビジネスとして成り立たないのです。そこで、顧客を満足させながら利益成長と同時に実践できるかを考え、たどり着いたのがNPSでした。

    【池田】NPSはどのくらい現場に浸透しているのでしょうか。

    【円山 】3か月に1度調査し、必要に応じて個別商品・サービスの調査を行っています。社員には当社の経営戦略の最重要KPIはNPSであり、顧客ロイヤルティを向上させ、業績に相関させることが大事であるということを常に指導し、現場の商品開発やマーケティングには浸透してきていると実感しています。NPS、顧客ロイヤルティ経営を評価や企業文化にまで落とし込んでいこうと考えており、当面の目標はNPSをプラスにすること、最終目標はお客さま中心主義を掲げる世界的な先進企業であるアマゾンやAppleをNPSで超えたいですね。

    それには、お客さまをより深く理解することが必要だと思っています。以前は、住宅ローン、カードローン、ATM 利用者といろいろな人が混在し、ターゲットが明確でない状況でした。そこで、2年前に取引の多いお客さまにより多くのベネフィットを還元できる仕組みであるスマートプログラムを導入したところ、お客さまに誤解を与え、一時的にですが、顧客満足度が下がりました。お客さまをより深く理解することで顧客戦略が明確になり、再び支持されるようになりました。熱狂的なファンがいるような銀行にしたいと思っています。そのためには中途半端はよくない。もう少し尖らないといけないと思いますね。金利や手数料など価格条件だけではなく、常に顧客本位で革新的な日本初、世界初の商品・サービスを、スピード感を持って開発、提供していくことが今後の施策と考えています。

     

    「創造」と「変革」を追求して、新しい銀行を築く

    【池田】当社では、お客さまに最高の商品・サービスを提供するカスタマーサクセスには、その提供者である従業員も満足度の高い働き方をしている“カスタマーサクセスジャンキー”であることが重要であると考えています。そこで、最高の商品・サービスの提供を行う御社では、従業員エンゲージメントに関してはこれを向上させるために、特別な施策を行っているのでしょうか。

    【円山】当社では最先端のテクノロジーを駆使して、銀行業界に変革を起こし、リテールNo.1の金融機関を目指しているため、従業員に「創造」と「変革」を求めています。これらを実践する従業員を正当に評価し、大きなチャンスを多く与えることが従業員エンゲージメントの向上施策と考えています。研修だけでは社員は成長せず、全従業員に平等にチャンスを与え、そのチャンスを生かし、成果を上げた社員が一番成長すると考えているからです。

    【池田】「創造」と「変革」を求めるビジョンは、まさにカスタマーサクセスの具現化で従業員の方々にとっても夢がありますね。どんな採用方針を取っていますか。

    【円山】採用方針について、我々は金融業界でまったく新しいビジネスにチャレンジをしようとしていますので、金融の知識やスキルはあったほうがよいですが、それ以上に可能性を重視したいと考えています。その意味で銀行員の経験は必要ありませんし、金融の専門知識はマストではありません。それよりも鍵となるのは、「創造」と「変革」のマインドです。お客さまのために、型にはまらず、イノベーションを起こし続けよう、変化し続けようとする姿勢のある方を採用したいと考えています。ネット銀行のため、元々エンジニアは多くいますが、本社の半分はエンジニア、残りの半分は企画管理系の部署があり、バックオフィスは新宿にあります。純粋な銀行員経験者は、3分の1いるかいないかといったところでしょうか。様々なバックグラウンドも持った従業員が切磋琢磨して、これまでの銀行にはなかったお客さま本位で革新的な商品・サービスを次々と生み出しています。

    【池田】近い将来、どんな「創造」や「変革」が起こるのでしょうか。円山社長のお話を伺っていると、そんな未来がすぐそこにあるような印象を大いに受けますが。

    【円山】3年前に当社が邦銀初のフィンテック専担組織「FinTech事業企画部」を立ち上げたときには、誰もが今のようにフィンテックが注目される時代になるとは思っていませんでしたし、従業員にしてもお客さまにしても具体的にモノを見せないと分からないものです。当社は開業10年を迎えましたが、当社開業と同時期に登場したiPhoneに代表されるスマートフォンが今のように生活を一変させるとは多くの人が思っていなかったのではないでしょうか。銀行もそういうものを目指すべきだと思います。簡単に分かってしまうようなものなら、それはイノベーションではない。AI、クラウド、モバイルが進化したことにより、お客さまにとって最高の商品・サービスを提供して、世の中を変えるような銀行ができる日がすぐそこまで来ていると確信しています。

    【池田】業界内だけではなく、発想をその外に向けている。このような従来の価値観や概念にとらわれない自由な発想はどこから得たのでしょうか。

    【円山】世界で何が起きているか、そして他の業界で何が起こっているかを常に把握するようにしています。世界で起きている変化は必ず日本でも起きるし、他の業界で起きている変化は必ず銀行業界でも起きる。世界にはネオバンクと呼ばれる形態のフィンテックベンチャーが“むかつかない銀行”を標榜し、サービス提供している事例があります。そもそも、銀行自体を好きな人はいないのではないでしょうか。経済活動の中での支払や融資など必要に迫られて、銀行の機能を利用しているのだと思います。しかし、AI、クラウド、モバイルのテクノロジーがそろった今、ストレスを感じさせない“むかつかない銀行”を築き、ファンになっていただくことも可能だと思います。そうすれば、NPSでもアマゾンやAppleを超えることは不可能ではない。今年はそんな変革の第一歩を踏み出したいと思っています。

    【池田】1年後、また円山社長とぜひ対談をお願いしたい。その頃、御社がどのような「創造」と「変革」を実行されているのか、お話を伺えるのを楽しみにしています。本日はお忙しいなか、ありがとうございました。

    「主要16業界 Net Promoter Score ベンチマーク調査 2017」
    無料ダウンロード

    銀行業界部門において、住信SBI ネット銀行株式会社が首位となった「主要16 業界Net Promoter Score ?(NPS)ベンチマーク調査2017」は、下記ページのフォームを送信すると、すぐにダウンロードできます。

     

    SHAR

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