アマゾンの会員プログラムを超えるか? オーバーストック・ドットコムの顧客エンゲージメント強化術

エンゲージメント

皆さんはオーバーストック・ドットコム(Overstock.com)という企業をご存じですか? 日本ではあまり知られていないかもしれませんが、アメリカではアマゾンやザッポスなどと並び称されるほどの大手オンライン小売業者です。1999年にユタ州ソルトレークシティで創業し、当初は商品数が100にも満たなかったのが、2013年には商品数は100万超となり、180万ドルだった収益は1億3千万ドルを記録する成長ぶり。サイトを訪れるユニークユーザーの数も驚異的で、1ヶ月平均2500〜4000万なのだとか。

オーバーストック・ドットコムの一番の特徴は、有名ブランド・メーカーの過剰在庫や処分品などが格安で販売されているということ。また、10万以上あるというEコマースビデオも特徴的。コンバージョンと売上の向上と、返品率の減少に貢献すると言われているEコマースビデオですが、オンラインながらまるで店頭(オフライン)で商品を見ているような体験ができるのが消費者の購買意欲を刺激するようです。また、有名ブランド・メーカーの高品質の商品を格安で手に入れることができるとあって、消費者の心をしっかりつかむことに成功しました。さらに同社は20141月から小売、投資家、消費者の間で関心の高まっていたビットコインでの支払い受付も開始し、受付初日には、合計13万ドルに相当する840のトランザクションへの支払いがビットコインで行われたようですが、そのほとんどが新規顧客だったそう。この成功に同社CEOのパトリック・バーン氏が「驚いた」とツイートしたものの、同社の勢いはまだまだ続きそうです。

そんなことを感じさせるのが、先月マイアミで行われたカンファレンスでバーン氏が発表した動画ストリーミングサービスの提供です。すでにアマゾン、Hulu、ネットフリックスなどがこの分野をけん引していますが、同サービスは、オーバーストック・ドットコムが現在年会費19.95ドルで提供している会員制プログラム「Club O」向けとなる見通しとのこと。バーン氏は、

「動画ストリーミングサービスを加えることで、さらに顧客エンゲージメントを高めることができるだろう。消費者は我が社をメディア企業として捉えていないだろうことは知っている。でもこれまで何億ドルものメディアを販売する中で膨大なデータを得たことで、顧客を深く理解し、次に何を求めているかを知ることができた。だからこうして動画ストリーミングの分野に参入するのは我々にとって理にかなっていることだ。本サービスではオリジナルコンテンツの制作と提供も考えている。よくアマゾンと比べられるが、会員制プログラムでは我々の方が優れていると感じている」

と自信をのぞかせます。特筆すべき「Club O」の特典には、

・全商品送料無料(注文数や商品サイズ関係なし)
1回の注文ごとに5%の払い戻し
・数百個の商品を対象にした最大40%の払い戻し

などがあり、すでにお得感がありますが、今回こうした優れた顧客体験を新しく提供することで、さらに深い顧客愛着の獲得へとつながるのではないでしょうか。顧客愛着は、顧客エンゲージメントの強化に欠かせないものです。もう一つ欠かせないのが、ビジョンやミッションの的確な伝達による顧客共感。オーバーストック・ドットコムは「お客様の節約をお手伝いする」という非常に分かりやすいミッションを掲げて顧客共感を獲得しています。こうした共感と愛着で顧客エンゲージメントが強化され、顧客数増大、顧客離反率低下、売上・利益の拡大、持続的成長などにつながります。バーン氏は、今回の動画ストリーミングサービスと顧客エンゲージメントの相関性について言及していましたが、このような顧客体験の充実は、友人・知人への推奨やリピート購入を引き起こす顧客エンゲージメント強化のスパイスとなるはずです。

参考:
http://loyalty360.org/resources/article/overstock.com-aims-to-heighten-customer-engagement
http://www.overstock.com/