人間の「お礼をしたくなる」心理を、お客様との長期的な関係構築とお店の売上アップに活かしてみよう!

エンゲージメント

オンラインでもオフラインでも、日々売上アップのために試行錯誤されている方も多いはず。もちろんお客様一人ひとりの声に耳を傾けること、ニーズを商品やサービスに反映させること、最高のおもてなしで感動体験を提供することなども大事ですが、行動心理学なども取り入れてみるのはいかがでしょう?


お礼をせずにはいられない人間の心理

社会心理学者のロバート B・チャルディーニ博士が自身の著書『影響力の武器: なぜ、人は動かされるのか』で取り上げている法則に、「返報性の法則」と呼ばれるものがあります。これは、物をもらったり、恩恵を受けたり、親切にしてもらったりすると、人間は何かをお返しせずにはいられない気持ちになる、という心理傾向を指したもの。

返報性の原理を実証するため、心理学者のデニス・リーガン博士が次のような実験をしました。他人の学生二人を自分のオフィスの外にある待合室で待たせます。内一人は博士の実験助手、もう一人は純粋な被験者です。実験助手の学生は、席を立ち自動販売機へ向かいます。戻ってきた彼の手には2本のコーラが。「ついでに君の分も買ってきたよ」と言い、1本を被験者に渡します。その後少しして実験助手が今度は「ラッフルチケット(チャリティーくじ)があるんだけど、買ってもらえないかな?」と声をかけます。すると、コーラよりもラッフルチケットの方がずっと高額だったにも関わらず、何も渡さずお願いした被験者に比べ、コーラを渡してからお願いをした被験者のラッフルチケットの購入確率は2倍になったのだとか。


「返報性の法則」はこのように作用する

返報性の法則が働く一番身近な例に、挨拶があります。「おつかれさまです」「ありがとうございます」などの挨拶をされたら、挨拶を返したくなりますよね? 

ビジネスの世界の返報性の法則で分かりやすい例のひとつに、バレンタインデーとホワイトデーがあります。女性が男性にチョコレートを贈るという文化が浸透している日本では、チョコレートをもらった男性の「お返しをしたい」と思う心理を活用して生まれたのがホワイトデーというイベントだと考えられます。(ちなみに欧米諸国のバレンタインデーは「女性から男性へ」というルールはなく、恋人、夫婦、家族、友人間でギフトの交換が行われる日なので、ホワイトデーはありません)

こういった特別なイベントだけでなく、私たちは日々何気なく返報性の法則を体験しているように思います。スーパーやデパ地下、旅行先の土産物屋などで試食をさせてもらった時は「お返ししよう=購入しよう」という心理が、ウィンドウショッピングのつもりで出かけたはずが店員さんが親切に分かりやすく商品の説明をしてくれた時などは「こんなに貴重な情報をもらってしまったから購入しないと申し訳ない」という心理が働くことがあるはずです。

また、レストランやホテルなどで感動のサービスを受けると、周りにその体験を話したくなること、ありますよね?ここにも「返報性の法則」が生きています。なぜなら、口コミというのは、とてもよくしてもらったことに対する恩返しにあたるからです。

ちなみに与える物やサービスは、相手に大きな心理的プレッシャーを与えないさりげないものがおすすめです。前述の例ももちろんですが、無料サンプル品、メールマガジンや冊子(価値のある情報)、30日間無料のお試しなどの提供も返報性の原理の活用に効果的です。また、見返りを求めないことも大事です。なぜならお返し(返報)の形は人それぞれですし、決して期待しているようなお返しが来るとは限らないからです。だからお客様に対しては”無償の愛”を持って「ギブアンドギブ」くらいの心持ちでいるのがよいのではないでしょうか。


お客様との良い関係を構築する「返報性の原理」

返報性の原理が教えてくれたのは、人間には受けた恩を必ず返そうという気持ちがあるということ。だから基本中の基本ではありますが、接客において相手に対する「おもてなしの心」「思いやりの心」を大切にすれば、相手から何かしらの形で返報があるはずです。

日本語のことわざに「情けは人の為ならず」というものがありますが、まさに返報性の原理を表していると思います。なぜなら人に親切にすることで、相手のためになるだけではなく、いずれは巡ってよい報いとなって自分に返ってくるという意味を持つからです。

そういったお互いを思いやる気持ちが絆を生み、長期的で良質な関係を構築することができるのではないでしょうか。

ちょっとしたことをコツコツと続けて、思いやりの輪を広げ、企業の持続的な成長につなげたいですね。

参考:http://en.wikipedia.org/wiki/Reciprocity_(social_psychology)