「報酬」ではなく「報奨」がよりエンゲージメントや生産性を高め、離職率0%も可能にする?!

エンゲージメント

組織というのは個性を持つ人の集合体。100社あれば100通りの組織文化や風土がありますが、最近では企業を大まかに「ホワイト企業」「ブラック企業」という2つに分類する言葉も。

ホワイト企業の大きな特徴として挙げられるのが、ブラック企業よりもずっと離職率が低いという点。そこには労働規則などの法律をしっかりと守っていたり、福利厚生や職場環境が整っていたり、という基礎的なことが大前提としてありますが、従業員を大切にし、働きやすい環境を提供し、従業員も会社を大切に思っているという「相思相愛」の関係が離職率の低下に大きく影響しているようです。その相思相愛の関係を育む鍵が「報奨」にありました。


モチベーションも組織力もアップさせる報奨

「マズローの欲求階層説」をご存じの方も多いと思いますが、これはアメリカの心理学者、アブラハム・マズロー(1908年~1970年)が唱えた「人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が充たされると、より高次の階層の欲求を欲する」というもの。

マズローの欲求階層説
出典:日本の人事部

この理論を長年にわたって研究した元デール・カーネギー協会CEO&理事長のスチュアート・R・レバイン氏は、「人はお金を得るために働く(生理的欲求)。でも、表彰、評価、承認のため(自己尊重の欲求)なら必要以上の努力をする」と、マズローの欲求階層説は正しいと結論づけました。

社員モチベーションのエキスパートであるエイドリアン・ゴスティック氏とチェスター・エルトン氏は共著『ニンジンの法則―正しい「ニンジン文化」が社員を救い、組織を伸ばす』で、彼らが10年間続けた調査において、「前年度に1度も褒められていない」という従業員の割合が65%、退社した理由が「正当に評価されていないから」と答えた従業員が79%だったことから、部下を褒めていない状況を危惧しています。(日本でも「正当に評価されていない」と感じている人の割合は56.2%と高い傾向に。(参照元))だからこそ、部下の働きを認めて称える「レコグニション」(報奨)がとても大切とのこと。

レコグニションとは、認めてもらいたいという人間の自然な欲求を理解し、社員、メンバーの取り組みや成果を的確に認めて評価し、気遣いやねぎらい、賞品や報酬などで報いてあげること。ただし、これをただやみくもに行うのではなく、部下を一人の人間として気遣い、一人ひとりの動機付けを探し出し、心に響く言葉を選択して、働きを報いてあげることが重要なのだそう。

報奨には業績向上の効果もあるのだとか。例えば、より効果的に従業員の働きを認めている企業はそうでない企業に比べ、3倍のROE、6倍以上の営業利益率を実現しているという数字が。驚きですね。


報奨はエンゲージメントも高める!

会社が従業員を大切にし、従業員も会社を大切に思う相思相愛の関係は、会社が「こうありたい」と掲げるビジョンやミッションに従業員が共感し、「この会社で働いてよかった」と思ってもらえるような従業員体験(前述の報奨など)を会社が提供し、それを受けて従業員が愛着を持つことで生まれます。

会社に対して愛着や共感を持ち、絆を感じることで仕事にやりがいを感じ、そこから「熱意」が生まれ、熱心に取り組みたいという気持ちから「没頭」し、その仕事を行うことで自分が活き活きすることから「活力」を得る、それが「従業員エンゲージメントが高い状態」となります。

従業員エンゲージメントが高まるとより良い製品・サービスの実現につながり、お客様の期待を大きく上回り、その予想外の喜びや感動がお客様をファンへと変えていきます。ファンになってくれたお客様はその製品やサービスを応援し、「推奨者」として知人や友人はもちろん、SNSなどでも積極的に口コミで広めてくれるということが分かっています。これが「顧客エンゲージメントが高い状態」です。

前述の『ニンジンの法則―』では、有能な上司が部下へのねぎらいに費やしている時間は週に1~2時間程度だといいます。これは就労時間のたった5%程度ですが、「会社と共に成長したい」「会社の成功に貢献したい」という想いを育み、エンゲージメントを高め、大きな実を結ぶもの。「飲み会の2時間」より、部下と真摯に向き合う「毎日の5分10分」を大事にしてみてはいかがでしょうか。