根性論はほどほどに、楽しく売る接客スタイルがショップ成長の鍵?!

従業員エンゲージメント

以前とある企業の全国店長会を見学した時のこと。「数字が全て」「根性見せろ」という完全に体育会系の雰囲気に、傍聴者の私でさえ緊張とプレッシャーで手に汗握ってしまったほどでした。

根性論は高度経済成長期には通用した考え方かもしれません。でも、「従業員満足度(ES)」、「従業員エンゲージメント」、「ワークライフバランス」など、従業員がやりがいを感じ、幸せに仕事をするための動きや考え方が主流となりつつある昨今、「気合いで売れ」「やればできる」「気概を示せ」と煽るだけでは、成長や成功につながらないように思うのです。


従業員エンゲージメントと相反する根性論

従業員エンゲージメントを例に、根性論が成長や成功につながりにくい理由を探ってみましょう。

まず下記従業員エンゲージメントをご覧ください。

従業員エンゲージメント

これを根性論と比較すると、相反していることに気づきます。

根性論と言うのは、抽象的で根拠がないことが多いもの。例えば、店長がスタッフに対して厳しく接する理由でよくあるのが、「自分が販売員の頃に店長にそのようにされたから」というもの。でもこれではスタッフは何のために頑張ればいいのかが分からず、暗闇の中を闇雲にさまよってしまうだけ。ビジョンやミッションを的確に伝達し、具体的に導いてあげないと、スタッフの共感を獲得することはできません。

また、根性論を唱える店長の評価の基準は気合いややる気にあることが多いため、残業などの度合いで仕事を評価する傾向があります。そのため馬車馬のように働かされ、結果が出せなければ無能とみなされることも。本来ならば優れた販売スタッフの表彰制度を設けたり、自己啓発の環境を整備したり、ワークライフバランスを推進するなどして優れた従業員体験を提供すべきなのに、厳しい企業文化では、会社に対して愛着が湧くことはありません。

このように根性論を従業員エンゲージメントと比較すると、従業員エンゲージメントが強化された時のような売上・利益の増大や持続的成長が見込まれず、下記のような悪循環のフローが出来上がってしまいます。

根性論から生まれるフロー


これからの時代はショッピングをエンターテイメントに!

楽天のサイトには “Shopping is Entertainment”というタグラインが書かれていますが、ECでもリアルでもショッピングは本当にエンターテイメントのようなもの。リアル店舗であれば、お客様がワクワクするエンターテイメント要素には、商品、陳列、店内装飾だけでなく、店員とのやり取りなどが含まれます。だからこそ、売ることだけにフォーカスするのではなく、お客様に楽しい時間を過ごしていただこうという気持ちで接客することが大切なのではないでしょうか。

人の気持ちや感情が伝染することを心理用語で「情動伝染」と言います。これは個人差もありますが、気づかないうちに自動的に起こる作用だそうで、コミュニケーションをとる人間が生まれ持っている能力だそう。

だから楽しく販売できるようになると、その楽しい気持ちがお客様に伝わるはず。そして、その体験から「このお店で買ってよかった!また行きたい!あの人に会いたい!」という気持ちがお客様の中に芽生え、単なる「顧客」の枠を超えて「ファン」になってくれることもあるはずです。ファンになってくれたお客様は、リピート購入やポジティブな口コミをしてくれます。お客様とのきずなが深まることで、長期的な関係を築くことができるようにもなります。これぞポジティブな循環ですね。

もし根性論が主軸の販売スタイルになってしまっていたら、まず原点に返って「なぜ販売をしたいと思ったのか」「買い物とはどういうものなのか」を、店長をはじめ、スタッフ全員で考えてみてはいかがでしょうか。買い物の楽しさに気づき、その気づきを日々の仕事に反映できるはずです。