SNSを使った自社発信は小規模企業こそ適している?

事例

SNSを使った自社発信は小規模企業こそ適している?

インターネットの普及とともに、2000年代後半からブログ、ツイッター、フェイスブックなどのSNSが発達しました。これによって各社は格安で自社の情報を発信することが可能になりました。

2000年代前半までは新聞、雑誌、テレビなどのマスメディアに取材をしてもらうか、料金を支払って広告の掲載をするか、チラシを作成して配布するかくらいしか発信の方法がありませんでした。

2010年以降は、各社・各ブランドからの自己発信がとても容易になったといえます。一方で、SNSが炎上する危険性もあることから、その活用は賛否両論があります。積極的に活用を勧めるべきという意見と、SNS導入は慎重であるべきという両論があり、個人的には平行線をたどっているという印象があります。

どちらが正しいのでしょうか。なかなか判断が難しいところです。多くの企業も迷っているというのが実情ではないでしょうか。


SNSだけで6600万円の売上高も

どちらの立場にも一長一短がありますが、個人的にはSNSを使って発信すべきだと考えます。最近、テレビのバラエティ番組に出演して注目を集めている人に「短パン社長」がいます。一年中短パンを穿いている社長というキャラクターで売り出していますが、彼はピーアイというレディースアパレルの2代目社長、奥ノ谷圭佑さんです。ピーアイという会社はレディースニットの卸売り型アパレルメーカーで年商規模は10億円強といわれています。2014年の後半に自身が企画したメンズ新ブランド「Keisuke Okunoya」を発表し、販売ルートはSNSだけ、という変わった手法で告知・販売しています。このブランドの2015年の年間売上高は6600万円強になったとの報告がありました。100億円を越えるようなアパレルからすると6600万円の増収というのはあまりたいしたことはないかもしれませんが、10億円を少し出た程度のアパレル企業からすると、6600万円の増収というのはなかなか大きいといえるでしょう。

この奥ノ谷社長のSNSの発信は一見すると自由奔放に見えます。真面目な投稿もありますが、オチャラケやらちょっと挑発的な投稿もあります。大手企業なら「問題視」されるかもしれない投稿も少なくありません。それでも支持されているというよりも、そうだからこそ支持者が多いと言わねばなりません。


優等生的な発信だけでは支持されない

また今年のお正月に話題になったのが「おじいちゃんの方眼ノート」です。東京の中村印刷所が開発した方眼ノートですが、どのページを開いても山ができずに水平になるというノートで、特許も取得済みです。しかし、その機能性にもかかわらず昨年末までほとんど売れずに倉庫には在庫が数千冊も貯まっていたと報道されています。このノートの開発者の孫娘が、年初にツイッターにノートの良さを呟いたところ、瞬く間にそれが広がって在庫がほぼ完売しました。現在は追加生産中だと報道されています。

このノートの事例を見ても、デメリットもあるかもしれませんがSNSを使った自己発信をすべきではないかと感じられてなりません。

そして、大手企業よりもこれら小規模・零細企業の方がSNSを使った発信に適しているのではないでしょうか。大手企業にはたくさんの従業員がいますから価値観もさまざまです。自社のSNSの投稿に対しても「OK」と考える人と、「アウト」だと考える人が必ず現れて、意見が対立します。結果的に毒にも薬にもならない平凡な投稿が増え、あまり効果を得ることはできないかもしれません。

一方、小規模・零細企業は従業員数が少ないですから意思統一も大手に比べると容易でしょう。少々オチャラケタ投稿でも「総意」として押し通すことができます。そしてそういう投稿の方が注目を集めやすいと感じます。

インターネットを過度に楽観視するのも過剰に炎上を恐れるのもどちらも危険です。大手企業には資本力と物量では太刀打ちできない小規模・零細企業こそ勇気をもってSNSで自己発信すべきではないでしょうか。