物が売れない時代に取り入れたい、顧客の五感に訴える「感覚ブランディング」

顧客体験

よい物を作っても売れない時代と言われて久しいですが、ここ数年は「断捨離」が流行り、必要なものだけでシンプルに生きる暮らし方を実践する人が増え、さらに物が売れない時代になってきているかもしれません。

それでも「また買いたい」と思う物、「また利用したい」と思うサービス、「また行きたい」と思う店は誰にでもあると思います。

例えば私の場合、値段は他社製品に比べて100円以上も高いのにリピートしてしまう柔軟剤があります。その理由に、まるで香水のようにトップ・ミドル・ラストで変わるモダンで上品な香り、スタイリッシュなボトル、他社製品より滑らかな肌触り……などがあります。

物が売れない時代に企業が注力すべきヒントがここにあります。この商品は私の嗅覚、視覚、触覚を刺激するものですが、触覚・味覚・嗅覚・視覚・聴覚の五感に訴える「感覚ブランディング」が売れる商品・サービスを作るきっかけとなるからです。

感覚ブランディングの概念は10年以上前からありましたが、ハーバード・ビジネス・レビューの最近の研究結果で、その有効性が証明され、より顧客の感情や感覚を訴求する企業が増えてきているのだとか。


感覚ブランディングの成功例

感覚ブランディングの提唱者、マーチン・リンストローム氏によると、より多くの感覚に訴えることと、統一感を持たせることが成功を導くのだとか。そういえば前述の柔軟剤も1つや2つではなく、3つの感覚に訴えていて、ブランドに統一感がありました。

また、成功している企業を見ると、やはり五感を統合的に活用していることがわかります。ここでその事例を見てみましょう。

アップル
五感に訴える体験の演出を徹底的に追及しているアップルストア。デュポン社のセントリグラスを使用したガラス階段、オーク素材の展示台、ジーニアスバーの接客、顧客が商品に自然と触れたくなる展示などで、顧客の五感を活性化させ、気持ち良く買い物ができる環境を整えています。

スターバックス
「家、仕事場に次ぐ、第3の場所(サードプレイス)」をコンセプトにしているスターバックスは、メニューや季節によって変わるというBGM、コーヒーをおいしく味わい、香り(アロマ)を楽しむための全面禁煙の店内、スタッフの丁寧ながらも自然体でフレンドリーな接客、居心地がよく統一感のあるインテリアなどで、感覚訴求をしています。

シンガポール航空
世界の航空会社人気ランキングで、常に上位にランクインするシンガポール航空は。客室乗務員の香水として、またおしぼりや機内にも独自に調合・開発した香水(アロマ)「ステファン・フロリディアン・ウォーターズ」を使用したり、さまざまな色柄の民族衣装サロンケバヤを客室乗務員の制服に採用したり、視覚や味覚を刺激する魅力的な機内食を提供するなど、一つひとつの顧客体験の感覚要素を徹底的に考え、一貫性を持たせて訴求しています。

以上、いかがでしたでしょうか。お客様が「また買いたい」「また行きたい」「また利用したい」と思うものは感覚的に決めていることが多いもの。皆さんもぜひ、自社の五感に訴える商品・サービスとは何か、お客様の五感が刺激される商品・サービスとは何かを考え、ブランディングを行ってみてはいかがでしょうか。

参考文献:
『なぜ脳は「なんとなく」で買ってしまうのか?: ニューロマーケティングで変わる5つの常識』著者: 田邊学司、小野寺健司
『そうそう、これが欲しかった!: 感性価値を創るマーケティング』著者: 小阪裕司