マネジメント層が高めるべきは、従業員エンゲージメント強化に直結する心の知能指数(EQ)

従業員エンゲージメント

短絡的ですが、新社会人だったころ、仕事のことで壁にぶつかった時に、「頭がいい人(IQが高い人)は苦労知らずに違いない。皆がうらやむような仕事に就いて、いいお給料をもらって、アフター5を満喫して、楽しい毎日を過ごしているんだろうな」なんて思ったことがあります。平凡なIQを持つ私の考えです。でも決して、IQが高い=人生バラ色、ではないですよね。映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』でマット・デイモン演じる、驚異的なIQを持ちながらも過去のトラウマが原因で鑑別所入りを繰り返す主人公ウィルの姿を見て、そんなことを思いました。


努力をすれば高めることができる心の知能指数

「IQ」は純粋に知能指数を指しますが、それに対して、「EQ」(Emotional Intelligence Quotient)という心の知能指数を指すものがあります。心の知能指数は、

・自分自身や他人の感情を理解する
・自分の感情をコントロールする

という能力で測るものです。心の知能指数(以下EQ)が高くなると、

・よい人間関係を育み、それを維持できるようになる
・周りから多くのサポートを得られるようになる
・周りと力を合わせ、目標を達成できるようになる

という効果が期待できることから、EQを活用する企業も増えているようです。採用時に学歴、知識、技術などではなく、モチベーションやコミュニケーション スキルの高さや素直さなど、頭よりも心を重視する傾向が強くなってきていることも、EQの活用度が上がっている理由です。

IQは先天的なものなので高めるにも限界があると言われていますが、EQは後天的なものなので、努力をすれば高めることが可能です。


心の知能指数が高まるとエンゲージメントが高まる?

心の知能指数(以下EQ)は従業員エンゲージメントにも大きく影響します。

EQは、優れたリーダーシップと高い従業員エンゲージメントを欠かせないものだと言われています。デール・カーネギー・トレーニングは、従業員が職場において次の4つの感情を持つことが、エンゲージメント強化につながるとしています。

・熱意を感じる
・パワー(権限)を得たように感じる
・インスピレーションを受ける
・自信を得る

この内3つの感情を持った従業員のエンゲージメントは高くなるということも分かっています。さらに、84%の従業員が、直属の上司がこれらの感情を左右するとも述べています。

でも企業のマネジメント層というのはどれだけ従業員の感情を重要視しているのでしょうか。マネジメント層が職場でどれだけ健全な人間関係を構築するかに注 力しているかによって、従業員のエンゲージメントレベルも大きく変わってくるものです。マネジメント層は、従業員の感情を省みず数字ばかり気にするのをやめて、エンゲージメントに目を向けるべきです。なぜなら、エンゲージメントの高い従業員の集まる企業は、そうでない企業より、202%も業績がよくなるか らです。

前述でEQを活用する企業が増えているとお伝えしましたが、これは従業員中心の職場環境を作るのに非常に効果的です。企業のトップに「一番大切な資産は?」と聞いたら「従業員」と答える方が多いかもしれませんが、残念ながらこれまではそうでなかった企業が多かったのも事実です。

FedExは、EQをリーダーシップ研修に取り入れることで、6ヶ月という短期間でこのような結果を導きました。

・44%の参加者のEQが大幅に向上した
・58%の参加者のポジティブな影響力が高くなった
・72%の参加者の意思決定能力が高まった
・60%の参加者のクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)が高まった
・全体的にリーダーとしての能力が8-11%向上した

EQを高めようと努力するリーダーというのは、自分の感情のコントロールが上手で、周りへの気配りもできるようになるため、どんな状況や問題にも思いやり を持ち、よりよい形で対応できるようになります。それが周りのモチベーションやエンゲージメントを高めることにもつながります。成功の75-80%はEQ が、20-25%はIQが占めると言われているため、どれだけEQが大切かも分かりますね。

自分の感情を上手にコントロールすることで、本来自分が持っている能力を最大限に活かすことができるだけでなく、エンゲージメントを高め、人間関係を円滑にし、私たちにより豊かな人生をもたらしてくれるEQ。そんなEQについてもっと知りたい方には、こちらの書籍がおススメです。

EQ こころの知能指数

【書籍情報】
・書籍名:『EQ こころの知能指数』
・著者:ダニエル・ゴールマン(心理学博士)
・出版社: 講談社 (1998/9/18)