マクドナルドの異物混入事件で再認識した従業員エンゲージメントの重要性

従業員エンゲージメント

子供からお年寄りまで、マクドナルドは身近な存在ではないだろうか。忙しいビジネスパーソンにとっては、朝食や昼食を気軽に済ませられる場所。学生にとっては勉強をしたり友達との会話を楽しむ場所。家族連れにとっては、ハッピーセットやイベントを楽しむ場所、お年寄りにとっては、友達や孫とのコミュニケーションの場所、というように、人生の様々なステージにおいて世話になることが多いのだ。マクドナルドは決してヘルシーフードではないと分かっていても、妙にあのポテトが食べたくなることがある。お財布が寂しい時には心強い味方にもなってくれる。

ただここ数日、多くのメディアでマクドナルドの異物混入のニュースが相次いで取り沙汰されている。青森県と東京都の店舗で販売されたチキンナゲットにビニールらしき異物が混入、大阪府の店舗では人の歯のようなものがフライドポテトに混入、福島県の店舗で販売されたサンデーチョコレートに入っていたプラスチック片で5歳の女児が口の中を切りケガをする、といった具合だ。勿論、口にはいるものを販売しているわけだから、ファーストフードであっても美味しくて安全なものを提供すべきであって、異物が入るということはあってはならないことだ。

それにしても、ここ数年のマクドナルドを始め、大手外食チェーンのほころびが目立つ。異物混入以外にも、ゼンショーのワンオペ問題やワタミの問題などが記憶に新しく、「デフレ御三家」は失速している。でもなぜこのように、急に問題が表に出始めたのだろう。

それにはまず、インターネットの発達とSNSの台頭により、世の中の情報が共有され始めていることが挙げられる。今回の異物混入に留まらず、ネット上に投稿されたチーズバーガーの生焼けのパテや、同じく火が通っていない様子のナゲットの写真なども、ツイッターに投稿され、拡散した。情報が一瞬で拡散・共有される時代だけに、異物混入の可能性を厳しい管理体制で最小限に留める努力をすると共に、万が一混入してしまった場合には誠意ある公表姿勢・対応が求められる。

そして何より、ここ数年のデフレ環境のため、企業側がコスト削減にやっきになり、人件費領域に手を付けた。このことにより、モチベーションの低下や教育機会の縮小が起こり、急激にサービス品質が落ちてしまったことがあるだろう。

飲食業は食べるものを提供することは当たり前だが、そこにはそれを作る人、お渡しする人、片付ける人など多くの人の手が介在する。その人達が自分たちの仕事を意味を理解し、前向きに働いてもらえる環境を作る事こそ、今もっとも大事なことだと思う。

今回のマクドナルドの異物混入事件では、店舗スタッフがチキンナゲットに混入していたというビニール片をお客様から預かったが、それを誤って紛失してしまった上、店長に報告せず放置していたという事実が発覚した。ゼンショーは深夜の営業を1人で回すワンオペを改善すると約束したものの、一向に状況が改善されず、激務薄給に耐えられなくなったスタッフが次々と辞めてしまい、深夜営業を休止した店舗が急増した。ワタミもゼンショーと同じく激務薄給の上、表向きの理念とは異なる経営者の野望をスタッフに押しつけてしまったことで、事故や不祥事が頻発した。

美辞麗句ではない企業理念や行動指針を共有し、それに共感した従業員が会社につながりを感じ、改善への強い欲求を持って主体的・積極的に行動できる環境を整え、従業員エンゲージメントを高めることが必要とされるのだ。

飲食業界を代表するマクドナルドのような会社が、エンゲージメントカンパニーになり復活してくれることを期待する。