ヒューマンウーマン

お客様からいただく
「ありがとう」は
最高のモチベーション

ヒューマンウーマン

株式会社TSIホールディングスでは2015年から顧客ロイヤルティ指標NPS(Net Promoter Score)を同グループの店舗運営に導入し、難しいとされてきた小売現場の接客品質の可視化と継続的な改善に大きな成果を上げています。

ヒューマンウーマンはTSIホールディングスグループの婦人服ブランドです。シンプルシックな日常着とニュアンスのある単品服を、お客様の感覚で自由にスタイリングできる大人の女性のためのクローゼット感覚のショップを展開しています。

「ヒューマンウーマン」を運営する株式会社エス・グルーブ事業統括東日本第2エリアHUMAN WOMAN H/standardブランドマネージャーの二見友子氏、株式会社サンエー・インターナショナル営業統括部ヒューマンウーマンアッシュ・スタンダード営業チーフ那須祐太氏にお話を伺いました。

SANEI international

NPSは難しい?大変?

NPSをヒューマンウーマンで始められたのはいつごろですか。最初の実験が始まった時から、二見さんは興味を持ったのでしょうか。またその印象は

グループ会社のサンエーbdで、ある程度実行した後にスタートしました。
NPSを始めたことは知っていたのですが、詳細はTSIホールディングスから提案をもらってから知りました。

印象としては、ちょっと難しいものなのかなと思いました。もちろん、お客様からサービスに点数を付けて「見える化」することには、興味がありました。私たちのサービスの在り方が、店側の一方的な思い込みになってはいないかという不安やお客様からの意見が怖いとの思いもありました。

二見氏
株式会社エス・グルーブ 事業統括東日本第2エリア
HUMAN WOMAN H/standardブランドマネージャー 二見友子氏

那須さんはどんな印象を持ちましたか。また取り組みはどのような形で行いましたか

正直、大変なのが下りてきたなというのが最初の印象です(笑)。僕らもそうですし、売り場側がやることも増えていくのだろうなと。そして、ちょっと不安にもなりました。

目標を明確に、アクションを明確化

NPSでどのように業務を改善しましたか

【 1 】まずはモチベーションを喚起

初回の質問は「思い出に残った出来事はなんですか」など、お客さまと心の距離が近い内容にしました。初めてだったので、何よりスタッフのモチベーションにつながる話が出くれればという気持ちの方が強かったです。そういった意味では、初回からお褒めの言葉が多く、非常によかったです。

【 2 】問題を絞り、できる範囲から

最初から多くのことに取り組むのは非常に難しいので、グループ会社が使用したチェックシートを本部から提供してもらいNPSを向上させる取り組みを絞り込みました。

今はリアルタイムで接客サービスの各接点での満足度とNPSとの相関分析を見て、課題が現れた時にその場で行動を起す。すぐに改善する。ただし1週間に1カ所でいいよという風にしています。

【 3 】繰り返し出る課題は根本的なもの

それも、次々に新たな課題が出てくるわけではなく、何店舗かは2、3週にわたり同じ課題が出てきます。これに関しては根本的な課題として、次のNPSまでに改善することを目標とします。

【 4 】アクションを明確化

実践では、タイムリーに1週間ごとにどのアクションに対して何をするかを挙げ、数値目標も入れてもらっています。それが、結果としてどうだったかを検証。これを踏まえて、私やマネージャーが相関分析シートを見ながら、アクションを「ストップ(やめること)」「スタート(始めること)」「コンティニュー(続けること)」に分けて実行し、毎月、振り返ります。

「何のためにやるのか」がしっかりしていれば、「行動」はブラッシュアップできるので、最終チェックで、それが売り上げやNPSのポイント向上につながったかを判断できます。

那須祐太氏
株式会社サンエー・インターナショナル 営業統括部
ヒューマンウーマンアッシュ・スタンダード営業チーフ 那須祐太氏

スタッフの成長

スタートから、お店とスタッフはどう変わりましたか

販売スタッフも経営に参画

ヒューマンウーマンでは週報をやめて日報にしているのですが、日々の数字の報告と明日数字を取るためにはどうするのか、ということをNPSで決めたアクションと連動させています。最初は連動していなかったNPSと日々の売上や客数や客単価につながりが見え、活動にまとまりが出てきました。

できるところは年次が若いスタッフでもシートの記入をしており、販売スタッフも経営を考えるような体制作りが構築されました。スタッフはお店の売上だけではないところにも参画することで、成長していきます。

ただ、NPSをやること自体が仕事と思ってほしくないとも考えています。お客様のために何をしたら良いかということが主な仕事で、これを忘れてほしくないのです。

「商品のせい」にはしないスタッフに

リアルタイムにお客さんの声に触れることにより、劇的に改善アクションの量も質も増えました。

そして、売れない理由を商品のせいにしなくなりましたね。「売れ筋がない」ではなく、自分たちでどう工夫して売り上げをつくるかという思考に変化してきています。

もちろん、外的要因もありますが、販売スタッフはデザイナーでもMDでもないので、来て下さったお客様にどれだけ喜んで買ってもらうか、が大事です。逆にそれは販売員にしかできない仕事という意識で仕事をしています。

ワークショップから好循環をつくる

ワークショップではどんなことを意識していますか

スタッフもお客様

話しやすい空気をつくり、言いたくても言い出せない人を引っ張り上げるという作業を意識しています。

特に店長たちが気を付けているのは、スタッフもお客様と変わらないということ。まず、彼ら彼女らが店を好きになり、やる気にさせなければ数字につながらないからです。そして、せっかくやるならミーティングに出てよかったなあと思える内容にしたいですよね。店長や先輩の言うことがすべてになりがちなのですが、なるべく年次が下のスタッフの意見が上に伝わり、うれしいと感じ、参画意識を持ってもらうことを目標にしています。

ティーチングとコーチングの使い分け

その店のコンディションによって、ティーチングがいいのか、コーチングがいいのかを判断することも重要です。

売り上げが落ち、モチベーションも下がっているといったコンディションが悪いところは、しっかり話を聞きながら、あまり余計なことは考えないよう、目標を限定していく作業をします。逆に、コンディションが良いところは、そこから次のステップに行くために、考えを広げていくという作業をしていきます。

いずれの場合も、できないところよりも、できているところを見て伸ばしていくことを大事にしています。できていないことが多い店は、むしろ伸びしろがあると考え、モチベーションが下がらないようにしています。

フォローはしっかり、承認と評価は絶対

ワークショップの後は、店舗ごとのショップミーティングで課題を見返して、今月できたことや伸びしろをフォローしてもらっています。

さらに、各店舗のフォローに対しては確認が必要なので、通信アプリのようなシステムにグループをつくり共有。毎月の提出日には、気づいた部分を写真でも情報を共有しています。我々は、これに対してコメントを返し、評価を行っているのです。

会社から店舗には、さまざまな指示がきます。これに対して、実際にできているか、どういう成果につながったかは、私たちが確認し、評価し、判断しなければなりません。しっかりしたアクションがなければスタッフは「なんだったの?」で終わってしまい、やる気を失いかねません。

現在はワークショップを回していく中で、お客様から頂いた声に迅速に反応していける体制が付き始めていると感じています。

店長などが集まるセールスミーティングの中では、NPSの話は必須ですか

ルーティーンですので、必ずNPSの話題を入れています。出てきた内容を踏まえてディスカッションを進めるのは、いい機会だと思っています。そもそも、NPSアンケートを取らなければ、なかなかお客様の声自体が上がってきませんから、触れずに改善の議論はできないのです。

二見氏と那須氏
導入時を振り返る二見氏と那須氏

店舗・スタッフが変わった!

店舗に良い変化がどんどん生まれていると聞いています

参画意識が店舗の力に

年次が下のスタッフでも、参画意識ができており、スタッフがボーっとお店に立っていることがなくなりました。例えば、店舗の活動を午前と午後に分けて、午前中がダメなら、午後にどう立て直すかなど考えながら販売をしています。スタッフ全員が日々しっかり勝負している状態なのです。

アクションを筋立てて理解

購入いただいたお客様はもちろん、購入に至らなかったお客様にも関心を持つことで、幅広い視点をスタッフ全員が持つようになりました。お客様について、しっかり理解しており、アクションするか筋立てて考えることができ、店舗力が大幅に向上しました。

逆に今、改善しなければならない部分はありますか

アンケート時期を考慮

今回、アンケートを取る時期を3月から4月に変更しました。4月は客数が増える時期なので、これまで分からなかった中立や批判のお客様から「メンバーズ」や「サイズ」に新たな意見をいただきました。今後は2月や8月など、来季の目標を立て、客数も少ない時に丁寧に行うことも必要かと思っています。

伸びしろはある

NPSの活動を始めて、1年半ほどで、店舗には大きな変化がありました。売り上げが好調なところもさらに伸ばせるという実感を持つことができ、なかなか結果が出ない店は、課題を伸びしろと考えチャレンジしてもらっています。

伸びしろという表現がいいですね

若いスタッフは課題というと重荷になり、やったことがないことに対して不安を持つことも多いのですが、伸びしろと表現することで、不安感を払しょくし、やってみようという気になってくれます。NPSは客観的に課題を見られるので、思考を変えていくという点でスタッフも、気持ちを前向きにできます。

今後のNPSの取り組みや目標を教えてください

すべてはお客様のために、スタッフのために

常に言っているのは最終的にお客さまのために何ができるかを考えて行動してほしいということ。その成果はVOCとして表れてくるので、それをもとに動くことが大事だということも言っています。

我々は、スタッフがどうマネジメントに経営に参加していけるか、そういう視点を持ってくれるかと考えています。私が店長の時も、やはり販売力のある子だけが評価されていたのですが、これからの時代は経営まで考えるような幅広い視点を持ちながら、仕事をしてほしいのです。そのためにわたしたちは、スタッフの武器を増やしていく活動をしていきたいと思っています。

なにより、お客様からいただく「ありがとう」は最高のモチベーションです。
一つ一つの活動は心を込めて行う、そんなNPS活動にしていきたいと考えています。

本日はお忙しいなか、ありがとうございました。

※ ヒューマンウーマン
※ 2018年5月29日