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    2014.01.10 エンゲージメント
    接客、顧客サービスにおいて「非効率」を追求する時代へ!

    当記事は、2014年が明けて初めてのブログ記事となりますので、エンゲージメント関連したトレンド(潮流)の変化について書いてみたいと思います。

    エンゲージメントに関連した近年のトレンド変化には様々なものがありますが、最も俯瞰的な視点で見ると、それは

    「効率ではなく、非効率を追求する時代がやってきた」

    ということだろうと、私(松尾)は感じています。

    これまでのビジネスにおいては、「コスト削減」を目的としてビジネスのあらゆる側面をとことん効率化することを追求してきました。効率化によるコスト削減が実現すれば、利益率が改善し、企業の手元に残る利益が増えます。そして、この利益増分を販売価格の値下げに回せば、より安い金額でお客様に製品・サービスを提供することが可能になるわけです。

    ただ、確かに消費者にとって「安い」ことはありがたいのですが、単に安いだけで満足する消費者は近年減っています。「安くすればお客様は喜んでくれる」という発想は大量生産・大量販売の時代のものであり、時代遅れの発想なのです。

    今の消費者は、モノそのものを購入する行為に加えて、商品情報を収集し比較検討したり、あるいは店頭で実際に商品を手に取ってみたり、店員とやりとりをする(「雑談」を含む)といった購入するまでのプロセスにおいての楽しさや心地よさ、また購入後の製品・サービスの利用においての楽しさ、心地よさ、安心感に対する期待が高いのです。

    したがって、今後は、たとえ支払うお金が増えるとしても、あえて購入前後のプロセスの楽しさや快適さを求める消費者がますます増えていくのではないかと予想されます。

    よく言われることですが、「モノの時代」から「コトの時代」へと完全に移行してしまっているのです。今の私たちは、楽しい、心地よい体験、一言でいえば「幸せな体験」をするためにお金を出したいのです。そのために「モノ」の購入が必要であれば購入する、というのが基本的な購買行動になってきています。すなわち、モノそのものが欲しいのではなく、モノを通じて得られる体験全体に対してお金を払っているという感覚なのです。

    では、モノを購入することに付随する「幸せな体験」とはどんなものでしょうか?それは、消費者一人ひとり、「個人」としての存在を認識してくれて、個別のニーズに対応し、また個別の思いや感情に寄り添ってもらえるような体験でしょう。

    こうした「幸せな体験」を企業が提供することは実は極めて非効率な行動になります。なぜなら、効率化は業務プロセスや顧客対応を定型化・標準化することによって初めて可能になることですが、優れた体験を個々人を識別し個別対応することは効率化と真逆の行動になるからです。

    しかし、今の消費者が求めているのは、「その他大勢」として扱われることではありません。1人の人間としての私のニーズ、思いに耳を傾けて欲しい、私個人としての問題・課題の解決を支援してほしいということを求めているのです。

    前述したように、このような要求に応えることはとても大変で手間のかかること。つまり非効率なことです。これまでの企業本位の発想に基づけば、あまりやりたくないことでしょう。しかし、企業の本来的な使命は、製品やサービスを販売することではなく、お客様の抱える問題・課題を解決することであるはず。であれば、今の消費者を満足させ、さらには感動させ、エンゲージメントを強化する、すなわち「きずな」を太くするためには、あえて非効率な行動を積極的に取らざるを得ないのではないでしょうか?

    もちろん、お客様との接点以外における業務の無駄な部分については、今後も効率化を追求する必要があるでしょう。やってはいけないことは、お客様との接点においても過度の効率化を追求することです。

    むしろ、顧客接点以外での業務効率化を図りつつ、一方で手厚い、きめ細やかな顧客対応、顧客サービスに取り組むことによって、全体としてのコストアップをできるだけ回避するというのが今後の経営の基本指針ではないかと思います。

    このところ、ファストフードの王者、マクドナルドの業績不振が伝えられています。業績不振の背景には様々な要因があるとは思われますが、行き過ぎた効率化も客足が遠のいた一因ではないでしょうか。

    マクドナルドは近年、顧客接点における効率化を追求してきました。クーポンを発行するのも、あらかじめメニューを決めておいてもらえれば、カウンターでの1人あたり注文時間が短縮できるからです。カウンターでの1人あたり注文時間が短縮できれば、それだけ多くのお客様をさばくことができ、クーポン割引をカバーして、トータルでの売上増が狙えるという戦略です。

    しかし、消費者から見ればマクドナルドでの購入体験は実に味気ないものになっていますし、マクドナルドの商品はいこのところ徐々に値上げしてきましたので安いわけでもない。だったら、他にいくらでも食事をする選択肢はあるし、あえてマクドナルドを選ぶ理由がなくなってしまった。マクドナルドの業績不振は顧客接点における行き過ぎた効率化がどんな結果をもたらすかを理解するための恰好のケーススタディかもしれません。

    一方、スターバックスやアップルストアのようにお客様の個別ニーズへの対応力に優れ、明らかに顧客対応における効率を追求していない企業が相変わらず人気であり、業績好調であることを考慮すると、一見非効率に見える手厚いサービスを提供することが、エンゲージメントの高い熱狂的なファンを生み出し、結果的に高い収益につながる戦略であることが明らかだと言えるでしょう。

    お客様とのきずなづくりの根底にあるべきは、「お客様を愛すること」だというのが、シンクーのエンゲージメント理論です。愛することとは、相手本位で時間や手間をかけることを意味します。つまり、お客様にとことん付き合うことが愛すること。それがきずなの強化につながる。短期的には非効率に感じられるかもしれませんが、長期的には多大なる収益をもたらしてくれるのです。

    シンクーでは今年も、エンゲージメント・フォーラムを通じて、様々な企業のエンゲージメント取り組み事例を紹介していくと同時に、具体的なエンゲージメント強化ノウハウを提供してまいります。

    今年もよろしくお願いします。

    SHAR

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