『働き方改革』で残業を減らしても従業員は満足しない!?

従業員エンゲージメント

2019年4月に始まった働き方改革により、残業が月45時間までに規制されるようになりましたね。

経営者や改革の担当者は「いきなり『残業を減らして』って言うと、従業員から不満が出てくるだろうなぁ。気が重い・・・」なんて思っていませんか?

私も働き方改革が始まった当時は同じように気が重い状態でした。今までの人事労務の経験から、いきなり何かをやろうとしても、それが形だけだったり強制的だったりする場合、かえって従業員の不満がうまれ、悪影響を及ぼすことが多かったからです。 

 この記事では、『働き方改革』を通して、従業員満足度を上げる方法をご紹介します。

働き方改革で社員は幸せになるのか?

働き方改革が始まった当時、サイボウズが、アリとキリギリスの物語になぞらえた『働き方改革、楽しくないのはなぜだろう』というテーマの動画を作り話題を呼びました。働き方改革で、会社から15時を過ぎたら仕事をしてはいけないと言われたアリさんが、仕事が終わらないのでPCを立ち上げたまま近くのカフェで仕事をしようとしたらカフェの中は全員社員だった。という笑い話ですが、これが現場の状況をよく表しています!

 

アリさんは働き者なので、不満を言わないかもしれませんが、仕事の中身や量の調整もせず、強制的に働く時間を短くされた従業員は、結局は場所を変えて仕事をしていたりするのです。そして、毎日少しずつ不満や会社への不信感をためています。

 

このように、不満や不信感がたまる『働き方改革』であれば、もちろん楽しくないですよね。では、どうしたらいいのでしょう。

先述したサイボウズ代表の青野慶久さんは次のように言っています。「働き方改革を担う経営者たちは、『働き方はこうあるべき』と、ひとつの正解を探すのではなくて、100人従業員がいれば100通りの正解があるはずなので、その100通りの正解を実現するようにしていくのが経営者の仕事」である。

つまり、従業員一人一人が抱えている事情(独身、子持ち、通勤時間が短い長い、人生の目的など)は異なるので、本当に『働き方改革』をしようとするならば、従業員一人一人と向き合う必要があるということです。

この点、たしかに、従業員一人一人と向き合うのは時間がかかりそうで、それはそれで気が重いですよね。しかし、形だけの『働き方改革』や強制的な『働き方改革』は、アリさんが場所を変えて仕事をしていたように、カタチだけの改革になってしまいがちです。

離職率を28%から4%に低下させたサイボウズの『働き方改革』

【サイボウズの従業員数と離職率の推移】

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出典:サイボウズ

サイボウズと言えば、離職率が28%から4%に離職率が低下したことで有名ですが、なぜここまで離職率を低下させることができたのでしょうか?

いろいろ理由はあると思いますが、その一つに、従業員満足度の向上があると思います。

「『働き方改革』で残業を減らせば、従業員満足度は上がるのでは?」と思われるかもしれませんが、働き方改革で残業を減らせたとしても、従業員の仕事への満足度が上がるとは限りません。

これについては、フレデリック・ハーズバーグ(アメリカの心理学者)の「二要因理論(衛生理論・動機付け理論)」がとてもわかりやすいのでご紹介します。
ハーズバーグによると、人間には2つの欲求があるそうです。

①苦痛を避けようとする動物的な欲求
②心理的に成長しようとする人間的欲求

ここでは、仕事に置き換えて
①仕事への不満
②仕事への満足
とします。


これらは別々のもので、たとえば、不満を感じる要因(会社の方針と管理、監督者や同僚との関係、労働条件、給与等)を減らしても、仕事への満足度があがるわけではない。満足度をあげようと思ったら、満足を感じる要因(達成、承認、仕事そのもの、成長等)にアプローチする必要があるというものです。
つまり、『働き方改革』で残業を減らしても、それは仕事への不満を解消することにはなっても、仕事の満足度を上げることにはならないので、従業員満足度の向上につながるとは限らないのです。
サイボウズの『働き方改革』は、従業員一人一人と向き合いコミュニケーションを積み重ねることを通して、従業員満足度をあげていったと考えられるのではないでしょうか。そして、究極のボトムアップとも呼べる「人事制度を従業員が考え、構築する」人事制度ができあがるまでになりました。

『働き方改革』を通して、従業員満足度を上げるには?

『働き方改革』で、従業員満足度を上げるには、サイボウズのように従業員一人一人と向き合うことから始めることです。


ダニエル・キムの「組織の成功循環モデルの理論」によれば、

「何か結果を出したいとき、行動を変えようとしても他人や自分の行動を変えることは難しいので失敗しやすい、まずは結果に関係する人たちの関係の質を上げることから始めよう」

というものです。

残業を減らすことだけを目的にした場合、強制的に従業員の行動を変えようとしがちですが、行動を変えるのは難しいので結果はなかなか出ません。そのうえ、従業員の不満や不信感はたまってしまいます。
時間はかかってしまうかもしれませんが、従業員一人一人と向き合い、お互いに認め合う関係性を築き、行動の質を上げることで従業員満足度があがり、結果的に残業を減らすことができると考えます。


引用 :FNNプライム,(2017.12.25),『その経営者もビビるはず。青野慶久が考える「本当の働き方改革」』特集 「休まる一年を祈願 !2018年は仕事から離れる勇気」 第1回,https://www.fnn.jp/posts/00278590HDK
マイナビニュース,(2019.09.02),サイボウズの「100人100通りの人事制度」を実現する働き方改革とは?,https://news.mynavi.jp/article/20190902-887250/