自社の強みと弱みを把握し、それをよりよい戦略に近づけることの大切さ

その他

一般的に「強み=善、弱み=悪」と考えられています。しかし、強みと弱みは同根で、状況によってそれが強みになったり弱みになったりすると考えられます。とくに企業経営においてはそのような認識を持って経営をする方がより良い結果になるのではないでしょうか。

たとえば、ワールドやTSIホールディングスなどの大手アパレル各社の失速と大リストラが話題になっていますが、これもその一例ではないでしょうか。

大手アパレル各社が成長できたのにはさまざま要因がありますが、①トレンドを素早くキャッチして、それを格安すぎることなく②中間価格帯というそこそこの値ごろな価格で発売してきたことがその一因としてあげられます。その背景には、90年代半ばにPOSというコンピューターシステムをレジに導入したことで、さらにその精度が高まったことが背景にあります。

値札に書かれているバーコードをスキャンすることで何がどれだけ売れたかが集計できるようになったのです。

その集計結果を見れば、何がどれだけ売れているのかがすぐにわかります。売れている商品を追加補充し、売れていない商品を処分すれば理論的には売れ筋商品ばかりの店になります。しかし、実際は、どれだけ目新しい商品が注目されていても、売れ行き枚数が多いのはベーシックな商品なのです。反対に売れていない商品でも、店頭の雰囲気作りには一役買っている場合もあります。

つまり、POSのデータ通りに品ぞろえをすればするほど、ベーシックで面白味のない店が出来上がってしまいます。大手アパレルブランドの店頭に面白みが無くなったとか、商品が同質化したと言われるのはPOSシステムを重視しすぎたからではないでしょうか。

②の価格面についても中間価格帯というのが強みでしたが、格安・激安の外資系ファストファッションブランドやグローバルSPAブランドの登場で、中途半端な価格帯というふうに消費者に見られるように転化したのではないでしょうか。

成果主義が一転して弱みに

今年5月11日付の日経ビジネスオンラインの記事によると、近年のサムスンの苦戦の原因は成果主義を徹底しすぎたために、技術革新ができなくなったからだと指摘しています。ご存じのようにサムスンは家電業界で2008年ごろから世界のトップメーカーに躍り出ました。しかし、昨年ごろから大幅な減収減益に苦しんでおり、いまだにその突破口を見いだせていません。

この記事によると、サムスンでは未知の新技術を提案すると、「他の大手企業も使っていない」という理由で却下になるそうです。たしかに「成果主義」を厳密に適応するとそうならざるを得ません。他社も含めて実績のない新技術なんて失敗する可能性も多分にありますから。記事ではかつてはサムスンの強みであった「徹底した成果主義」が今では弱みになっていると指摘しています。

企業にとって自社の強みを磨くことは重要なことです。しかし、それを磨きすぎると、鋭利さが増して自社をも傷つけてしまうことが珍しくありません。ちょっと逆説的ですが強みは磨き上げすぎないことも重要なのではないでしょうか。

記事参考
だから私はサムスンを辞めた
日本人元社員がみたサムスンの「壁」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150508/280830/?P=1