シリコンバレーからウォールストリートまで、注目を集める“マインドフルネス”の力

エンゲージメント

目の前に水が半分入っているグラスを見て、あなたはそれを「半分満たされている」「半分しか入っていない」のどちらの視点でとらえますか? 水が半分入っているコップを見て、それを半分満たされていると見る人は楽観的でプラス思考、半分しか入っていないと見る人は悲観的でマイナス思考だと考えられています。

例えば仕事でミスしてしまった時、「自分には才能がない」と悲観的になるよりも、「今回は仕方ない」「次頑張ろう」と楽観的にとらえられた方がずっとモチベーションも高まりますよね。物事の二面性を見てプラスな方に目を向けることで、考え方や行動にも反映されるはずです。


“楽観的”は身に付けられるスキル?!

楽観的になりたくてもなれない、と思う方もいるかもしれませんが、ポジティブ心理学者のマーティン・セリグマン博士の著書『オプティミストはなぜ成功するか』によると、楽観主義というのは先天的なものではなく、誰でも学んで後天的に身につけられるものだそうです。

悲観的な人は挫折や失敗を経験すると、自分に能力がないせいだと自分のせいにしてしまい、状況を変えることができないと無気力になってしまうため、その状況を変えるための行動を起こすことができません。でも楽観的な人は同じ状況でも、自分の努力や意欲が足りなかったのが原因だと考え、状況は変えられるはずだと前向きな行動を起こすことができます。

では楽観的になるにはどうすればよいのでしょうか。セリグマン博士は、自分が悲観的な物の見方をしていることを認識し、その考え方から気をそらすか、悲観的な自分に反論して元気づけるというトレーニングを重ねることで、より楽観的になれるとしています。


マインドフルネスで得られる楽観性

「自己啓発の父」「心理学の巨人」と称されるアルフレッド・アドラー(1870-1937年)は、

「楽観的であれ。過去を悔やむのではなく、未来を不安視するのでもなく、今現在の『ここ』だけを見るのだ」

という言葉を残しましたが、彼の楽観に対する考え方は、「マインドフルネス」に通ずるところがあるように思います。

マインドフルネスとは、意識をして今この瞬間に注意を向けること。例えば、テレビや新聞を見ながらご飯を食べるのではなく、ご飯を食べることだけに注意を向けるのがマインドフルネス。ストレス解消のために運動をする人も多いと思いますが、逆にストレスのもととなっている過去の失敗や人間関係の不満、未来への不安などを考えてしまうこともあるかもしれません。でもそこで意識をして、運動することだけに注意を向けるのもマインドフルネスです。

マインドフルネスはここ数年、シリコンバレーやウォールストリートなどでも急速に注目度を高めています。

Googleでは「自分の心の中を検索する(Search Inside Yourself)」と名付けられたマインドフルネスのコースが実施され、これまでに5,000人以上の従業員が受講し、瞑想を実践していると言います。

インテルでは「Awake@Intel」という「マインドフルネス瞑想」の社内プログラムを取り入れ、9週間の瞑想の基本的なトレーニングを全社員に提供しているのだとか。(下記動画参照)

他にも、アップル、フェイスブック、リンクドイン、ゴールドマン・サックスなどの大企業が同じようなマインドフルネスのプログラムを導入しているといいます。

これだけマインドフルネスが注目されているのも、集中力が高まる、生産性が上がる、ストレスが軽減される、幸福感が強まる……などの効果を実証する研究報告が多くあるからです。今この瞬間をありのままに受け止めることで、マイナスの感情や物事にとらわれることなく、冷静に客観的に自分と向き合い、今自分に起きているプラスのことに気付きやすくなるのがマインドフルネス。人生をよりよく生きられるのであれば、積極的に実践したいですよね。日本でもこれから同じようなプログラムを取り入れる企業が増えるのではないでしょうか。