お客様の心をつかみ、売れるお店をつくる接客のヒントは「初心」にあり?

顧客エンゲージメント

先日とある駅のロータリー前で待ち合わせをしていた時のこと、ふとタクシー運転手さんの様子を観察してみると、人によって過ごし方が全然違うことに気づきました。新聞を読んでいる人、ウトウトしている人、外でタバコを吸いながら他の運転手さんと話し込んでいる人などが多かったのですが、フレッシュな新人のような雰囲気のある運転手さんからは、車内で背筋をまっすぐに周りに気を配っている様子が感じられました。利用する客の立場からすると、どうせ同じお金を払うなら待機中でも気を抜かないドライバーさんにお願いしたい、と思います。

この新人(らしき)ドライバーさんを見て再認識したのが「初心忘るべからず」の大切さ。もちろん、長い年月毎日同じことを繰り返していると、慣れが生じて初心を忘れてしまうことはありますよね。仕事やその環境に慣れることは大事ですが、同時に始めた頃の謙虚で真剣な気持ちや、緊張感はいつまでも持ち続けていたいと思いませんか? 「初心忘るべからず」は仕事でもプライベートでも大切にすべきことですが、特に時代が「マスから個へ」と移り変わる今、直接お客様とやり取りをする接客業に携わる皆さんは、特にこの気持ちを大切に、お客様一人ひとりと向き合う必要があるように思います。


初心を忘れた接客とは?

初心を忘れるということは、言い換えればその分経験を積んでレベルが上がっているということ。でも「接客なんて慣れたもの」と思っているとどうなるでしょうか? 忙しい時にはお客様を「もてなす」ではなく「こなす」という感覚になってしまったり、貢献度が分かりやすく表れる売上のために客単価を上げることに必死になってしまったりして、お客様に「私は大勢いる客の一人だ」「私は大切な客だと思われていない」という印象を与えかねません。もちろん、そういう印象を受けたお客様がリピートをしてくれたり、周りに良い口コミをしてくれることはなく、長期的な目で見るとお店や会社の売上にも成長にも貢献しないのではないでしょうか。


「初心を思い出す」努力をしてみる

慣れてしまうと初心を忘れてしまう、これは人間の性分だから仕方のないことです。だから「初心を忘れない」ではなく「初心を思い出す」ことを意識してみてはいかがでしょうか。

仕事で迷いや悩みが生じたり、やりがいが感じれられなくなってしまった時、今の仕事を選んだ理由、この仕事に対して感じていた魅力、採用された時の嬉しい気持ち、仕事を始めた時にどのようなことを実現したいと思っていたのか、どのような夢や希望を持っていたのかを思い出してみてください。それがきっと、自分を奮い立たせるスイッチのような役目を果たすでしょうし、同時に今の自分と当時の自分を比べて、“初心”がどれだけ自分を成長させてくれたかを見るのも良い刺激になるはずです。


接客に苦手意識のある人はどうすればいい?

初心を思い出すことができたとしても、例えば「技術には自信があるけれど接客はちょっと……」という美容師さんのように、接客に苦手意識があるという人も多くいると思います。そういう人は「うまく話そう」と人一倍努力するのですが、うまく話すことにフォーカスをすることで気持ちが込められなくなってしまう。でもうまく話せないのであれば、まずお客様のお話を聴くところから始めてみてはいかがでしょうか? そしてお客様のお話に対して、うまく話せなくてもいいから自分の言葉で思いを込めてお答えする、それを意識して続けてみることで、「慣れた接客」ではなく、「お客様に寄り添う接客」につながるはずです。

お客様に寄り添うということは、お客様一人ひとりとのご縁を大切にし、会話を大切に真摯に向き合うということ。その姿勢が「次もこの人にお願いしたい」「またこの人に会いたい」というファンをつくり、お店や会社の成長への貢献につながるのではないでしょうか。

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