アメリカNPS事情 フィードバック3.0〜アップルがグローバルで実践するNPS

コラム

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アップルの「フィードバック3.0」

アメリカで開催されたNPS関連のイベントexperience2017(主催メダリア)の43講演のひとつにアップルの「フィードバック3.0」がありましたが、本日はそちらをご紹介します。

登壇したのはアップルのケイト・ハーディング。アップルに入社してから13年間、Director of Customer loyalty をつとめています。彼女のキャリアは一貫して、リテール企業を軸にカスタマーロイヤルティ、従業員エンゲージメントの向上のサポートをライフワークとしてきました。カスタマーロイヤリティの向上をミッションとし、VOC(ヴォイス・オブ・カスタマー)、VOE(ヴォイス・オブ・エンプロイー)、CRMをみています。
 
ケイト・ハーディングはアップル入社後、アップルストアにトランザクションNPSを導入しました。初期のフィードバック1.0では、企業側の視点の声を集めたものでした。商品はどうだったか、サービスはどうだったかなど、企業が聞きたいことばかりを設問にもりこみました。実際、 ふたをあけてみると、推奨者(9点・10点)からのコメントの60%以上がスタッフに関するフィードバックでした。そこで、次のフェーズではスタッフにフォーカスした設計にしたのです。

それがフィードバック2.0です。ここでは、調査結果はマネージャーやリーダーにフィードバックされました。しかし、具体的な改善策まではつなげていませんでした。

フィードバック3.0は2017年4月にグローバル展開をスタートしました。調査結果がリアルタイムでわかり、マネージャーだけでなく現場のチームメンバーもその内容を把握できるようになったのです。
 
究極の質問は「ストアの評価」について聞いています。アンケートには、冒頭にNPSの11段階を聞く問いを用意しますが、それがもっとも重点をおく設問になります。ストアの評価の次に、接客したスタッフ個人の名前を入れて「買物体験」についてたずねています。例えば、Marianaというスタッフが接客した場合は「How did Mariana do?」という設問がとんできて、買い物をした時に感じたことを良いから悪いまで5段階で評価するのです。

かつて、アップルでは1名のスタッフに対して、1年間で20件程度しかフィードバックが集まりませんでした。そこでサーベイの設計を工夫することにしました。ショートサーベイとロングサーベイを組み合わせたのです。最初に4問だけ質問が表示されます。それに回答すると「Tell me more」、つまりもっと質問して良いかという確認が顧客に行われます。OKをクリックすると、さらなる設問が表示されます。これにより、回答率が4倍になったのです

フィードバック3.0はリアルタイムがカギになる!

フィードバック3.0では、リアルタイムにお客様からの良い反応の声が届きます。即座に感想が届くと自分ごとになるのです。TEGの調査では、3日以上経過すると、店頭スタッフはどんなお客様と対応したのか思い出せないため、評価を受けてもお客様との顔が結びつかない、という結果がでています。リアルタイムに「良かった」というフィードバックをもらうことで、スタッフが自分の仕事にやりがいを感じ、楽しく働き、そしてまたお客様に喜んでもらう接客をするという良いサイクルが回るようになります。

アップルでは、導入したNPSのリアルタイムのフィードバックがわかるシステムに63%の人がログインしているそうです。最も人気の高いソーシャルメディアであるFacebookは65%ですが、それに迫る数値であるほどスタッフがフィードバックをチェックしています。スタッフのやる気がこの数字で伝わってきますね!

アップルほどの企業文化を持った企業でも、VOCを個々にフィードバックするまで10年以上かかってます。VOCは「現場の改善」よりも「現場スタッフへのギフト」と捉え、スタッフのモチベーションをあげることに重きをおくことで、幸福をつないでいくサイクルがまわりはじめています。

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